「いじめの構造」森口 朗 (著) ◆ 書籍紹介

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いじめの構造 (新潮新書)

森口 朗 (著)

「スクールカースト」という概念を導入し、教室の中の上下関係の中でいじめが発生するメカニズムを説いています。筆者は「いじめの根絶は不可能」という現実的な視点から出発し、そうであればどう対処をしていけばよいのかを考察しています。

妄言一 「見て見ぬふりをする者も加害者」

妄言六 「出席停止は最後の手段である」

妄言九 「いじめる奴はいじめる。いじめられるやつがつよくなるしかない」

等、巷に溢れる「いじめ論」の暴言・妄言である部分を各構成要因(学校・行政・生徒)の立場を考察しながら指摘しています。

暴力犯罪的行為の範疇であるいじめについては、「犯罪を犯罪」として扱い、警察権の導入を提案します。「明らかな犯罪はいじめと呼ぶべきではない」という筆者のの主張は明確ですが、警察権の導入が現在の学校現場に取り入れられるには、行政側の強力な後押しがないと難しいとは思います。

「暴力系いじめ(校内犯罪)」

「コミュニケーション系いじめ(犯罪を構成するもの)」

「コミュニケーション系のいじめ(非犯罪)」

「日常的な軋轢の中でいじめと主張されるもの」

「日常的な軋轢」

と筆者はいじめの段階を類別しています。

このうちの下3つの「認定権は学校にある」としているのですが、実際、この認定が非常に難しいのです。そのあたりことは、おそらく筆者も十分に承知しながら、書いておられると思いますが、次に論文を書かれるときには、そのあたりをもう一歩踏み込んで論じていただきたい気がしました。

あとがきに、「どんな対策も、現実を知らなければ始まりません」とあるとおり、学校の現実を学校関係者が認識し、社会一般の方々に知っていただくきっかkてとして、お勧めの本であると思います。

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