話し合いができる子供を育てているか
日本人はディスカッションが苦手と言われます。グローバル化されていく社会の中で、しっかり自己主張ができないでは不利であることが指摘されています。
たくさんの子供が自分の考えを堂々と言葉にでき、また級友の発言につながった発言が続いて、子供たちの手でみんなの意見が集約されながらまとめられるような授業を時々見かけます。それを見た時には素晴らしいと思い、自分の学級でも同じようにやろうとするのですが、それほどうまくいかない。いったい何が違うのだろう、何をすればあんな授業ができるのだろう・・・そんな思いを持っている教師は多いと思います。
をご参照ください。
例えば、以下のような場面で、自分が育てた子供は、しっかりと発言できるでしょうか。
職場体験学習で
企業や公共施設が企画した職場体験学習では、テレビなどが取材に訪れることがあります。子どもたちにマイクを向けて、感想を聞くのですが、放映されるその答えに、いつも満足のいかないものを感じます。
例えば、デパートの店員を体験して、
「いつも見えない裏側が見られて、楽しかった」
「お客さんが喜んでくれて、よかった」
「いろいろできて、勉強になった」
など。
マイクを向けられても、上のような漠然とした答え(楽しかった・よかった・いろいろ)しか出てこない場合が多いのではないかと思います。
ふだん気づかないところにも、仕事をしている人がいて、どんな工夫や努力をしているか、その人たちのおかげで、自分たちの暮らしがどんなふうに変わっているか、過ごしやすくなっているか、体験学習というのは、例えばこんなことの学びに繋がっているものだと思います。
仕事というのは、どんな仕事も決して「楽しい」だけのものではないはずです。でも、たいへんそうな仕事でも、そのたいへんな中に、役に立っている、とか、自分だからできる、とか、それまでよりいい結果だった、といった満足感があったり、達成感を持ったりして、それぞれががんばっています。
学習が終わったときの「とっさの感想」も、子供たちの学習の観点がしっかりしていればきっと、中身の濃いものになっているでしょう。
「今までは気が付かなかったけど、○○○なことがわかった。」
「○○○が、○○○してたなんて、知らなかった。」(発見・気づき)
「誰々に○○○してもらったことがうれしかった。」(人とのかかわり・感謝の言葉)
「○○○を見る(使う)ときには、今日の体験を思い出します。」
「次は○○をしてみようと思う」(体験を活かすという観点)
などの感想が、子どもたち自身の言葉で、具体的に言えるように体験できると、すばらしいと思うのですが・・・・・
難題「人前で内容のある話ができる子供を育てる」
ところが、
「人前で内容のある話ができる子供を育てば、いいけれど、なかなかうまくは育てられないなあ・・・」
というのが、多くの教師が行き詰ってしまう壁であると思います。「人前で内容のある話ができる子供を育てる」は、教師にとって難題です。授業の中で、話し手を育てるとともに聞き手も育てなくてはならず、そのどちらもが難題です。
子供が発言できない、発言しても内容のある意見を述べられないという課題に対しては、おそらくたくさんの理由と対処があるのだと思います。一つの記事に全てを書き表すのは難しいので、シリーズ「人前で内容のある話ができる子供を育てる」として、いくつかの記事を立ち上げていきたいと思います。
大きく分けると
人前で内容のある話ができないのは、良く言えば「控え目」、悪く言えば「自己主張ができない」という日本人の文化・特性も影響しているでしょう。学校だけの問題ではなく、家庭でどのように育てられているかも大きいと思います。そもそも、教師自体の会議がそれほど活発に討論されていないという現実もあります。
この日本人の文化・特性を乗り越えて、話し合える子供たちを育てていくには・・・?
とりあえず、二つの課題があるのではないかと思います。
(1)授業が面白くないと、発言が促進されない・・・・・子供にとって発言をする価値・しくみがある授業ができているのか。
(2)学級の中に信頼感がないと、発言しにくい・・・・・お互いの意見を聞き合う学級づくりができているか。
「授業と学級経営は両輪である」と、言われます。この二つの両輪を適確にかみ合わせて回すようにするには、何をしていけばいいか、考えていく必要があるでしょう。両輪を少しずつ、確実に底上げしていくことによって、子供が変わってくるかもしれません。
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と、シリーズでアップしていますので、他の記事もぜひお読みください。
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