ラヴォアジエらの歴史的な実験を教室で、再現するには!?

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1 ラヴォアジエらの歴史的な実験を教室で、再現するには!?

この記事では栃木県宇都宮市立雀宮中学校、湯澤光男先生による、東レ理科教育賞を受賞された「中学第一分野 ラヴォアジェの実験の教育的再現」の授業実践を紹介します。

詳細な教材教具作成の過程やダイナミックな実験中の写真が掲載された指導案はpdf形式でこちらよりダウンロードできます。

添付ファイル

2 授業実践の目的(指導案より抜粋)

中学一年第一分野の<光の性質>では光の反射や屈折の法則を扱い、凸レンズによる像のできかたなどを学習する。その導入として凸レンズで光を集めてものを燃やす話はいつも生徒に好評であるが実際に経験したことのある生徒は少ない。そのため、授業では虫眼鏡で太陽の光を集めて紙を燃やす作業を取り入れ実体験を通して焦点や焦点距離を理解させている。

そこで生徒の科学的関心を更に高めるため歴史的に有名なラヴォアジェらのダイヤモンドの燃焼実験を、フルネルレンズを用いて教育的に再現しようと試みた。

ラヴォアジェはまた水が元素ではなく化合物であることを実験的に証明したことでも有名である。発展教材として中学三年生第一分野<還元>のところでとりあげることができれば生徒の理解がさらに深まることが期待される。

3 ラヴォアジエってどんな人?

18C、フランスの化学者。燃焼が物質と酸素が結合することであることや水が元素ではなく化合物であることを証明し、さらに質量保存の法則を確立させた。ラヴォアジェの発見によって、化学は定量的性質をもつことができ、確実な予測がたてられるものになった。「近代化学の父」と賞賛される。

※質量保存の法則・・・化学反応の前後で、それに関与する元素の種類と各々の物質量は変わらない法則のこと。

4 題目

1.太陽光を使ってダイヤモンドの燃焼実験を行う方法

2.ガスバーナーでダイヤモンドの燃焼実験を行う方法。

3.スチールウールを用いて、還元法により行う水の分解を、試験管で簡単に行う方法。

5 実践の効果と生徒の感想(指導案より抜粋)

これまで、理科の授業のほか、研究会などで複数回、演示を行った。いずれの演示実験も生徒や参観者に好評であった。

(1) ダイヤモンドの燃焼実験について

 ・「ダイヤが燃えたときはとてもきれいだった。予想していたよりもずっとゆっくりゆっくり燃えて原子が詰まっていることが目に見えるようだった。」
 ・「ダイヤモンドが燃えて石灰水が白くなった。本当にダイヤは炭素でできているんだと思った。ラヴォアジェはすごいと思う。ラヴォアジェの巨大レンズをみてみたい。」

(2) 水の分解実験に関して

・「水が還元できて水素が発生した。はじめはできるかなと思っていたが本当にできたのでびっくりした。」
・「試験管で簡単にできたのでびっくりした。今度は銃身でやってみたいと思う。先生、是非お願いします」(※銃身・・・1783年、ラヴォアジェがこの実験を行ったときは銃身を用いたことによる)
・「水の分解実験は驚いた。水の分解と言えば電気分解ぐらいしか頭になかったが、こんな方法で実験していたことを知り、改めて昔の化学者のすばらしさに感動した。ラヴォアジェはすごいですね」

6 講師プロフィール

湯澤光男先生(ゆざわみつお)
1956年 栃木県宇都宮市に生まれる。 1978年 宇都宮大学教育学部(理科)卒業。小学校教諭となる。 1982年 仮説実験授業と巡り会い,一気にのめり込む。 1988年 自ら希望して中学校に転勤。 1991年 『授業ノート〈燃焼〉』をまとめる。 1993年 ファーブルの『化学の不思議』の「燃える金属」を日本語訳。 『(ファーブルの科学家庭実験シリーズ3)燃える金属』として ド・ロイヤル科学読み物ゼミナールより刊行。 1994年 授業プラン〈光とスペクトル〉を発表。 サイエンスシアター実行委員として活躍。 1997年 板倉賞を受賞。 2001年 量子論入門の授業書〈光と原子〉を発表。 2007年 「東レ理科教育賞」を受賞。 「とちぎ教育賞」を受賞。 現在,宇都宮市立雀宮中学校副校長(教頭)。仮説実験授業研究会会員。 〔著書〕サイエンスシアターシリーズ『原子と原子が出会うとき』 『コマの力学』『光のスペクトルと原子』(いずれも板倉聖宣と共著)

http://homepage3.nifty.com/nekot/iwatekasetu/ivent/2009festHP/yuzawa.html より抜粋)

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