絵画指導のポイント2

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これまで、いろいろな方に教えてもらったことを書き出してみました。こうやってみるとずいぶんたくさんのポイントがあるものだな、と改めて思いました。どの教科でもそうだと思いますが「これが絶対という指導方法はないのだ」と自分に言い聞かせています。ですから、常によりよい方法を探しているつもりです。

またまだ、絵を描くポイントはたくさんあると思います。もっともっといい絵を描かせたいと思います。指導のポイントをご存じでしたら、ぜひ教えてください。ひとつの参考までということで、ご了承ください。

絵画指導のポイント30

  1. どの題材でもそうですが、画用紙を縦に使った子が多い方がいい。全体の比率は、横:縦=3〜4:7〜6ぐらいでしょうか。縦の絵は、バランスが崩れ、ぐらぐらと動きの出る絵になる。横の絵はどっしりと安定してしまう。
  2. 見学にいくようだったら、機械を先に描く。人間は学校でも描ける。
  3. 学校で描く時用に、写真を撮っておく。周りの風景もあとで使える。
  4. 重要! 描くものは、画面の半分より上の所に描く。一番下に描いてしまうと、色塗りの時に、上は空しかないのでとっても苦しい。そのほかのものをつけ加えることができなくなる。描く前に十分言い聞かせるといい。描写力のあるに子は、「上から見たように(バードビューで)描いてごらん」と声をかける。
  5. 下絵は、水性ペン(色は何でも)わりばしペン、絵の具一色などでする。描くのが遅い子は、水性ペン。早い子はわりばしや絵の具。酒井式の、カタツムリの線を描くのが、わりばしや絵の具です。スイスイ描けないので、よく見た曲がったおもしろい線が生まれます。水性ペンのわけは、着色の時ににじむ効果が生まれるから。
  6. 重要! 友達同士ならばせない。絵を見合って、同じ構図の絵になる。「隣の人の声が聞こえないくらい離れなさい」と指示する。描き始めたら、見回って近くの子同士を引き離す。同じ絵ばかりだと、展示したときにうまい子だけの絵が目立ってしまう。
  7. 機械・人物は、大きく描きすぎない。(海野先生式)大きく描くと、人間の描写を追求しなくてはならなくなる。小学生で人間の描写は大変。ぼくは、「ひとつのものは、手のひらの大きさぐらい」と言いました。
  8. 人間は6〜7頭身ということをくどいほど言っておく。必ず、頭でかっちの人間になる。「マンガの顔」にならないように(特に女子)
  9. 7を言うと、同じ大きさのものを、ポツンポツン描く子が出てくる。その時には、その離れたものをつなぐ線がほしい。たとえば、田んぼの絵のときはあぜ道や育苗箱などを作って(想像して)描く。
  10. 画面を二つに分けてしまうような、縦の線・横の線はやめさせたい。使うなら、斜めの線を使うようにする。
  11. 下絵で間違ったときには、白の絵の具で塗って消す。
  12. 着色段階。筆は、くまどり筆がいい。一本で、細かくも広くも塗れる。
  13. チューブから出したままの色は使わない。つくった色を濃いめに塗る。画用紙の紙の白さが透けて見えないように。
  14. 重要! パレットの小部屋にいろんな色を出させる。絵が苦手な子供は、1色か2色しか絵の具を出していない。筆でチョンチョンと色をとり、画用紙にの上で色を混ぜる。こうすることによって、同じ色でも変化のある色合いが出てくる。大部屋は、使わせない方がいいくらい。きたない色をぐじゃぐじゃと作ってしまう子がいる。
  15. パレットやバケツが汚れてきたら、きれいなものに交換する。惰性で汚い色をつけていってしまう。
  16. 黒・白は使わない。黒は強すぎる。白は色がぼやけてしまう。使っていいときは、黒:髪の毛、車輪、電車のレール。白:水の下塗り、しぶき、背景処理の仕上げなど。
  17. 一般的に子どもは、機械 → 人間 → 背景 の順で塗っていきます。細かい仕事と雑な仕事が混在しているといいので、機械や人間はていねいに塗らせる。細かすぎる絵や不器用な子には、ラッションペンで塗らせる。早いし、見たときの印象が強くなる。
  18. 描写力があり、機械などこまーかく描いた子は、機械の部分を白く抜くといい。回りを紺で塗って、白を浮かび上がらせる。
  19. 画用紙ぜーんぶに色をつけなくてもいい。息苦しくなるので。適当に色をつけていないところがあっていい。
  20. 下書きの線と色塗りの線の割合が適当になるように。子どもの仕事なので、下書きの線が見え隠れするぐらいに塗るといい。あまり神経質に塗りすぎない。
  21. 4のように、一番下に絵がきてしまった子。一番下に描いてしまったら、空は「キミコ方式」の空で仕上げる。青のすかっとした絵になる。「キミコ方式」:一番上を濃い青で筆一本分。一本下にいくごとに、水を含ませて徐々に薄くしていく。最後は青色の水でさっとなでる。全員の絵がこうなるとちょっと不自然な感じがする。
  22. 「きれいな色を作って塗ろう」と言い続ける。田んぼの絵の場合は、背景処理のとき、田植えなら水の色、稲刈りなら稲刈りの色がいいみたい。(林先生談)やはり見ていて自然な感じがする。
  23. 水を水らしく見せる。一度、白の絵の具で適当な場所に濃いめにに塗る。乾いたら、青の水で一方の方向に一度だけさっとなでる。透明感のある水に見える。海の絵だったら、色を紙の上で混ぜながら、色に変化のある海を描く。
  24. 絵のパターン化に気をつける。例えば、田んぼの絵の稲など。子どもはパターン化した図形をただただ描いて、すき間を埋めようとする。稲のあるところ、刈ってあるあと、機械が刈った所などいろいろと描く。斜めの線で区切るように構成する。稲は、図鑑などを見ながら描いた方がいいかも。
  25. 背景処理。茶、黄色、黄緑は適さない。色が薄いので軽い絵になる。二度塗りするならこれらの色でも可。
  26. 背景処理も、塗り方は14と同じ。「ペンキやさんのように塗ってはだめだよ」という。
  27. 単調な背景で苦しいときには、塗り方を工夫する。円を描くような塗り方が、効果をあげることがある。
  28. 仕上げで、黒・白をちょこちょこと使うと、絵が締まる。例えば、船の絵で網目を白で描く・人物やものの回りを白の絵の具で塗って白い部分を作る・背景に白をかける・画用紙のまわりの二辺を黒で囲むような線を作るなど。この辺は、子どもでは難しいと思う。
  29. コンテを使って最後の仕上げをしてもいい。コンテは、汚れが適当に広がるので、絵に変化が出てくる。
  30. 絵を描いているときに、やたらにほめる。子どもに半分バカにされつつも「うまい」「すごい」「これは金賞だ」「天才!」と言い続ける。

以上30点あげましたが、おかしいところ・間違っているところが多々あると思います。よりよい指導のため、おかしな点をぜひ教えてください。

出典:シリウス/静岡教育サークル http://homepage1.nifty.com/moritake/index.htm

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