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難解な作品に子供がどんな疑問を持つか
宮沢賢治「やまなし」を一読しただけでも、読者は小さな谷川の底の世界へと誘われてゆきます。わからないなりにも読者の心に何かひっかかりを残す、そんな実に不思議な力を持った作品です。
作者は、何らかの意図を込めてこの作品を作っているのでしょう。授業の中でこの不思議な作品にどのような意図が隠されているのかを子供たちに考えさせていくことは、教師にとって難しいところです。
まず、子供たちがどんな初発の感想を持つのか。以下は、子供たちに範読(指導書のCD)を聞かせたのちに短い感想を書かせたものです。すでに自分で読んでみたことのある子供が約半数でした。
子供たちの疑問は初発ながら、鋭いものもあります。疑問の全てをとりあげてみんなで考えるということは難しそうですが、疑問の中のいくつかは、授業の核となる発問になりそうです。
私が、何を授業の核となると考えているかは、下記リンク先をご参照ください。
クラムボン編
- クラムボンはどうして出てきたのか。だれなのか?どんなものか。23名
- クラムボンは何の象徴なのか。
- クラムボンは生物?
- クラムボンはなぜ笑ったのか。
- クラムボンはカプカプ笑うとは。
- クラムボンは何で死んだのか?
- クラムボンはいったい誰に殺されたのか。
- クラムボンは死んだのにどうしてまた笑ったのか。
- クラムボンを食べたさかなはどんな魚なのか?
- クラムボンとかには仲良しなんですか?
- カプカプってどんなのか.
- どうして作者はクラムボンというものを作ったのか
- クラムボンは笑って死んで笑って・・・と、なんとなくむなしい役だけど、私は重要な役だと思う。
- なぜ五月のカニはクラムボンという言葉を何度も使っているのか。
カニ編
- カニはしゃべるのか?
- なぜかにさん親子以外にしゃべれる人がいないのか。
- カニは泣くのか。
- カニはまぶしさを感じるのか。
- カニがお酒を作っているところを見てみたいですね。
- お酒なんてあるのか。
- カニがお酒を知っているのか。
- やまなしがお酒になるのか。
- カニの母さんはなんでいない?
- どうしてカニを主人公にしたのか。
- カニはにおいをかぎ分けることができるのか。
- カニたちはなぜかわせみにおそわれなかったのか。
- 水の中でもかげってできるのか?
- 魚がこわいところに行っただけなのになぜカニがこわがるの?
- 恐い所は「死」
- 魚が鳥にくちばしでとられたのか足でとられたのか
- 十二月にどれくらいカニは大きくなったんだろう。
- 十二月で兄弟があわの大きさを比べているのは、どのような作者の意図があるからか。
- この兄弟のあわは本当に兄のが大きいのか。
- なぜ兄さんカニは弟の頭の上に足をのせながらしゃべったのだろう。
お魚編
- 前のページでは「魚」だったのに、「お魚」となっていた?
- なぜ、作者は魚の行動をくわしく書く。
- 魚はどんな魚なのか。
- 黒く静かに光りの網の上をすべるのは何だろうか。またそれは何を意味するのだろうか。
- 魚の影は何を示しているのか。
- 影は花びらにも魚にもついている
- なぜ、ひれも尾も動かさない。
- なぜ、お口を輪のようにして泳ぐ。
- なぜ魚はうろうろしているのか。
- お魚が行ったり来たりするのは悪いことがおきるからじゃないかな。
- 「何か悪いことをしているんだよ、とってるんだよ。」の、とってるって、どういう意味か分からない。
- かわせみにとられる前、なぜ魚は落ち着いていたのか。
- なぜ五月で魚はp7まではげしい動きをしていたのに、P8行からじっと静かにしているのか。
- 魚がした、悪いこととは?
- 魚は何を取っているのか。
- 魚は恐い所へ行ったって書いてあるが、魚はどこへ行ったのか。
情景描写編
- なぜすごくたとえが多いのか。
- 光のあみって何。
- 月光のにじとはどんなものなのだろう。
- 黄金のぶちとは何か
- かわせみはどんな鳥か、黒くとがっているものは何か。
- 金雲母とはどんなものか。見てみたい。
- なぜ金雲母が流れてきたのか。
- ラムネのびんはなぜそこにあったのか。
- ラムネのびんの月光がいっぱいすき通るってどういう意味なのだろう。
- 天井とは水面のことなのか。
- なぜカニは青く暗く鋼のように見える。
- なぜ水はさらさら鳴るのか。
- カプカプやもかもかというのはどんな意味。
- ぎらぎらする鉄砲弾というのは、もう死ぬということか。
- 底の黒い影が六つとはどういうこと
- 青白い炎は何。何を表しているのか?
- 波が青白い炎を燃やしたり消したりっていうのはどういうことなのだろうか。
- 波がいよいよ青い炎をあげるって何だろう。
かばの花編
- かばの花は何なのか?
- かばの花はどこにさいているのか。
- かばの花は何でたくさんちらちら降ってくる。
- なぜ花びらではなく、花びらのかげという言葉を使っているのか。
- お父さんがカバの花が流れてきたっていったのはなぜ。
十二月と五月編
- なぜ宮沢賢治は五月と十二月のことを書いたの。
- なぜ宮沢賢治は五月と十二月ややこしいことを書いたの。
- なぜ五月からいっきに十二月になるのだろうか。
- 底の景色は五月から十二月にすっかり変わったとあるが、どう変わったか。
やまなし編
- なぜやまなしのいいかおりがするのだろうか。
- やまなしのお酒ってどんな味?
- なぜかにのお父さんがやまなしを知っているのかな。
- なぜ二日たつとやまなしはお酒になるのか。
- やまなしはほおっておくとどんどん川下に流れていくんじゃないのか。
- やまなしは何の象徴で、それにはどんないとがあるのか。
- やまなしとはどんなものなのか。
- なぜやまなしはお酒になるのか。
そのほか編
- 何でなんかいもあわのことが出てきているのか?
- つぶつぶ暗いあわって何で出たの。
- なぜ水にだけ流されながら行くの?
- 私の幻灯はこれでおしまいでありますってどういうこと?
- かわせみとはどんな鳥か。
- 鳥をどうしてかわせみにしたのか。
- 「クラムボン」や「イサド」など、なぜはっきり書かずに暗号みたいに書いたのか?
- イサドとかクラムボンというのは、作者が作ったけど、なぜこんな名前をつけたのか?
- イサドは何なのか?どんな所なのか。どこなのか。
- なぜはっきり書かないのか全部。
- 終わりって書いているところがえらい。
感想
- 不思議な話である。疑問がたくさんある。
- 小さな谷川の底の光とかがうまく表現していると思った。
- 作者の想像の中でのクラムボンやイサドは本当にありそうな名だと思った。
- かばの花を見てみたい
- お父さんがカバの花が流れてきたっていったのは、何だか話をそらしているような感じがした。
- 想像的なさし絵が想像力をまします。
- やまなしのお酒を飲んでみたい。
- 魚が変に底光りしてというのがあやしい感じがした。
- この作者はカプカプとか独特の言い方をするなと思った。
- 不思議な言葉ばっかりあるなあと思った。
- なんか、ほのぼのとした感じが多くて、意味がわかりにくい。私はこういう話が好きです。
- カニが話をしたり、悲しんだりするのが面白い
- クラムボンをか本当のことはわからないけど、不思議なものだと思う。
- この兄さん、やさしいようですごく恐いなあと思った。
- 弟のかにめっちゃ泣き虫だ。
- この物語はわけのわからない言葉をいっぱい使っているけれど、言葉づかいが面白い。
- 弟のカニが兄のかにと張り合ってあわの大きさ比べをしている所が普通の兄弟っていう感じで面白い。
- ダイヤモンドのようにきれいなものを見てみたい。
- 宮沢さん以外でこんな物語を書ける人はいないと思った。
- 宮沢さんは水の中をよく知っているなあと思った。
- あわの出し合いをしている所で弟が泣きそうになっていて、そんな所はかわいらしかった。
- カニの生活ぶりなどを描いているのがいいい。
- 明るい場面は明るく、暗い所は暗く表現している。
- 比ゆをよく使用している。
- タイミングよく場面が展開している。
宮沢賢治に対して編
- 宮沢賢治はどうしてこんな話を思いついたのだろう。
- 宮沢賢治はどうしてこんなみんなが意味のわからないような本を書いたのだろうか。
- どうしてやまなしのことを題名にしたの。
- どうしてやまなしのことを題名にしたの。最後にちょびっとしか出ていない。他にもちがうことがたくさん書いているのに。
- どうして宮沢さんが死んだ後にこの話が売れたのか。
- 宮沢賢治は何を考えて「やまなし」を作ったのか。
- なぜ想像しやすいように描かれているのか。
- 宮沢賢治さんの人がら、どんな人だったかを知りたい。
- 宮沢賢治さんの他の物語などを知りたい。
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