仕事とエネルギー(東京理科大:川村康文先生)

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目次

1 授業内容

東京理科大学の川村研究室で毎週行われている小中高校生向けの実験教室「理科大好き実験教室」から、今回力学分野の「仕事とエネルギー」についての授業を取り上げました。

取材日:2012年3月1日(第4期第8回)

教科書

・『基礎物理学 上』川村康文著 オーム社(pp.123 – 131)
・『理科大好き物理実験 力学編』川村康文編 講談社(pp.114 – 129)

仕事とは

【演示実験】仕事の原理実験機

実際に成り立つか、実験してみましょう。

(先生)この箱を70cmの高さまであげようと思います。どうすればいいですか?
(生徒)持ち上げる。
(生徒)滑車で引き上げる。
(先生)じゃあそれぞれやってみよう。
 各自、箱を持ち上げたりひもで引き上げたり実験してみます。

(先生)どうだったかな?
(生徒)軽い!
(生徒)ちょっとだけひもで引いた方が軽かったような・・・。
(先生)今のだとはっきりとわからないよね。力をはかるにはどうすればいいかな?
(生徒)ばねはかり?
(先生)そう。じゃあばねはかりを使ってやってみましょう。
 真上に持ち上げたときは38〔N〕、滑車を使って持ち上げたときは23〔N〕でした。
(先生)滑車を使った時の方が、力が小さくて済んだね。でも他に違うところはないかな?
(生徒)滑車のときの方がひもを長く引いた。
(先生)その通り!滑車を使ったときの方が<span style=’font-weight:bold;’>小さい力で動かせたけど、動かす距離は長くなる</style>んだ。これを仕事の原理といいます。

【演示実験】円運動のほんと?実験機

①定規の振り子を一番上から振り、1回転することを確認します。
②ひもの振り子ではどうなるか予想します。

(先生)ひもの振り子ではどこまで上がると思う?
(生徒)同じ高さ!
(先生)じゃあやってみよう。
 ひもの振り子では、同じ高さまでは上がりません。
(先生)ひもの場合は上がりませんでした。これはなぜなのでしょうか?では、エネルギーの内容を勉強しながら考えていきましょう。

【演示実験】なんでも軽くなる動滑車

巨大天秤に滑車を固定し、持ち上げたい物体を動滑車に吊るします。重い物体を吊るすと、直接持ち上げる場合との違いがよく分かります。

【生徒実験】ループコースター作り

① ペットボトルにビー玉サイズの穴を開けます。
② 穴の下に1cm程度の幅の切れ込みを入れます。
③ ビー玉を転がすためのレールを作って、差し込みます。

ビー玉の高さと落ちてきた時のビー玉の速さの関係を知るために、いろいろな高さから転がしてみます。位置が高い時の方が、ループの回転数が大きいので、速さが速いことがわかりました。

当日の様子

実験の中で実際に糸を引っ張ったり、持ち上げたりして、仕事の原理が成り立つことを体感しながら理解していました。

ループコースター作りでは、ビー玉を離す位置を変えるとどうなるかいろいろ試して、「この位置だとまわった!」「8回転もしたよ!」などと楽しみながら実験していました。
                          (レポーター:清水 祥彦)

2 講師プロフィール

川村 康文先生
東京理科大学理学部第一部物理学科教授,東京理科大学大学院科学教育研究科教授、1959年,京都市生まれ。博士(エネルギー科学,京都大学)。
“ぷち発明”の第1人者。専門は物理教育・サイエンス・コミュニケーション。
歌う大学教授(環境保護ソング,世界平和を祈る歌など、ホームページで無料配信中。サイエンス・レンジャー(理科実験名人)。

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