これまで米作り、水産業について学習してきた。第一次産業と呼ばれるものは、このほかに、野菜・肉・果物などがある。さまざまな工夫や努力をしている半面、問題点があることもわかってきた。そこでこれからの食料生産について考えた。これまでの学習を振り返ったと子どもたちにこう尋ねた。
これからの食糧生産は、バラ色(明るい未来)だろうか?
バラ色かどうかを決めるには、いくつもの要素があるので、すぐに自分の考えを出すことはせずに「資料を調べながら、だんだん自分の考えを決めていくといいよ」とアドバイスした。調べる内容として次の視点を助言した。
- 生産量の変化はどうなっているか
- 消費量の変化はどうなっているか
- 働く人の数はどう変わっているか
- 輸入をしているかどうか
- この仕事はもうかっているか
- 作り方、取り方の工夫をしているか
子どもたちは2時間にわたって調べ学習をした。教科書、資料集、教室の参考図書、インターネットなど大変熱心に調べた。資料の見方がわかっできたのだろう。調べることが楽しいようである。教室はシーンとしていても楽しいという気持ちが伝わってきた。
さて、調べ学習がある程度進んだところで
これからの食糧生産はバラ色だろうか?話し合ってみよう。
〈バラ色〉2名〈バラ色ではない〉10名で、話し合いを開始した。本をあちこちめくって様々な要素の資料を見ていくので意見を変更する子がいた。
〈バラ色〉2名→6名
- 未来の海を守っていく新しい計画があって、これだと微生物のおかげできれいな海になるから赤潮とかならないし、多くのヒラメを早く育てることができるから
- 日本はロボットが得意だから、ロボットを作ったお金で食糧を買えばいい
- 自動野菜工場があって、コンピューターで野菜を作っている。
〈バラ色ではない〉
- 食糧の輸入量は昔と比べて増えているから。
- 輸入が多くなっているのは生産する食糧が少なくなってきたから。
- 日本のものは、外国のものよりも高い。安い外国のものを買うから生産量も減っている。
- 自給率の変化を見ると、果物や大豆など半分に減っている。
- 養殖で赤潮が発生し魚が死んでしまう。
- 産業別人口の割合の変化を見ると、昔より農林水産業で働く人が減っていて、商業サービス業で働く人が増えた。スーパーなどのサービス業が多くなって、働く人が減っているから。
両者の考えを出し合ったところで、同じ意見の人同士で相談してみた。すると意見を変更する子が出始めた。ポイントは“環境”“安全への配慮”であった。
〈バラ色ではない→バラ色〉
- アイガモを使って環境にいいお米を作っでいるから。
- 海洋牧場とか野菜工場とか、ロボットを使って食べ物を作っているから。
- 日本の食料は高いけど、お米のように(あきたこまち、コシヒカリなど)おいしいものを作っているから。
バラ色かどうかというのは観念的なので、どちらか一つにまとめることはできないが、この話し合いをすることで、未来に向かってさまざまな取り組みをしていることがわかった。
出典:シリウス/静岡教育サークル http://homepage1.nifty.com/moritake/index.htm
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