給食が遅いときの解決例

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給食が時間内に食べ終わらないという状況が3日続いた。
それを問題視した「相談係」が長休みにルール作りを提案した。

「話に夢中」なことが原因だとみんなわかっているけど、給食中のおしゃべりが楽しいのでみんなそこにふれようとしない。

最初に「遅い人は増やさない(おかわりしない)」次に「準備を早くする」最後に「嫌いなものから食べる」というルールが出てきた。

苦手なものがあるのに好きなものは食べたくて増やしてしまうという子は確かにいる。が、準備はもう十分早い。

4年2組では、配膳を流れ作業形式で行う。配り終わったものからすぐに片付ける。前の給食当番が今週の当番の準備をするなど、自分たちで考えてスピードアップに努めてきた。これ以上のチームワークをもった子どもたちをぼくはこれまで見たことがない。

嫌いなものから食べるのは実は去年やっていた方法だそうだ。今日はプルーンが苦手な子がいて、パンにはさんで食べるなど工夫してがんばっていた。すでにみんなやっている。遅くなるのはそこが問題ではないとわかっているけど、作りたくないルールがある。僕はそう読んだ。

司会者が「もうありませんか?この中からルールを決めます」と言うと、「これで早くなるかな?」というつぶやきが聞こえた。

そこで「みんなさぁ。遅くなるのはなんでだと思う?」って聞いたら、意外にもみんな正直に「おしゃべり」と言う。素直すぎて笑ってしまった。

「わかっているけど、ルールにしたくない」。そんなこともある。

でも、子どもたちはそこから「放送が終わる(12:45)までしゃべらない」というルールを決めた。

今日はその初日。静まり返った給食中。「なんだか怖いぐらいだな」と思って子どもたちの顔を覗き込むとなぜかみんな笑顔。

「しゃべりたいけど、しゃべらない」

その状況の共有が楽しくて仕方ないらしい。見つめ合って吹き出してしまう。でも、それ以上の騒ぎはなかった。

食べ終わって歯磨きをしているとき、昨日、時間までに食べ終わらなかった女の子が話しかけてきた。
「先生。私、今日はすっごく早く終わったよ!」と、とてもうれしそうだった。

どんなルールも自分たちで話し合って作ったものなら従えるし、逆に楽しめるものなのかもしれない。その過程を飛ばして、教師が勝手に決めてしまったら、きっとこんな達成感はなかっただろう。

自分たちで自分たちの集団のもつ問題点を見つけ、解決のために話し合い、決まったことを実践する。その繰り返しの中で子どもたちが生きる力を身に付けていけるように、これからも子どもたちの話し合いに聞き耳を立て、ボソッと呟いて行こうと思う(笑)

翌日、子どもたちの5行日記を読んだら、「おしゃべりが原因だとは思わなかった」と言う意見が多数だった。

見えているように見えて、子どもたちは結構自分たちの抱える問題の原因に気づいていないのかも知れない。

一部の子どもたちの気づきを広め、新たな視点をもたせて、問題解決能力を高めるためにも、話し合い活動と実践の一体化した学級活動の大切さを感じた出来事だった。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 受け持ったクラスが荒れていて、ぜんぜん静かにならなかったこともあります。それどころか、給食中の立ち歩き、こぼす、投げる…そんな時は、全員前を向いて最後まで「一言もしゃべるな」でした。
    ケースによって、班ごとに机をつけさせる時もあるし、戒厳令を出す時もある、といった感じです。

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