1 授業内容
東京理科大学の川村研究室で毎週行われている小中高校生向けの実験教室「理科大好き実験教室」から、今回力学分野の「2力のつりあいと作用・反作用」についての授業を取り上げました。
講師:藤田 晋吾先生
目的
- 力をベクトルで表せるようにする。
- 力のつり合い、作用・反作用を理解し区別できるようにする。
- 3力のつり合いを図示し、ベクトルの和を図から書き表せるようにする。
授業動画
指導案
力の三要素
作用点・力の向き・力の大きさ
【生徒実験】ばねはかりを用いた力のつり合い
【準備】自分で作ったばねはかり、クリップ
【実験】
① ばねはかりの間にクリップを入れて二人で引っぱり、クリップが動かないようにする。
② それぞれのばねはかりの目盛りを読む。
「つり合っているときの力の大きさ、向き、作用点はどうなっているでしょうか」
クリップが引き合っている図を描く。
「クリップだけに注目して、クリップにかかっている力の大きさ、向き、作用点はどうなっているでしょうか」
2力がつり合っているとき、一直線上で向きが等しく逆向きである。
【生徒実験】 ばねはかりを用いた作用反作用
【準備】自分で作ったばねはかり2個
【実験】
①二人組を作ってもらい、片方の子に1Nの力で引っ張ってもらう。
②引っ張られた方の目盛りも読んで、力にどのような関係があるか考える。
作用・反作用
二つのばねはかりが引っ張り合っている図を描く。しかし、このままだと分かりづらい。
「それぞれのばねはかりにかかっている力を書いてみよう」
二つの力は一直線上で、逆向き、同じ大きさであることを説明する。
「2力のつり合いと似ているけど、違う点は何だろう」
2力のつり合いでは、一つの物体に力がかかっている。一方、作用反作用では、2つの異なる物体にかかっていることを説明する。
墓石の理論
墓石と台には重力がかかっている。
「墓石にかかっている力はどんなものがあるでしょうか」
【生徒実験】ばねはかりを用いた力の和
【準備】自分で作ったばねはかり2個、おもり(1N程度のもの)
【実験】
①一つのおもりを二つのばねはかりで持ち上げて、目盛を読む。ばねはかりの目盛の和がおもりと一致することを確認する。このとき二本のばねはかりが平行になるように注意する。
②二本のばねはかりが水平な状態から、広げて角度をつけると、和が成り立たないことを確認する。
【演示実験】巨大天秤
【実験】
① 写真のような巨大天秤を用います。中央のコップに5個のビー玉を入れて、他の二つのコップにビー玉を入れて、糸を直角にする。
② うまくできたら、三角定規で確認する。
3つの力を書き込み、上方向に引っ張る力と下方向に引っ張る力で輪が成り立っていないことを確認する。
ベクトルの足し算についての説明をする。
評価
- 力の3要素について理解し、力を図示できる。
- 力のつり合い、作用・反作用の法則を理解している。
- 3力のつり合いを理解している。
2 研究生の声
- 生徒のアイデアをうまく取り入れていた/生徒の反応をしっかり聞いていた
- 生徒に実験させる機会を多くしていた
- 「ばねばかり」ではなく「ばねはかり」である
(レポーター 清水 祥彦)
3 講師プロフィール
藤田 晋吾先生
東京理科大学川村研究室・研究生。
川村 康文先生
東京理科大学理学部第一部物理学科教授,東京理科大学大学院科学教育研究科教授、1959年,京都市生まれ。博士(エネルギー科学,京都大学)。
“ぷち発明”の第1人者。専門は物理教育・サイエンス・コミュニケーション。
歌う大学教授(環境保護ソング,世界平和を祈る歌など、ホームページで無料配信中。サイエンス・レンジャー(理科実験名人)。
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