子供の立ち歩きにどう対処するか

37


子供の立ち歩きをどう考えるか
も、ご参照ください。

立ち歩きはじめたら

授業中、教師に何の許可も得ずに立ち歩く子供が出始めたとしたら・・・。

と、言っても、担任によって、クラスによって、様々なケースがあります。いろいろなとらえ方もあると思います。そもそも「学校としてどういうルールだったのか」「前の担任はどういうルールであったのか」「教師として自分はどういうルールを考えているのか」を振り返ってみる必要があるかもしれません。

例えば

「鉛筆を削るときはいちいち許可を得なくても立ち歩いても構わない」

「ランドセルの中の何か(コンパスなど)をとりに行くのならいちいち許可を得なくても立ち歩いても構わない」

といったルールが担任と子供たちの間で共有されている場合もあるかもしれません。あるいは、

「原則駄目だが準備ができていない人は仕方がない」

といったルールが暗黙の了解として成り立っている場合もあります。トイレで急ぎの場合や、胃の中のものを戻しそうな場合もあるかもしれません。

子供たちの様子にもよります。一人だけがどうしても立ち歩きを我慢できないで、他の子供たちはその子供を特別だと考えているのであれば、クラス全体としては崩れることはないと予測できる場合もあります。もし、既に3割以上の子供が気軽に立ち歩くという状態なら、相当危機的だと思った方がいいでしょう。

対処の仕方によって・・・

杓子定規に「一切許さない」という“極”があるとすると、もう一方には「全くお構いなし」という “極”もあると思います。

立ち歩きへの対処が遅れたり、「全くお構いなし」という極端な対処をとったりすると、雪崩現象のように立ち歩きを発端にして学級崩壊へところがり落ちていく危険があります。

子供たちの中に、「学級を混乱に陥れたい」というムードがあると、1人の立ち歩きを許したことを発端に、次々と同調する子どもたちが出てきます。そして、立ち歩きが増えた時点で「絶対ダメ」と言っても無視されたり、「どうして僕だけに怒るの?○○君も怒ってよ?」と開き直ったような態度で反撃されたりしてしまうことがあります。こういった状況は一気に発生する場合もありますし、じりじりと担任側が子供のムードに押されながら進んでいく場合もあります。

そうならないように、どこかの時点で、教師側は立ち歩きに対処する必要があります。

さて、対処をするならどの時点がよいかというと、早い時点で対処するのに越したことはありません。少なくとも、立ち歩きも含めて、学級が悪い方向へ向かっていくときには独特のムードがありますので、教師にはそれに気がつくアンテナの高さが要求されます。教師は子供たちに値踏み(「子供の値踏み」参照)されているという危機意識は必要だと思います。

ケースによって対処は違う

対処の仕方は、ケースバイケース、様々です。ケース1へのオーソドックスな対処に色々とバリエーションを加えて指導するといいと思います。

ケース1

ヨシオ君が教師に許可を得ずに、当然のことのように鉛筆削りのところまで行き、鉛筆を削り、席に戻りました。行きにも帰りにも、友達とじゃれながら歩いていました。 → 【学級での状況の共有と話し合い】ヨシオ君が席に帰った時に、全員に作業を止めて教師に注目させた後、ヨシオ君をその場で立たせます。「みんな、さっきヨシオ君が鉛筆を削りにいったけど、ああいうのは許されてきたの?」と、一応子供たちに問いかけます。子供たちの話を聞いた後ヨシオ君の話も聞きます。その後、教師が自分のルールを示します。

【原則の提示】
「先生は、勝手に立ち歩くのは一切認めません。」

【原則の理由】
「みんながそれをし始めると授業ができなくなります。実際、ヨシオ君はシンジ君にちょっかいを出しながら席に帰ってきました。授業の準備は授業が始まるまでにやらないと、人の迷惑になります。」

【特例】
「ただし、どうしても急ぐ場合、例えば急いでトイレに行かなければならない場合もあるかもしれませんので、その場合は何も言わずに行きなさい」

ケース2

年度初めですでに立ち歩きが3人以上いる場合。あるいは、学期初めに様子が変貌している子供がおり、落ち着きがなくて立ち歩き始めたのに2・3人が同調し始めた。

→既に危機的状況であるケース、危機的状況一歩前のケースです。

一人で抱え込んで、正常化ができるのならそれに越したことはありませんが、同じ学年の教師、生徒指導担当者、管理職などに早いうちに相談をして対処するべきだと思います。教室を担任だけにせずに2人態勢をひく必要があるかもしれません。
また、「学校として、立ち歩きが出始めた場合にどう対処をするのか」という危機管理体制をしっかりと作っておく必要もあるでしょう。担任任せで何とかなるという時代ではありません。

同調者が次々に現れて、子供たちの感覚が麻痺しないうちに対処しましょう。

ケース3

子供にADHDなどの障害の傾向がみられる場合は、対処の仕方が変わってきます。これについては長くなりますので、ここで詳しくは書きません。これも、自分一人で抱え込まないで、周囲の教師の手を借りながら、保護者や専門家との連携をとりながら、対処を進めましょう。

いずれにせよ、立ち歩きも初期段階では子供は教師の反応を見ています(「子供は教師を値踏みする」を参照)。自分の力量やクラスの状態、個別のケースを考え合わせたうえで、適切な対処をすることが大事だと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次