「学びのエンジン」に火を灯すために

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目次

1 概要

子どもたちが意欲的に算数の学習に取り組める工夫として、授業中の「空気」についての考えと、独自の教材を使用した実践を掲載します。

 <目次>
(1)授業の空気作り
(2)算数マスター(基礎編・応用編)

2 授業の空気作り

「算数って面白いな」「考えることってすごいな」と、いかに子ども達に感じてもらえるかを、日頃から考えています。

そのために、何よりも大切にしているのが「空気」です。45分間の授業の中で、空気をなるべく沈ませないようにしています。

しかし、45分間子ども達にやる気を維持させることはとても難しいことです。45分間もあれば、やはり途中で空気が沈んでしまう場面もあるかと思います。

静→動→動

教師が授業のはじめからテンション高めで入ると、子どもとの温度差が出てきてしまいます。

それぞれの先生によって違うかとは思いますが、私は落ち着いた調子で入っていくようにしています。
 そこから段々と盛り上げていって、子ども達と一緒に空気を作り上げていきます。

そして、その授業のポイントとなる部分で、テンションを最高潮に持っていきたいと考えています。

授業の最後に、まとめる際にも、スッと終わってしまうとまた空気が沈んでしまいます。即ち、「静→動→静」となってしまいます。

そうではなく、「静→動→動」で終わった方がよいのではないでしょうか。

「すごく楽しかった」と児童が感じるような状態で終われば、授業が終わった後に、子どもたちが授業内容について先生に話をしたり、子どもたち同士で話し合ったり、問題を解いていたりと、次につながるような状態になると思っています。

編集

テレビの番組等でも一緒だと思いますが、まずいところは極力省略し、おいしいところをじっくりと楽しめるよう、編集します。

45分もあれば、必要な部分と同様に、必要でない部分もあるはずです。
 「絶対これはおさえておきたい」というような、核となる部分をじっくりと子どもたちに考えさせます。
 それ以外の、「ここは軽視してもいいかな」というような部分に関しては、先生が説明することもあるだろうし、子どもたちを指名していって素早くやってしまうというやり方もあります。

指名のありかた

 様々な指名のありかたがあると思います。名指しや列ごと、分かる人に挙手をさせたり、日付と出席番号を組み合わせてみたり、さらには指名をしない、という選択肢もあります。
 私は、学力やその場の空気で指名のやり方を変えていきます。
 例:「指名なし」が有効な場合
 →思考過程の長い問題などでは有効です。一つ一つ式を出していく際に、指名をして、教師が毎回その過程に入ると空気がだれてしまいます。そのような時は、先生は板書するだけで、子どもたちがどんどん答えていくようにするなど、場面に合わせて指名の方法を変えていくべきだと思います。

身近な素材

 先日、6年生の教室で円錐の授業を行いました。円錐の図を持ってきて、「これを見て何をイメージする?」と尋ねたところ、クリスマスシーズンでしたので、「サンタクロースの帽子」「スノーマンの鼻」「アイスクリームのコーン」など、様々なたとえが出てきました。
 6年生といえども、身近な素材が集まると、空気が温まります。
 例えば、「比例・反比例」という単元があります。よく使うたとえとしては、「三角形の一辺の長さが、他の長さと比例しているよ」というものがあります。そういう題材でもいいのですが、なかなか子どもたちは伝わらないです。それよりも、「100gあたり400円のお肉を300g買ったらいくらになるか?」というように、身近な素材を使うことで、空気が温まっていき、子どもたちにも自然に伝わります。

変化

 こういった実践発表の場でもそうですが、自分はしゃべることが特別に上手い訳ではないので、しゃべりだけでなく、考えてもらったり、問題を解いてもらったり、立ってしゃべってもらったり、僕がしゃべっているのを聞いてもらったりと、変化を付けている訳です。
 これは授業に関しても一緒だと思っていて、ずっと話を聞き続ける授業、ずっと問題を解き続けるだけの授業ではなく、「聞く」「書く」「話す」など、次々と児童の行動を変えることで、どんどん空気を変えるようにします。
 特に低学年・中学年においてはそうだと思うのですが、ずっと同じ空気だと子どもたちは集中力を維持する事が難しいので、適宜入れ替えをしてあげる事が必要だと思っています。

3 算数マスター(基本編・応用編)

<基本編>

1・2年生を受け持った際に行っていたものです。

 児童には、予めスタンプカード(写真真ん中上)が配布されます。授業内容に沿ったプリントを一枚解き終えて、丸をもらうごとにスタンプを一つもらいます。スタンプを規定の数もらうと、その級の賞状(真ん中下)をもらう事が出来ます。それと同時に次の級のスタンプカードをもらい、またスタンプを集めていきます。
 子どもたちはこれに喜んで取り組んでいました。

力もつくし、「級が上がる」ということによって自分自身「力が着いてきたな」と思う事ができ、そのことが意欲につながっていきます。
 これはかなり外発的な動機なのですが、ここから「算数っておもしろい!」という内発的な動機に変わっていくのです。

<応用編>

6年生を対象に行っているものです。

 1ヶ月の初めに1題だけ問題を与えます。
 その際、発想力を試す問題など普段授業中に解くことがないような問題を選択します。
 一週間の間はヒントを与えません。その間に正解を導きだす事が出来た児童には、金色のシールを貼ってあげます。一週間経ったらヒントを1つ掲示し、その間に解けた児童には、銀色のシールを与えます。さらに一週間経ったらもう一つヒントを与えます。そこで解けた生徒には普通の色のシールを与えます。
 こういった工夫を通して、楽しみながら算数に取り組んでいます。
 とりあえず解かせるのではなく、教材にスパイスを加えるということを心がけています。
 授業でも教材でも、何も考えずに提示するのと、ちょっと工夫してから提示するのでは全然違ってくるので、常にそのような意識を持ちながら取り組んでいます。

4 講師プロフィール

伊藤 邦人(いとう くにと)
 立命館小学校教諭。
 『立命館小学校開校と同時に着任。溢れる情熱で「算数の楽しさ」をこどもたちに伝える。小6担任』(立命館小学校ホームページより引用)

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