万有引力(東京理科大:川村康文先生)

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目次

1 授業内容

東京理科大学の川村研究室で毎週行われている小中高校生向けの実験教室「理科大好き実験教室」から、今回力学分野の「万有引力」についての授業を取り上げました。

取材日:2012年3月8日(第4期第9回)

2 教科書

・『基礎物理学 上』川村康文著 オーム社(pp.92 – 101)
・『理科大好き物理実験 力学編』川村康文編 講談社(pp.130 – 135)

【演示実験】巨大万有引力実験機

作り方

①自転車の車輪に大型ゴム風船をかぶせます。このとき、風船の下部の出っ張りが上に来ないように水平に張ります。
②ゴム風船の中心に印を打ち、5cm四方の方眼を書き入れます。
③出来上がった装置を、大きなゴミ箱や漬け物樽などの中空筒状のものの上に置いて支えます。

実験

①中心に重い鉄球を置いて、ゴム風船膜が強くへこむようにします。バットなどで上から押さえると、へこみ方を変えることができます。
②小さいビー玉やワッシャーをいろいろな位置から転がして、運動を観察します。

ケプラーの法則

【演示実験】磁石の惑星アート

ケプラーの第2法則がどのようなものなのか、もっと理解できるように実験します。

実験

①磁石のついた振り子(惑星)を、中心の磁石(太陽)のまわりに運動させます。
②振り子には色水が入っていて、水は一定間隔でポタポタと落ちます。その水がどのような軌道を描くか観察します。

万有引力の法則

今まで学んだ知識と,今日学んだケプラーの法則から万有引力の法則を導いていきます。

mitakaで宇宙旅行

国立天文台が公開しているフリーソフト「mitaka」を使って、宇宙のさまざまな天体や構造を見てみます。

●リンク
・Mitaka(http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/index.html
・国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(http://4d2u.nao.ac.jp/

【生徒実験】ミニ万有引力実験機作り

最後は,実際に万有引力実験機の小さいものを各自作ります。

作り方

①バケツや漏斗などを使って、風船をかぶせることのできる大きさに加工します。
②小さなゴム風船を上からかぶせます。
③あとは各自工夫して作り上げていきます。

製作

この生徒は耳の部分を取り除いた漏斗に風船を張って、下から風船の口の部分を引っ張って作りました。このタイプは真ん中におもりを乗せずに実験ができます。

大きな実験機作りに挑戦した生徒もいました。

当日の様子

重力場の大きさをゴムのへこみ具合で表現した実験機で、体験を通して惑星の運動を理解していきました。中心に近づくと回転が速くなることや、真ん中においてある鉄球をとると等速直線運動になることも、説明する前にいろいろと試しながら自分で発見していることが本当にすごいなと感じました。
ミニ万有引力実験機作りでは、子どもたちの柔軟な発想が光ります。透明な漏斗を用いることで場のようすを視覚的にもわかりやすくしたり、はたまた「ミニ」とは言えないほどの大きな実験機を作ってしまったりと、想像以上の完成品に驚嘆するばかりでした。
(レポーター:清水 祥彦)

3 講師プロフィール

川村 康文先生
東京理科大学理学部第一部物理学科教授,東京理科大学大学院科学教育研究科教授、1959年,京都市生まれ。博士(エネルギー科学,京都大学)。
“ぷち発明”の第1人者。専門は物理教育・サイエンス・コミュニケーション。
歌う大学教授(環境保護ソング,世界平和を祈る歌など、ホームページで無料配信中。サイエンス・レンジャー(理科実験名人)。

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