熟語の成り立ち
熟語の成り立ちには、漢字二語の場合、
1. 意味が似ている漢字の組み合わせ (終了・増殖・歓喜・森林)
2. 意味が対になる漢字の組み合わせ (強弱・前後・左右・善悪 )
3. 上の漢字が下の漢字を修飾する関係 (鉄橋・白紙・新婚・原則 )
4. 下の漢字が上の漢字の目的や対象を示す関係 (帰国・洗顔・投球・出場 )
5. 主語と述語の関係 (腹痛・骨折・色白)
などがあることを中学校で学習します。(光村図書・中学校二年生国語教科書より)
小学生にこのような分類までを教えることもないかもしれませんが、それぞれ、
森林→森や林のこと
強弱→強いことと弱いこと
鉄橋→鉄でできた橋
帰国→国に帰ること
腹痛→腹が痛いこと
などと、ちょっと言葉を添えて言い換えながら指導してあげればいいと思います。
できるだけ訓読みにした平易な言い換えがいいです。漢字学習にどこまで時間をかけられるかという問題は残るにしても、新出・読み替え時や意味の解釈に詰まった時などに時折触れてあげると理解が進むようになると思います。子供に考えさせるのもいいと思います。子供に聞いてあげれば、辞書で意味をひかないまでも漢字の意味を考えて結構近い意味を言えるようになります。辞書も結局は延々と「言い換え」をしているわけですから。子供に言い換える習慣をつけさせてみてください。
こんなふうにすることによって、なんとなく漢字に対する興味がわいたり、漢字アレルギーが解消されたりして、子供たちが熟語の意味をイメージしやすくなってきます。
言い換えが難しい熟語
ところが、上記のように比較的すんなり言い換えられるものがある一方、言い換えが難しいものがあります。例えば
協議→協力して議論すること
なんてことになると、漢熟語を漢熟語で説明することになってややレベルが高くなります。でも、こういうやり方は、中学生に対してなら(小学校なら、6年生ぐらい)、けっこういいイメージづくりになるかもしれません。
熱望→熱心に望むこと
は、少々難易度が上がっているでしょう。「熱い望み」と、ただ訓読みにしたのでは「熱い」に「温度が高い」としか読み取れない子供が出てきます。「熱心」で使う「熱」のなかに、「温度が高い」ではなく「一生懸命」の意味を見つけ出し、まだなんとなく意味の把握は出来るかも知れません。
さらにレベルが上がってくる例として「原則」を挙げてみます。
原則→もとになるきまりごと
は、「原」「則」のひとつひとつを理解させないといけません。
多分、力のある子供は「原理・原則・原案」の用法から「もと」、「規則・原則・変則」から「きまり」をなんとなく抽出して記憶の中にキープしているのだと思います。
漢字が苦手な子供には、この漢字の意味の獲得過程が難しいです。丁寧に指導していかないと、抽象度が上がるほど漢字の習得がつらくなってきます。かといって、原則を学習する時に「原理・原則・原案」「規則・原則・変則」を挙げて並べてあげるというのも、大変な指導になってきますが・・・。
抽象度の高い漢字に関する考察が
原理の「原」は、なぜ書けないか(漢字指導) | EDUPEDIA
に書かれていますので、是非こちらも併せてお読み下さい。
教科書でも取り扱われました
2012年度版の光村図書の教科書に、上記の内容について取り扱った単元「熟語の意味」が採用されています(この記事は2011年度に書かれたものです)。教科書には「熟語を訓で読んでみると、意味がわかる」という事が描かれていますが、
熱望→熱心に望むこと
といった新しい熟語に置き換えてみるという方法も、同時に教えてあげればよいと思います。
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