縄文のムラから古墳のクニへ (社会 指導案))

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目次

1 互いの予想について資料を活用して吟味する事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
添付ファイル

単元の目標

狩猟・採集や農耕の生活,古墳,国の形成に関する考え方に関心をもち,豊かな自然の中で 狩猟や採集の生活が営まれていたこと,各地に支配者が出現し,やがて大和朝廷による国土の統一されていったことが分かるようにする。

教材

「米」をただ食べ物の一つとして認識していたのでは,弥生時代における農耕生活を縄文時代 の生活と異なるものとしてとらえることは難しい。単なる食べ物の奪い合いならば,縄文時代に 狩りや漁で捕らえた「獲物」を奪い合って争いが起きても不思議ではない。

ムラ同士が争うのは, 弥生人にとって米が命に関わる価値の高いものだからである。こういった弥生人のもつ米の価値 から争いの原因を考えさせたい。

そのために,1「米づくりと争いを結ぶ関係図」と2「袈裟襷 文銅鐸(伝讃岐国出土)の絵を予想するシミュレーション」を教材として用いた。

1は,予想を吟味する際に, 縄文時代との違いに目を付けさせるために用いた。
2は,銅鐸に「倉庫」の絵が描かれていることか ら,米の保存性に気付かせるために用いた。

主な学習活動

学習活動

  • 三内丸山遺跡と縄文のムラを調べる
  • ○吉野ヶ里遺跡と弥生のムラを調べる
  • 米づくりと争いの様子を調べる
  • 縄文と弥生のくらしの様子を比べる
  • ムラからクニへの変化を調べる
  • 巨大古墳の様子を調べる
  • 大和朝廷と国土統一の様子をまとめる
  • 神話・伝承について調べる
  • 振り返って学習をまとめる

言語活動に関する指導上の留意点

  • 「種籾や土地,道具,水を奪い合った から」という予想の妥当性を学級全体で吟味するようにする。
  • レプリカなどの資料を使って調べたり体験したりしたことを振り返り言 語でまとめるようにする。

言語活動の充実の工夫 —資料を活用してお互いの予想を吟味する—

本時では,以下のように言語活動の充実とその方策を考えた。

  • お互いの予想を吟味する言語活動 →(方策)板書の構造化と切り返し発問
  • 資料から読み取ったことをもとに話し合う活動→(方策)袈裟襷文銅鐸の絵を調べ「倉庫」が描かれている意味を話し合わせた。

まず,黒板の両端に「米づくり」カードと「争い」カードを貼り,その間を矢印でつなぐことにより,「この間の関係を考えるのだ」と思考対象を明確にした。そして,予想を関係図につ なげていった。児童は,「土地や水,道具などを奪い合ったから」と予想した。

そこで,米の代 わりに「木の実」「えもの」カードを置き,「君たちの言う通り食料などを奪い合うのが理由な ら,長い長い縄文時代に争いが起きていても不思議ではないのでは?」と発問し,じっくり間 をおき考えさせた。

縄文時代1万年の長さを 10m のひもで表し,弥生時代と比べさらに「こんなに長かったのに,争いの跡は見つかってないんだよ」と助言した。だんだんと,縄文時代の 獲物と米の違い,すなわち米の価値を語り始めた。「米は安全に収穫できる」「たくさん収穫できる」「いつ食べられるか分からない時代だったから,米は命を長くする大切な食料」「命にか かわる米だったからこそ命をかけて争ったんだ」と多角的な観点から思考しつつ予想した。

次に「本当に弥生時代の人々はみんなが予想したように, 米に価値を置いていたのかな?」と問いかけ,銅鐸の意味に ついて補説した。そして,香川県から出土された袈裟襷文銅 鐸のレプリカとそこに描かれている絵の資料を配布し,何が描かれていると思うか尋ねた。

児童は,「倉庫」が描かれていること に驚きをもち,その意味を考え始めた。これまで考えてきた「米 は長期保存できるからこそ争いが起きた」という争いの理由と「弥生人は,銅鐸に倉庫の絵を描くくらい米が長期に保存できることに値打ちを置いていた」ということが児童の中でつながりだした。 実際に銅鐸(資料)を調べて読みとる活動を通して,実感を伴った理解に至った。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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