授業中における教師の役割を考える その3

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子どもの認識は、白紙ではない

前回の②「つなぐこと」③「もどすこと」に引き続き、【教師の役割】を考えます。

教師は単に教えるというだけでなく、子どもの学びを組織し、学びの方向性を指し示していくという意味で、学びのコーディネーターとしての役割が重視される。

最終回の今回は、④「まとめること」です。

子どもの認識は、決して白紙ではありません。その子なりの見方や考え方を①「ひきだすこと」、そして、それらを②「つなぐこと」と③「もどすこと」で、子ども同士の意見や考えを比較検討し、本時のねらいへと整理、焦点化させていきます。終末では、わかったことや結論を明確にする④「まとめること」という重要な役割があります。

教師の役割 その3 ④「まとめること」

④「まとめること」

簡単に言うと、今日の授業でわかったこと、学んだことを明確にするということです。いろいろな意見は出たけど、結局、結論(正解)は何?ということがあります。

私の経験では、出たとこ勝負で、教師が話し合いの落としどころを想定していなかったり、つかませたいことを整理してなかったりする場合によくおこりました。授業構想の段階で、曖昧なまま、授業の流れで考えようとした場合も、必ず、その部分で失敗するという苦い経験も数知れずありました。
これらの経験から、まとめるためには、その教材を通して「何を」をつかませるのかということをあらかじめ明らかにしておくことと合わせて、子どもから出てくる意見や考えを具体的に想定しておくことが必要だと思います。つまり、子どもの側からどのように認識を深めていくのかという学びの道筋を想定しておくということです。子どもの、どの意見に注目し、何を、どのようにつなげ、どうまとめ、どこへ収束させるのか。

板書計画の中で、出てくる意見の整理(カテゴリー分けと結びつき等)を視覚化して考えておきます。単に、まとめを板書して枠で囲んでおしまいではなく、そこへどのように、結びつけていくのかという、主に教師側からの④「まとめること」という意味合いです。

もう一方で、子ども自身が「まとめること」の想定も教師の④「まとめること」の重要な視点です。
教科内容の習得だけでなく、子どもが自立(自学自習)する力を育てる視点です。(メタ認知については、「学びの場.com」 http://www.manabinoba.com/index.cfm/8)を参照してください

自分の考えが、最初から終末ではどのように変わった(変わらなかった)のか、その理由は何か等を子ども自身が考えられる手立てや場面設定が必要です。一般的に、振り返りプリントを書かせたり、授業の感想を発表させたりしています。

それ以外に、私なりに実践してきた方法を紹介します。

○黒板にネームプレートを貼って,全員の考えが分かるように視覚化し、意見がかわった子どもやはっきりと理由が明確になった子どもを指名し、発表させることで、本時の学びの内容を明確にイメージさせます。

○埋め形式で、本時のまとめをミニテスト等で板書し、ノートに書かせます。

○本時の学習でわかったことやわからなかったことについて挙手させたり、ノートに書かせたりする中で、典型的なものを教師が紹介します。

○(時間差によるまとめ)板書の写真を撮り、次時の導入で前時のまとめを確認します。少し時間をおくことで、冷静になったり客観的になったりすることで、自分の考えを整理することができる場合もあります。

教師がはじめから結論(正解)をもっていたら、結局、それに捉われて強引な押し付けたまとめになると時々聞きます。しかしながら、私はそうは思いません。教師が結論(正解)をもっていることは当然であり、もう一方で、子どもがどのように結論(正解)を認識していくのかという子どもの側から学ぶ道筋を考えておくことが必要だと思います。

つまり、結論と子どもをつなぐのは教師の重要な役割です。それが④「まとめること」だと思うのですが、いかがでしょうか。

授業は、子どもと教師と教材の大きく3つの要素から成り立っています。中でも、教師の役割は大きく授業を左右します。授業中の教師の一瞬一瞬の判断で大きく変わってきます。質の高い授業づくりは本当に難しいです。『教師の成長なくして、授業の成長なし』を肝に銘じて、これからも頑張りたいです。

<参考文献>

○兵庫教育大学附属小学校著「学び合い、分かり合う授業づくり」(明治図書)2007年2月初版
○「授業研究21」社会科における教師の言葉がけ:高岡昌司(明治図書)平成19年5月号

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