江戸前の海苔~食の未来を考える~

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目次

1 この記事について

平成21年度の文部科学大臣優秀教員として表彰された東久留米市立第二小学校の濱口先生に授業の指導案を提供していただきました。濱口先生は東京都小学校社会科研究会( http://www.geocities.jp/toshaken05/)に所属しています。
指導案の内容に加え、「しかけ」という項目でこの実践の工夫を紹介します。
指導案のPDF(294KB)はこちらからダウンロードしてください。
添付ファイル
Fさんの生き方を学ぶことで、学習する際に重要な関心を涵養しやすいと考え、この記事では「社会的事象への関心・意欲・態度」の観点について載せます。

2 小単元名:「Fさんと江戸前の海苔~食の未来を考える~」

3 この単元の目標

江戸前の味にこだわり,代々150年間も海苔作りやあさり採りをしている行徳のFさんの生き方にふれる活動を通して,東京湾の環境に関心をもち,いったんは悪化した東京湾の水質が改善されてきていることや埋め立てによって様々な影響が起こってきたことを理解し,東京湾が抱える環境の問題点やこれからの食のあり方を考えることができる。

4 この単元の観点別評価規準

「社会的事象への関心・意欲・態度」「社会的な思考・判断」「観察・資料活用の技能・表現」「社会的事象についての知識・理解」の4つの項目があります。「社会的事象への関心・意欲・態度」以外の観点は添付したPDFを参照して下さい。

観点1.社会的事象への関心・意欲・態度

児童の実態

・漁業の学習で,「東京湾で江戸前寿司のネタはとれるのか。とれないとしたらどこでとれるのか」という学習問題を作って,東京湾でとれる魚があることは知っている。ただ,遠洋漁業などに学習内容が進むにつれ,東京湾自体に興味をもつ児童はほとんどいなくなった。
・調べたことを進んで伝えようとする児童が少ない。他の人任せなところがある。

評価規準

・江戸前の海・東京湾で働く人々の仕事や生き方に関心をもち,その人たちの工夫や努力,東京湾が抱える問題点や改善への道のりについて進んで調べ,そこからわかったことや食と環境について考えることができる。
・調べてわかったことを進んで伝え合おうとする。

目指す児童像、指導上の課題、教師の願い

・Fさんの話から,驚きや矛盾を感じ,学習問題を作ることができる子
・自分の予想から調べの見通しをもてる子

予想される児童の様子

A児
・いろいろなことに興味を示し,学習問題につながるような疑問が次々とわいてくる。
・ワークシートを丁寧に仕上げて,必要なことを自分で書き込んだ。

B児
・学習問題にあまり興味をもたず,自分から調べようとすることがない。
・友だちに教えてもらいながらワークシートに記入した。

5 しかけ

6 Fさんとの出会い(つかむ)

12年間勤めた会社を辞めて,子どものころ嫌がっていた漁師に戻り,海苔作りやアサリ採りをしているFさんの生き方にふれることと,場所が東京湾(三番瀬)であることを知ることで,疑問をもち,学習問題作りにつながる。
「つかむ」とは、学習のめあて(学習問題)をつかみ,予想と学習計画を作るところまでを指します。導入や仮説立てに当たります。

7 ききのり体験(深める)

調べる活動の後で,ききのり体験をすることで,Fさんの海苔・あさり・三番瀬にかける思い・願いについて考えることができるであろう。

「ふかめる」段階では,社会的事象の意味や自分の生活との関連について,理由や根拠を明らかにしながら考えたことを交流し,学習の中で培った社会に対する見方や考え方をさらに広げたり,現在・未来の課題に対する解決策について意見交流したりして,対象とした社会的事象について関心をもち続けることをねらいとしている。なお,現時点では「ふかめる」の内容とねらいには以下のものを考えている。
A【学習した事例をもとに,他の事例について考える】
B【社会や自分の在り方,現在や未来の課題について考える】
また、ききのりを体験することで自分事に落とし込むことができます。

8 Fさんの話(深める)

Fさんの「海苔作りについての不安」の話を聞くことから,環境の変化で影響を受けたり失われたりする食材について気づかせたい。
「本物」であるFさんの話を聞くことで、リアリティーを感じられることでより深い学びになります。

指導計画や1時間目の授業の指導案は添付資料(PDF:294KB)にも詳しく載っていますのでご参照下さい。
添付ファイル

1,3時間目で使用する海苔の写真です。

海苔の引き上げの写真

海苔を引き上げる写真

引き上げた後の写真

始めの海苔の状態

9 より良い実践にするために

活用してみて、うまくいかなかった点や改善策があれば、以下のコメント欄に書いて蓄積し、より良い実践にしていきましょう!

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