合唱曲の選曲について

54
目次

1 まずは、選曲

合唱コンクールや音楽会で扱う曲は、大人数で長期間にわたって練習を続けます。選曲に当たってはしっかりと考えなくてはならないと思います。選曲は合唱の成否の、かなりのパーセンテージを占めていると思います。

1.子供の実状(歌唱力・ムード・好み)にあっているか・・・・・合唱曲にはけっこう重いムードのものもあります。そういう曲を歌う時に、子供がそれを本当に欲するかどうかは一考する必要があるでしょう。

2.教師側の指導力に見合うものか。

3.長期間の練習に耐えうる曲か。大多数が好きになって楽しめる曲なのか。

4.曲自身の内容に音楽的な価値があるのか。

指導がしやすい曲もあれば、大曲、難曲もあります。歌詞が易しくふだんの生活の中で具体的に実感を伴うものもあれば、難解で抽象的な観念がないと意味の理解がしにくい歌詞もあります。

作者が深い意味を託した歌詞で、そこを理解できないままだと値打ちがない場合もあるでしょう。逆に、あまりに軽くて薄っぺらい場合もあるかもしれません。基本的に合唱曲は真面目な内容のものが多いので、下手をすると子どもたちの中には、きれい事のように感じる場合もあるかもしれません。子どもに曲を選ぶ権利を与えていない場合も多いですから、歌詞や曲想が合わない子どもがいるのも当然です。そういった条件のもとでどれだけベストなパーフォーマンスを出せるかというところでしょう。

いくつかの曲を選んで、子供たちに投票させるというのも、ひとつの手かもしれません。もし投票をするなら、決まったことには快く従うと言う前提のもとでやるべきです。

流行りの曲、新しい傾向をもった曲を取り上げるのも、子どもたちに寄り添ったひとつの方法かもしれませんが、私は、できるだけ時間の淘汰を経てなお残った曲を取り上げる方がよいと思います。「10年以上前の曲から選ぶ」というのを基準の一つにしています。名曲は言葉の意味が分からなくとも、歌っているだけで体にしみこみ、言葉を超えて意味が伝わってくるものです。

2 みんなが好きな曲って?

指揮者が好きでやる気がある曲を選ぶことも大事ですし、教師側のスタッフが複数である場合は、みんなの合意を大切にする必要もあると思います。

みんなが好きで納得できる曲を見つけたいところですが、数十名、時には百名を超える数の子供たちが全員歌いたいと感じる楽曲は、なかなか見つからないと思います。中には「好きじゃない」「気分じゃない」と感じる子供もいるかもしれません。そんな場合でも、歌う事は劇やドラマで役者さんになることと同じで、作者や歌の登場人物に「成りきる」ことが基本です。それが歌う事の勉強だという事を理解させ、納得させていかないといけません。・・・・・なかなか難しいですね。

3 解釈が難しい詩に挑むとき

曲によっては、作者が曲にけっこう深い意味を託している場合があるように思います。作者の意図を完全に理解する事は無理であっても、歌詞について教師が自分なりの解釈をする必要性はあると思います。これは国語の文学教材でも同じですね。子供にその解釈を押し付ける必要はないにしても、「先生はこう思っているんだ」ということは、伝えてあげるといいと思います。別の記事に「この星に生まれて」という曲を私なりに理解し、子供に伝えた件について書いてみましたので、よろしければご参照ください。

合唱曲「この星に生まれて」の歌詞解釈

また、選曲されるにふさわしい価値があるかという問題について、下の記事で触れられているので、ご参照ください。

音楽会等、学校で流れる曲の選曲時にポップソングを入れる場合の留意点

真面目な合唱曲の歌詞をどう子どもに理解させるか ~ 「小さな勇気」を例に

ある程度の解釈を共有できた上で声の波形を上手に重ねることができたとき、合唱は素晴らしい響きを生み出すことができるのではないかと思います。
~

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次