社会性を育てるスキル教育35時間

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目次

1 使い勝手がよく、コンプリートな構成

小学校では「1年生プロブレム」と言われるように、社会性、対人スキルが身につかないままに新一年生が入学するようになってきました。社会性は、ひと昔前であれば家庭や地域社会の中で自然と育まれて来たはずです。2年生以降も、年齢が上がっていくにつれて身についていくはずの社会性がなかなか身につかず、多くの人と関わる必要がある学校生活の中、子供たちの混乱が広がっています。

「自分の持ち物を管理する」「人を誘う」「謝る」「感謝する」「ケンカになったら仲裁する」・・・学校生活を円滑に送る上で必要であるはずのこれらの社会性が身についていないのであれば、学校が社会性を身につけさせるプログラムを用意しなくては仕方がありません。

「社会性を育てるスキル教育35時間」は、こういった学校のニーズに応える有用性の高い書籍です。

本書は小学校1~6年生、及び中学校1~3年生の計9冊のシリーズとして出版されています。

各学年で35時間ずつの社会性を育てるスキル教育の授業案が掲載されており、それぞれの授業案には授業で使える掲示物、ワークシート、自己評価シート等の資料がついています。現場ですぐに授業に使うことができるところが本書の優れている点の一つだと思います。学校関連の書籍で、「使い勝手がよく、かつコンプリート」な内容を備えているものは少なく、35時間×9学年、合計315時間の授業が収録されている本書は貴重な資料であると言えるでしょう。

2 具体的な内容

例えば6年生では、「アサーティブ」なものの言い方について学ぶエクササイズの授業を収録しています。

「遊園地で乗り物に乗ろうと列に並んでいると、見知らぬ人が子供の手を引いて、あなたの前にすっと入ってしまいました」

と、こんな場面で自分はどのような言い方をしたりしぐさをするかを考えさせながら、授業を進めます。
&color(Aqua){構成的グループエンカウンター、ソーシャルスキルトレーニング、アサーション、ガイダンス、ピアサポート、メンタルヘルス、ロールプレイ};といった技法を各授業の中に取り入れながら、子供たちに社会性を育むことを目的とした指導案が各学年分、具体的にバランスよく収録されています。

3 カリキュラム上の位置づけ

カリキュラム上の位置づけとして、本書は総合的な学習の時間で使用する事を前提として書かれているようです(本書の副題は「総合・特活・道徳で行う年間カリキュラムと指導案」となっています)。その他にも、特別活動(学級活動)や道徳の時間に利用できそうな指導案があります。1学年35時間の全部を利用する事は難しい面もあるかもしれませんが、学校でこのシリーズを買い揃えて、各学年のカリキュラムの中に必要分をとりこんでおけば、学校全体で児童の社会的スキルが底上げされていくのではないかと思います。

このシリーズのように、「使い勝手がよく、かつコンプリート」な教育関連書籍が今後たくさん出版されることを期待しています。ちなみに、本サイト(EDUPEDIA)もまた、「使い勝手がよく、かつコンプリート」であることを目指して、日々、教育実践を収集しているところです。

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