子供は教師を値踏みする

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どれぐらいまでやれる?どのていど叱られるか?

子供は、教師の言動をよく観察しています。自分がやったこと、友達がやったことに対して、教師がどのように反応するのか、意識的にも無意識的にも子供たちの頭の中に教師の言動がインプットされているのです。

他の教師、前年の担任・担当と比べてこの教師はどうなのか、子供は絶えず測定しているといっても過言ではないでしょう。この子供の教師に対する評価を、やや悪意が含まれているというニュアンスを出したかったので「値踏み」と表現してみました。

子供たちはわざと甘えてみたり、わざと教師が困る・怒ることをやってみたりして、教師を値踏みしにかかります。つまり、教師は試されているのです。法則化グループの表現で言うと「アドバルーンをあげ」てきます。特に初対面の場面では、

「どれぐらいまでやれば、どのていど叱られるか」

を測っています。初対面の時のみならず、継続的に値踏みをしてくるのが最近の子供たちの傾向です。

暴言や指導不服従等の強い反抗的な行動でなくとも、

  • 断りもなくひとりが鉛筆を削りに行く→次々に削りに行き出す。
  • 「○○ちゃん」などと教師を呼び、馴れ馴れしい態度をとる。
  • 「教科書を忘れました」と言いに来ない。言いに来ても、私語をしている。
  • 教室移動の際、廊下に並ぶのが遅いのを注意しても、すぐには従わない。(最近の子供たちの特徴で、実に微妙に「従うタイミング」を遅らせます)

などなど、ありとあらゆるパターンで値踏みをしてきます。意識的にやっている部分、無意識的にやっている部分がありますが、高学年になると、かなり意識的に試してくる状況が見られることが多くなります。また、「なかなか態度が変わらない」「何度でも同じようにしてくる」という傾向も、最近の子供への指導が難しい理由の一つだと思います。子供たちの「好き勝手にしたい」「しんどいことはしたくないのでらラインを下げたい」「自分たちのペースに教師を巻き込みたい」という、暗黙の団結のパワーに負けてしまうと、どんどん学級経営・授業が苦しくなっていきます。

値踏み行為への対応

上記のような子供が値踏みをしている状況で、教師が甘い対処を続けていると、子供たちにはどんどん「この教師には従わなくてもいい」という「気分」が刷りこまれていきます。

場合によっては、大声をあげて叱ることも必要です。反抗的な態度をとるなど、値踏み行為が悪質であった時には、強く指導しなくてはなりません。どれほどそれが悪いことで、それをしたらどうなるのかをはっきりと伝えなくてはなりません。ただし、大声を上げるばかりでは、それはそれで値踏みをされるので、叱り方、指導の仕方は研究する必要があります。

また、早い段階で指導をすることが大事です。時間がたてばたつほど、子供たちは自分が好き勝手にできる範囲を広げていこうとします。授業の先を急ぎたいという事情はあっても、一度授業を止めてでもきちんと指導するなり、話し合うなりしておく必要があるでしょう。

持久戦の場合もあります。一度指導をしたはずだったのに、いつの間にかまた子供たちのペースに飲まれそうになることがあります。ここは引き下がらないとうラインを決めて、何度も指導、何度も注意をしていかないと、「教師が指導を諦めた」という気にさせてしまいます。

逆に、子供たちの値踏みに対してなんでもかんでも引き下がらない態度をとり続けることが難しい場合もあります。どうしようもなく荒れてしまっているクラスの場合には、子供たちの現状を見て、融通を聞かせざるを得ない状況もありますので、そこはバランスを考える必要もあるでしょう。例えば、朝の会の運営が日直に任せていては無理な状況なら、思い切って朝の会を取りやめてしまうというのもひとつのやり方だと思います。その代わりに、別な部分で「ここだけは引き下がらない」というラインをはっきりと教師側が意識して、譲らない姿勢を保つようにすればいいと思います。「押して引いて、引いて押して」が大切だと思います。

自分の中に「価値観」を形成し、判断ができる子供を育てる

そもそもは、「値踏み」などをしていること自体がおかしいことであると子供たちに気付かせられるように育てなくてはなりません。「相手、相手の出方によって自分の態度を変える」「叱られなければ好き勝手をしてしまう」のは、自分の中に価値観が形成されていないからです。難しいことですが、子供たちが自分で善悪を判断できる力を身につけられるように育てていかなくてはなりません。

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