「保護者会で使えるエンカウンター・エクササイズ」 ~リフレーミングを通じて感じて欲しかったこと~

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「保護者会で使えるエンカウンター・エクササイズ」 ほんの森出版 (2003/08) http://t.co/aOcVnLnT に掲載されているエクササイズから一つ選んで最後の学級懇談会を行なった。「子どものよいところ・ちょっと困ったところ」というエクササイズだ。

目次

1.1 リフレーミングとは?

リフレーミングと言って、短所に見えているところを見方を変えて長所にしてみようというエクササイズだ。いつも一緒に暮らしている保護者は子どもたちの見方が固定しがちで別の角度から見るということができない。固定した見方から見続けていると「この前も注意したのに!」と苛立ってくる。

子どもは子どもでいつも同じことを同じ言い方で注意され続けると「またか」とうんざりしてしまい、直していこうという素直な気持ちが削がれてしまう。固定した見方でのやり取りは、保護者にとっても子どもにとっても問題解決から遠ざかるばかりである。

困っていることを書き出し、それを別の保護者に読んでもらう。そして短所を長所として見方を変えてもらうのである。このエクササイズのよかったところは筆者も書いていたが「ちょっと困ったところ」とともに「よいところ」も書くようにしたところである。

自分の子どもについて書くとき、保護者は「ちょっと困ったところ」を書くのと同時に「よいところ」も書き出す。その後、グループのメンバーと交換してリフレーミングし合うのだが、「困ったところ」を長所に変換しにくい場合がある。

そんな時は「よいところ」を見て思いっきりほめるようにすればいい。

誰でも誰かの「困ったところ」ばかりを書き出すのは気持ちのいいものではない。

しかし、同じ子どもの「よいところ」を書き出すことで前向きに変わることができる。
実際に取り組んでいる様子を見ていると「困ったところ」について書いているときは険しい表情だった保護者が「よいところ」について書き出すと時折笑顔を見せるなど柔らかい表情に変わっていた。ほめる方がやっぱりうれしいものだ。

しかし、保護者は「子どもを少しでもよくしてやりたい」という思いからついつい「指導する」「弱点を直す」ということに偏ってしまう。

1.2 「弱点を直す」より幸せな方法

教師として600人以上の子どもたちを担任してきた経験からいうと、実は「子どもの弱点をなくそう」として指導することはめったにうまく行かないものだ。

逆に「よいところを伸ばそう」と指導した場合、いつの間にか「困ったところ」がどこだったのかわからなくなるほど目立たなくなってしまうことが多い。「弱点をなくそう」とする強い指導が成立するためには双方にとって恐ろしいまでのエネルギーが必要になる。

その反対に「よいところを伸ばそう」とする指導は、抵抗はほとんど感じられず双方を幸せにする。

また、ある「困ったところ」を指導するにしても、いきなり「ダメじゃないの!」と入ると、子どもたちは防御しようと心を閉ざしてしまう。同じことを指摘するにしても、リフレーミングを応用すると、子どもたちのやる気を削がずに行動を微妙に変化させて、よりよい状態を作ることができる。

まずほめる。
それからよりよくなる方法を助言するのである。

「〇〇なところはとってもいいよね」
「今度からここを気を付けるともっとよくなるよ」

という言い方をするとお互いに気持ち良い状態のまま、よりよい行動に導くことができる。これが保護者のみなさんに気づいてほしい1つ目のことだった。

1.3 エンカウンターを通じて気づいてほしい2つのこと

1年間の保護者会のうち、最初と最後はエンカウンターを取り入れて行なっている。

その目的の1つ目は「保護者の児童理解を深めること」。

最初の保護者会では保護者に自分の子どもになり切って他己紹介をしてもらった。
4人ぐらいのグループで行ったあと、感想を共有する。

共有のあとは子どもたちに実際に書いてもらった解答を読んでもらって、自分たちがどの程度子どもたちのことを理解しているか確認してもらう。
参加した保護者にはいつも大好評である。

エンカウンターを行なう2つ目の目的は「保護者間のつながりを深めること」である。
子どもたちは毎日同じ教室で顔を合わせているが、保護者は同じ地域に住んでいてもよく知っているのは数人という場合が多い。親同士がつながることで安心感が増す。万が一、問題が起きた場合の解決もスムーズになる。

「困ったところ・よいところ」では、「短所が他人からみたら長所になることもある」という見方の転換を課題としているが、実際にやってみると「同じ悩みをもっている人が多かった」「自分だけかと思ってた」という声がたくさん聴かれる。

このような共有感覚・仲間意識を醸成することが必要だと思う。

1.4 保護者のつながりを深める要に

学校の仕事は、地域と保護者に支えられて成り立っていると日頃から感じている。
多くの保護者が集まる授業参観と保護者会の場を通じて、学校が「子どもと保護者の関係」と「保護者同士の関係」を深めていきたい。

そして、そのことを通して地域や保護者一人一人とつながっていきたいと願っている。
社会情勢の変化により、保護者もかつてのように休みを取りづらくなり、地域でも交流が希薄になってきていると聞く。

今こそ、学校が保護者をつなぎ、地域の活性化に貢献することが求められているのではないだろうか。

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