水泳指導~25mをとにかく泳がせる

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目次

1 シンプルであるようですが・・・

Youtubeに動画をアップしています(こちらは軽い)ので、こちらをご覧ください。クリックするとこの画面のまま再生されます。

http://www.youtube.com/watch?v=GOoFmYqAbh8

この動画は「水泳指導~25mをとにかく泳がせる」を映像化したものです。8分程度のビデオにまとめています。

この記事を読んで、「そんなこと既にやっているよ。でも、そんなにうまくいかないんだよなあ。」と思う人も少なくないでしょう。確かに、以下、特殊な指導法はひとつも書かれていません。「ボビング」「けのび」「面かぶりクロール」に重点を置いた、シンプルな指導です。どこの学校でもやっていることで、特にレベルの高い指導者が今までにない指導法を取り入れているわけではありません。でも、もう一度、読んでみた後に今までの指導を振り返り、考えてみて下さい。シンプルであっても、組織的に、徹底して、一つ一つのプロセスの精度を上げ、タイミング良く、ポイントを押さえながら、記録し、絶対に全員を泳がせるという目標を意識して進めることで、結果は大きく違ってきます。微細な部分での指導・言葉かけの積み重ねが、あまり意識をせずに流してしまった場合との差を生み出します。

授業論~どうしてあの人の授業と「差」が出るのか | EDUPEDIA

をご参照ください。全てを書き表すことは難しいですが、指導の様子をイメージしながら読んでいただけると幸いです。

2 中学年でなんとかする

近年はほぼ毎年、6年生をほぼ全員泳がせて卒業させています(病気や欠席で水泳指導自体を受けていない者を除く)。

(教師と子供の)根気+(教師と子供の)気持ち+(教師の)技術

で、たいていの子供は短期間で泳ぐようになります。

スイミングスクールに通っていない子供にとって、小学校中学年の水泳で今後(学校での)水泳が好きになるかどうかがきまってきます。中学年で泳ぐことに自信を持たせることができれば、その後きれいなフォームや別の泳法で泳ぐことを目標にできます。自信があればリラックスができ、体が浮いて水の抵抗を少なくして泳ぐことが可能になります。逆に、水泳コンプレックスが生まれてしまえば、いつまでたっても消極的で、見学をしたがるなどできるだけプールを避けようとする傾向が生まれてしまいます。

3 授業で「早く」「たくさん」の子供を泳がせる

下に挙げている指導の過程は、けのびができる程度の子供を対象にしたものです。とにかく早く、たくさんの人数を25m泳がせ、水泳に対して自信をつけさせるための指導です。1度でも25mを泳げればよしとします。学校ではそれほど長い水泳の練習時間をとることができません。この記事は、短期間の水泳授業の中で、たくさんの児童を少ない教員でどれだけ効率的に指導できるかを追及したものであり、「水慣れ」「きちんとしたフォームで確実に距離を伸ばすため」「体力づくり」等を目的とした指導方法については他に譲りたいと思います。

水泳指導の際、スイミングスクールに通っている子供がたくさんいるような学校でなければ、経験のない大勢の子供を相手にするわけですから、スモールステップで効率的に技能を上げ、モチベーションを支えてあげなくてはなりません。着実に子どもたちの泳力を伸ばさなければ、いつまでたっても底上げができず、指導側の手がかかる状態から抜け出せません。

できる子供を優先する ~学力保障のために | EDUPEDIA

をご参照下さい。泳げそうな子供を早く見つけて手をかけるようにしましょう。

4 目標を持たせる

指導に際して、学年に応じた目標設定をクラスや学年全体に話してあげましょう。その中で、「小学生の間に水泳を25m泳げるようにしよう」という意味の事に触れておくといいと思います。高学年になっても泳げていない子供には、「なんとか泳ごうね」と、過度のプレッシャーにならない程度に何度も声をかけておくといいでしょう。

同時に、しっかりと泳力のデータを取り、個別に目標を設定してあげて、「今日は●mに挑戦しようか」と、声をかけてあげてください。スモールステップを設定することによって、個々の子供が目標を持って活動に取り組み、その成果を実感することが可能になります。

スモールステップという「原則」 | EDUPEDIA

実際に25mを目的とした指導なら、子供の状態や指導期間を見極めて、1~15で必要なものを重点化して取り組んでください。けのびや呼吸を端折ることはできませんが、その他のところはアレンジしながら実施をしてみてください。

1. お遊び

これは、直接25mを泳がせるための指導ではありませんが、十分な遊びをして、水慣れさせてあげることは、重要です。石拾いやフラフープくぐりなどでいいです。楽しく、リラックスして水に親しむ機会を増やしてあげてください。

ほり投げてあげるのもいいでしょう。荒治療ではありますが、ほり投げれば水に慣れます。ひとりですると重いのであれば、二人でやるのもよいでしょう。

※くれぐれも周囲には、気をつけて事故のないように。

投げ方も、個々の子供の様子に応じて「楽しくやさしく」「ちょっと手荒に」など、微妙な変化をつけるといいでしょう。

2. 手をつないでボビング

「イチニーサン(ザブン)」のタイミングで。水面から顔が出たときに「パッ」と言わせると呼吸がスムーズにできます。水中で息を吐くことに慣れさせます。5~10名で手をつながせて円になることによって、がんばれるし、いちいち顔を拭いて中断することができなくなります。できない子供は教師が両手を持って一緒にやってあげるのがいいです。(10~20回×3セットをメドに)
最初はゆっくりでいいです。慣れてくれば、回数とスピードをあげていきます。

3. 高速ボビング

これは、「手をつないでボビング」の後、一人でやらせます。「イチ(ザブン)」のタイミングで。できれば、両手を頭の上で組みます。ペースが速いので瞬時に息を吸う技術がつきます。(20回をメドに)

4. 水中前回り

ボビングのセット間に休憩と言いながら、やらせて見ます。できない子供には補助をしてあげましょう。あごを引かせて右手で首根っこを下に押し、左手を伸ばして腹部を支えながら少し持ち上げます。水中なので、そんなに力はいりません。背中を丸めるように指示し、鼻はつまませればよいでしょう。あくまでこれも、お遊びなので強制して恐がらせてしまってはいけません。できるようになったら、「先生、見て見て!」と喜んで見せようとしますので、褒めてあげましょう。

5. 後ろ回り

後頭部を左手のひらで支え首筋にそって上腕部全体を支え、右手でふとももを抱きます。だっこの形になるので、力を抜いて背中を丸めるように指示します。左手側を沈めていくと簡単にひっくり返ります。水中なので、そんなに力はいりません。鼻はつまませればよいと思います。

6. けのび

この、けのびの段階をどれだけしっかりさせるかがポイントになります。

授業の短い期間でたくさんの子供を相手にして指導するのはたいへんです。一斉に10人ぐらいけのびをさせるときも、

手を組んで伸ばす・あごを引く(へそを見る)・足をそろえて伸ばす・全身はリラックス・水中からスタート・目を開けてなどをしっかり子供に指導して、何度も繰り返させてください。最初のうちは、これらを徹底させるため、上手にけのびができていない子供は、すぐに、中止させて、何度も何度も繰り返しましょう。駄目なやり方を許さない姿勢が大事です。

イメージを持たせてください。「水が邪魔をする力は大きい」、「イルカの形になりなさい。」など、分かりやすく説明をしてあげてください。

7. けのび引っ張り

けのびで伸びきって推進力がなくなりかけた頃に両手のひらをつかんで引っ張ってあげます。 プールサイドの壁に沿って一列に並ばせて順番にスターとさせます。教師が前の人の手のひらをつかんだら、次が出発します。

8. ロケット(丸太流し)

水の抵抗力が尐なくなる姿勢を楽しく体感させる。けのびの姿勢で水中で左手で軽く腹部を支え、膝を伸ばして足をまっすぐにさせます。この姿勢で足の裏を押すと、面白いほどに進みます。「やってやって!」と次々に、子供が寄ってくる。順番に並ばせて、どんどんやれば10人ぐらいはすぐにサバケます。教師が2人いると、10mぐらいは流せます。

9. ビート板を持って10m

ビート板は数(量)をこなすのがよいですが、泳力がない子供に縦25mはきついかもしれません。力強くがんばれる横10mを繰り返して、自信を持たせ体力をつける必要があります。

足の力が付いてくるので、大きな推進力が埋められるでしょう。

ビート板を持って、バタ足だけで泳がせます。バタ足は何度も10mを泳がせることによって、短期間で推進力がついてきます。連日で集中した水泳教室の場合、水泳期間中に適度な休み(土日)を入れるように予定を立てると、体力(脚力)が回復するので休み明けにぐっと伸びます。

10. 肩を見て息継ぎ

頭を前に上げて息継ぎをするとお尻が沈むことになる。沈んだ尻を再び浮かせるために体力を消耗することになります。また、体が斜めになると水の抵抗が大きくなります。頭を上げるのではなく、体を回転させるようにしなければならないのです。まずは、「空が見えるように」と言って、ビート板を利用して、上を向くぐらいにさせましょう。これを何度か練習した後、肩~二の腕あるいは水面から出てくる自分の腕を見るように指示を出せば、あごを引くことになり、頭が前に上がりにくくなります。

11. クロールは前で手が揃ってから

クロールはピッチが早くなりがちで、体力消耗の原因になります。バタ足4回→右手→バタ足4回→左手ぐらいのゆっくりペースで、手を回すよう指示します。

「バタ足だけでの前進に手の動作をつけるぐらいに考えなさい」と、ゆっくりと両手が揃うのを待ってから動くように指示するとよいでしょう。

大きく水をかくように、手が後ろに来たときに、親指で自分の太腿をかするくらいに触るように指示しておきましょう。

人手が多ければ、この練習はビート盤ではなく、指導者が手を持ってあげるのもいいですね。

12.10mを何度も泳がせる

いきなり25mを泳がせることは無理があります。子供の体力を考えると、25mに挑戦させるのはせいぜい1回の授業で3本でしょう。それまでに10mもしくはプールの半分(12.5m)を自信を持って、きれいな型で泳がせておきます。できれば、プールの長い方ではなく短い方を泳がせます。壁に到達する方が、より泳ぎ切った感じがして、自信を深めることができます。しんどくなって立ってしまって終わるのではなく、向こう側の壁に手が届いて終わる方が達成感があります。泳ぎきるイメージをつかめます。この距離なら、10~15本泳がせてもそれほど体力は消耗しません。

◆ビート板を持って

上記のビート板を使ってを参照。ビート板を引っ張ってあげてもいいですが、手と一緒に引っ張ってあげましょう。泳げない子供にとって、ビート板だけを引っ張られるのはビート板を持って行かれそうになり、恐怖です。

◆面かぶりクロールで

最初から呼吸とクロールの手の動きをさせようとすると、2つの事をしなくてはならなくなり、恐くて呼吸がうまくできなくなり、結果的にフォームがなかなかよくなりません(「分かる」は「分ける」を参照)。妙なフォームが身について、水中での姿勢が悪くなってしまう可能性もあります。時間に余裕があるなら、面かぶりクロール(無呼吸)をさせましょう。手の動きをしっかりと覚えさせるとともに、水中で顎を引いたままの姿勢を感覚的に覚えさせます。頭のてっぺんから、水の抵抗が少ない状態で進む感覚を覚えれば、以外とクロールが楽であることがわかります。初心者でも上手に進む子供は、面かぶりで10mを泳ぎきってしまいます。
この時も、駄目な場合はすぐに止めて、やり直させます。徹底して正しい形を覚えさせましょう。

◆呼吸をさせて

息継ぎは子供によって、しんどさが違います。息継ぎのタイミングは、子供を見て、指示しましょう。普通なら、4回(左、右、左、右)かいて1回の呼吸ぐらいがいいでしょう。息継ぎが苦しく、息継ぎの時に体がお尻の方から沈む子供が多いので、2回かいて1回呼吸はしんどいかもしれません。競泳ではないので、4回かいて1回呼吸で十分息は続きます。
頭の方から体が沈みやすい子供には、2回かいて(左、右)1回の呼吸にして、息継ぎを水面に浮上する機会にした方がいいかもしれません。

と、少しずつ進化させながら、泳がせます。10mが泳げるようになれば、思い切り褒めてあげましょう。
10mが楽勝になると、もっと泳ぎたいという飢餓感が子供の中で生まれてきます。この飢餓感と自信を推進力にして、25mに挑戦させます。

13. 暗示をかける

何事においても、「できる」と思わせることは大事です。少々のはったりでもいいのです。子供たちに暗示を書けます。

① はじめに、「3(4~6)年生なら全員25mを泳げます。今まで受け持った子供たちも4年生までにほとんど25mを泳げました。絶対に泳がせます。」と宣言し、暗示をかけかます。

② けのび、10mの指導の途中で水の抵抗なく泳いでいる子供を見つけ、「今日は調子がいいみたいだ。25mいけるぞ」と声をかけておきます。

③ 実際に25m泳げた子供を大げさに誉めます。泳げた後ですぐにほり投げて手荒い祝福をしてあげるのもいいでしょう。自分も泳げるんだ、褒めてもらいたいと思わせることで、相乗効果が現れます。「この先生は本気で私たちを泳がせるつもりだ」「この先生に教わったら泳げるかもしれない」と、子供たちが思ってくれ実際泳げる子供の数が増えてくるといい意味でのプレッシャーがかかってきます。

④ 暗示がかかっているとたいてい最終日にたくさんの合格者が出ます。「がんばり水泳」の最終日に一気に最後の7名が25mを泳いだ年もあります。なかなか合格しなかった子供が不思議とがんばりを見せたり、ついさっきまで「10mまでのグループ」だった子供がいきなり25mを泳いだりもしました。

14. 時間に余裕がなければ

これは各校の指導体制によりますが、時間に余裕がなければ、1度25mを泳いだ子供についてはそれでよしとする「見切り」も大事です。より確実に何度泳いでも25mが泳げ、距離を伸ばし、体力をつけ、フォームを美しくしようなどと欲張ると、他のまだ泳げていない子供たちに指導する時間が短くなってしまいます。フォーム云々については、別の上級グループを担当している教師に任せる、でいいでしょう。25m泳げたら、あとはコースを開放して自分で練習するでも、いいでしょう。そういった約束事を作って、納得させておきましょう。

もちろん、十分な指導者と指導時間が確保され、ほとんどの子供が25mを泳げていると言う状態があれば、しっかりとアフターケアをしてあげるに越したことはありません。

15. 記録に挑戦———教師が先導する

授業の最後20分あたりをチャレンジに当てるとよいでしょう。スタート時点から必ず教師が先導して泳いでいる子供の前を歩いてあげます。

①これはやや「インチキ(?)」なのですが、泳いでいる前を歩くことにより、うんと水の抵抗を減らすことができます。どれくらい減るのかは調べたことはありませんが、かなり楽なようです。

② 声をかけることによって励まします。「もう○m泳げた!」「あと何m!」は、効果的であるし、曲がって泳いで別のコースに行ってしまうことが尐なくなります。

③ 25mに届かず、途中で立ってしまった子どもにも、「あごを引いて泳げばあなたはすぐに25mいくよ」等、短いアドバイスを忘れずに。

5 短期間で泳がせるために

上記1~15は一度に教え、実施するのではなく、子供の様子をよく見ながら段階を踏んで繰り返し行います。1時間でできることは少ししかありません。やることを精選しましょう。
特に15の記録に挑戦する際に「次にどの子が泳ぐのかを見極める」ことは大事です。「いける!」と思う子に十分テレパシーを送って気合いを入れます。できない子供には何度も思い入れをするのではなく短いアドバイスを与えて時が熟すのを待ちます。できる子供をできるだけ早く泳がせて、できない子供に十分に指導をする時間を確保するという発想でいかなければ、効率は上がりません。

6 データを記録する

指導の成果をきちんと記録することも大切です。プール開き初期の泳力と現在の泳力をパソコンに入力し、データを並べ替えて逐一チェックしています。だれが伸びていてだれが伸び悩んでいるのか、ひとりひとりを把握し、全体の進捗状況を確認して指導にフィードバックさせなければ短い夏で成果をあげることは難しくなってしまいます。特に、15mを超えている子供はピックアップしておいて、重点的に指導をして、上の「25m以上グループ」に昇級させるようにしましょう。

7 褒める・・・・・否定をしない

伸びている子供にも、伸びていない子供にも、うまくいっているところを見つけて褒めるようにしましょう。否定的な事を言う必要はありません。否定的なことを言ってもあまりメリットはありません。大切なのは「僕って伸びている」という気持ちにさせることです。それで、水泳が楽しくなるようにしてしまう事が大切です。特に水泳は子供が水に対して恐怖心を抱いていることが多く、下手に後ろ向きな気持ちを起こさせないように、水を嫌う気持ちを取り払って前向きな気持ちにさせていくことを優先するべきです。

データを記録しておけば、誰がどう伸びているのかがわかります。教室に帰ってデータを基にして、伸びている事実を子供と共有しましょう。クラス全体に対して「○人が13mを超えたよ。つまり、○人が半分以上泳げているんだよ。」とか、個人個人に対して「昨日より1m伸びたね。この1mの積み重ねが大事なんだよ」などと、声をかけるようにしましょう。

8 ある年度の水泳指導の成果

下記は5・6年生を合同で指導した時のデータです。「前」の列が水泳指導初日の記録(単位はm)、後が最終記録です。「水泳授業」「がんばり水泳」で指導した結果、児童106名中、98名(92%)が25mを泳ぐようになりました。「児童1~児童7」は体調不良や家庭の事情によって、授業には十分に参加できなかった児童です。これを除けば99%が25mを泳げるようになったことになります。「児童8」も、「がんばり水泳」の最後2日間を休んでしまったので、休まなければきっと泳げたと思います。6年生で残念ながら泳げなかったのは、あまり参加できなかった1名のみです。

データをとってほめる材料に | EDUPEDIA

児童の泳力の向上に目的を定めた上で、学校組織が機能的に水泳指導を行っていけば、必ずよい成果が得られると思います。

sdata.jpg

sdata.jpg

※上の表は個人データのため、下記の表中のデータは少々デフォルメして掲載しています。

    9 ある年度の水泳指導の成果 その2

    3年生を受け持った年の年度の事を書きとめておきます。この年度は天候に恵まれなかったこともあり、授業で4回(8時間)水泳教室で4回(4時間)、計8回(12時間)の指導時数で行いました。本校は授業で2時間続きにしています。そうすると確かに余裕があって効率がいいようにも思います。ただし週に1回しか入れません。時数上難しい面もありますが、できれば8時間泳がしてあげたいです。スポーツは数量をこなすことが大事だと思います。
    最初の2回を初期指導・水慣れと初期泳力のテストに費やしました。後の6回をグループ別の指導に使えました。グループは

    • A けのびもできない、かなり恐怖心を持って指導困難な子ども
    • B 10m(プール横)までの子供
    • C 25m(プール縦)までの子供
    • D 25m以上の子供

    に分けました。

    この学年は、前年度からの持ち上がりです。前年度はBとCの両方を私が受け持ち、多数の子供をCに引き上げました。該当年度に私が受け持ったのは、授業での2回はBとCの両方をかけ持ちして指導、水泳教室での4回はCの子供たちです。授業の期間にできるだけ多く早くBの子供をCに上げ、水泳教室でCの子供を25m泳がせるという方針で臨みました。短い期間であるので、「フォーム」や「体力(体力)」などはひとまずおいて、「とにかく25mを泳がせ、自信をつける」指導方法を取りました。

    まじめで控え目なNさんが、25mを泳げた後に右手を握りしめながら小さな声で「やったー、泳げた、泳げた」と何度もつぶやいて喜びをかみしめていたのが印象に残りました。子供たちが殻を破り、未知の領域を切り拓く姿は感動的です。

    皆勤であるのに惜しくも20mで立ってしまい、水泳教室最終日も泳げなかったOさんは水泳教室終了後にくやしくて泣いてしまいました。しかしきっとこの夏の間に泳ぐと言う決意を話してくれ、その後、学校の開放プールの最後の日に25mを泳ぎきりました

    E君はこの夏は12m止まりで終わってしまいましたが、昨年は水が怖くてやっと水に倒れこむことができるぐらいで、あとは逃げ回っていたことを思うと大きな成長です。一番小さい体で体脂肪がなく、毎回唇を紫色にしながらもよくがんばってくれました

    お勉強が苦手なH君は私と25m泳ぐことを約束していました。授業の水泳の後は毎回居残りをさせ、H君一人でプールを独占して10分ほど延長して練習をしました。最初水中ではパニック状態で、もがくばかり、記録は4mでした。今でも泳ぎ方は無茶苦茶でクロールとは言い難いのですが、持ち前の根性と体力のあるところを出して、徐々に記録を伸ばしていきました。わんぱく者のH君が必死になって25mを泳ぎ切ったのは本当にうれしい成果でした。

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