自然災害を防ぐ(社会 指導案)

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目次

1 互いの考えを伝え合い,集団の考えを発展させる事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。

単元の目標

我が国の自然災害防止について,地図や資料などを活用したり,インターネットを活用したり して調べて,我が国の国土においては様々な自然災害が起こりやすいこと,その災害を防止するため に国や県などが様々な対策や事業を進めていることが分かり,国土の環境保全には国民一人一人の協 力や防災意識の向上が必要であることを考えるようにする。

教材

本単元においては,自然災害が起こりやすい我が国において,自然災害の恐ろしさに気 付き,自然災害の被害を防止するために国や地方自治体,地域の人々によって行われている様々な対策や取組について調べ,防災に対する計画や取組に参加・協力しようとしたり, いつ来るかわからない災害に対して,普段から自然災害に対する備えをしていこうとしたりする態度を育てる。

特に「地震災害」を取り上げ,日本は世界の中でも地震が多いという国土の特色や,地震災害の被害の大きさを理解し,地震災害に備える国や地方自治体, 地域による取組を具体的に調べ,その重要性とともに国土にくらす一人として自分がどの ように行動すべきかを考えるようにすることをねらった。

主な学習活動

学習活動

  • 地震災害の映像や写真,新聞記事から被害 の大きさや発生の理由について考える。
  • 日本の地震災害の現状について国土の特徴と関連付けながら調べ,学習問題をつかむ。
  • 国や東京都,自分の住んでいる区市や地域 の防災の様々な取り組みについて調べる。
  • 地域の防災への活動から,人と人のネット ワークづくりが防災にとって大切であることを考える。
  • これまでの学習を基に,学級防災会議を開き,国民の一人一人の災害に対する正しい 知識や事前の備えをすることが被害を最小 限におさえるために大切であることを考える。

言語活動に関する指導上の留意点

  • 地震災害の映像や写真,様々な 統計資料から,国土の特徴につ いて話し合わせ,日本が地震大 国であることをとらえさせるよ うにする。
  • 国や東京都・地域・自分の取組 を表に整理し,整理したことをもとに,比較したり,図に整理したりする。
  • 自分にできること,みんなですべきことを考え,多様な立場か ら話し合わせる。
  • 日本の国土の特徴,公助,共助, 自助のかかわりなどを踏まえて,自分なりに大切だと思うことをまとめさせる。

言語活動の充実の工夫—学級防災会議を開いて話し合う—

地震災害の被害を最 小限に防ぐために,国 や東京都,そして地域 の人々の取組,つまり, 公助・共助・自助を具 体的に調べ,表や図に表しながら,まとめて きた。
その上で,地震災害 の被害から身を守るためにわたしたちにできることを考えまとめた。 その際,次の工夫を取り入れた。

  • 立場に分かれた会議の疑似体験を設定した。
  • 自分の考えをキーワードで表現させた。

自分の考えをまとめる時点で,主張の視点をはっきりさせるため, 考えをまとめたキーワードを作成させ,プレートに書かせた。このキーワードを基に,まず,それぞれの意見を公助・共助・自助に見える形で整理し,話し合いを行った。

話し合いでは,「私のキーワードは“かかわり”です。阪神大震災でも,多くの救出活 動が地域の人々によって行われました。近隣の人々と日頃からのかかわりが大切だと思います。」「ぼくのキーワードは,情報です。国や都が,緊急地震速報や防災マップ,災害 伝言ダイヤルなど情報を正確に伝えたり,そして,ぼくたちがそれを利用することが大切だと思います。やはり,災害の時には,何も分からないので,パニックにならないように 正確な情報が必要です。」というように互いに根拠を示しながら,自分の考えを発表し,意見交換を行った。

意見交換を進めていくことで,「防災会議を開いて,結局,一番大切なのは,みんなと協力することだと思った。国や都が対策を立ててもそれを利用しなければ意味がない。また,地域で防災訓練をしていても,参加しなければ意味がない。国や都,地域,そして自分も連携して協力することが大切だと思った。私の家では,地震の対策や避難訓練をしていない。「それでもいいや」と思っていたけれど,これからは,いつ地震が来てもいいように物の準備や心の準備をしっかりしておきたい。」というように,公助・共助・自助の それぞれが欠かせないことや連携・協力の大切さを再確認していった。そして,最終的に 他人事の防災意識から,「自分ごと」の防災意識へと高まっていった。

「学級防災会議」を開き,意見交換から自分の考えを再構築し,最終的な協力関係構築 の疑似体験をしたことにより,自分のこととしての防災意識,自覚の高まりへとつながっていった。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

(更新:2024/02/24)

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