「心に響く音楽を求めて」〜転任校での1年間を振り返って〜 part3

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

5.各学年の授業を通して

ここで、授業実践の中から学年ごとに振り返ってみます。一部にすぎないのですが、記します。

【2年生】
学習指導要領の内容に「音楽をつくって表現できるようにしよう」がありますが、拍の流れにのって言葉のリレー遊びやまねっこリズムリレーなどを常時やりました。

また、川崎市では、1年生から鍵盤ハーモニカを導入しています。鍵盤ハーモニカを使っての「まねっこリレー」もよくやりました。「ドレミファソの音の中から3つ吹きましょう。順番に吹いて、皆さんはまねをしましょう。」「前の人の最後の音から次の人が始めましょう。ド・レ・ミと吹いたら、みんながまねした後に、次の人はミから始めるのです。音のしりとりリレーですね。」「今日は、このリズムでやりましょう。」など、バリエーションにしていきました。

ここで大切なのは、教師が次の子の近くに行って入るタイミングを手などを使って合図をしてあげたり、吹いた音の階名をみんなに伝えてあげたりすることです。

また、「難しいと思ったら、同じ音でいいのですよ。」と言って見本で吹いたりしました。そんな些細な留意をすることで子どもたちは安心して活動できたのだと思います。

また、1拍のリズムカード(4分音符や4分休符、8分音符、8分休符がかいてある1拍分のカード)をつかい、2小節のリズムパターンをつくり、友だちと組み合わせて表現を楽しむ活動をしました。カードをつかったリズムづくりやリズム表現は自然のリズムの流れが不自然なリズムにならないだろうか、興味をもつだろうか、できるだろうか、など不安がありましたが、子どもたちは、一人ひとりとても楽しく自分のリズムをつくりっていました。

そして、友だちと組み合わせる時は拍を感じながらリズム打ちをしてリズムパターンをつくっていました。みんなとてもうれしそうな表情をしていました。リズム譜にもいつの間にか親しんでいることになったようです。

これは、川崎市の音楽研究会の仲間8人で研究し、実践したもの中のひとつの活動例です。川崎市教育委員会と川崎市小学校教育研究会で川崎市の教員に配布するために作ったものです。20年度は「確かな学力の向上をめざした学習指導の工夫と改善」‐学習指導要領の改訂に伴う移行措置の実施に向けての資料ーというタイトルで、全教科にわたり制作され、川崎市の小学校教師全員に配布されました。

【3年生】
リコーダーの他にも3年生は身体表現もやるようにしました。「茶つみ」では手遊びを楽しみました。始めは慣れない手つきでやっていた子どもも回数を重ねるごとに歌に合わせて手を動かしたり友だちと手を合わせたりすることが上手になり、うれしくなるようで笑顔でやっていました。
授業が5分ほど早めに終わりそうな時、よく「手拍子まわし」や「なべなべそこぬけ」もやりました。特に「なべなべそこぬけ」が子ども達は大好きです。2人でやっていましたが、人数もだんだん増えていきました。手を挙げている友だちの手トンネルを通って裏返しになるのが楽しいようでした。古くから伝わる遊びは伝承していきたいものです。

「バードウオッチング」はステップを踏んで動きながら曲の感じの変化を感じ取りました。全員で、また、みんなの前に出て踊ったりしました。昨年人気のあった「ポニョ」も音楽に合わせて踊りました。

それらの影響もあるかもしれません。音楽が流れてくると、自然に音楽に合わせて身体が動いてくるようになりました。ブルグミューラー作曲の「馬にのって」を鑑賞した時、音楽に合わせた身体の自然な動きから、旋律の変化やA—B—Aの繰り返しが感じ取れました。&鑑賞曲「ハックルベリーフィン」は冒険する様子が音楽で表現されているのですが、音の大小、速度の変化、雰囲気を素早く感じ取りながら身体表現を通して鑑賞しました。
とても上手く表現する男子がいて、その子を中心に数名がみんなの前で音楽に合わせて表現し、大きな拍手をもらったりしました。音楽に苦手意識をもっていた子どもも楽しい雰囲気の中で学習できました。

【4年生】
『日本の音楽に親しもう』の題材では、各地の郷土の音楽をDVDで視聴した後、「こきりこぶし」を歌う展開例が教科書指導書にでています。歌に合わせてリズム伴奏を工夫する時、私は本物の「こきりこ」や「ささら」を使わせたいと思いました。

しかし、学校にはありませんでした。そこで、授業をする前日、浅草周辺の和楽器のお店をインターネットで調べ、1軒1軒お店に電話をして問い合わせました。そして、雨の中を買いに行き次の日の授業で演奏体験に間に合いました。苦労した甲斐があり、子ども達はささらなどの和楽器や日本の音楽にとても興味をもつことができたのでよかったです。

また、木管楽器の音楽の鑑賞では、本物の楽器の音色をぜひとも聴かせたいのだがどうしたらよいだろうと思っていたところ、本校職員でフルートとオーボエの上手な方がいましたので、ゲストテイチャーとしてお招きして演奏やお話をしていただきました。子どもたちは楽器を前にして、いろいろなことを発見したり感じたりできました。

【5年生】
ミュージックベルが5組も音楽準備室にありましたので、グループでクリスマスソングなどを演奏して楽しみました。前時で和音の学習をした時「分かりにくい、難しい」との感想がありました。そこで、ミュージックベルを和音の学習にも生かしてみようと思いました。和音の種類と音の構成を学習した後、「静かにねむれ」の曲の和音のカードを掲示しました。
一人1個のミュージックベルを持ち、曲に合わせて自分の持っている音が出てきたら鳴らすようにしました。主要3和音の響きの変化が感じ取れたようです。そして、ほとんどの子どもたちは、「和音が分かった、きれいな響きだ」との感想をもっていました。さらに、次時では一人ひとりがリコーダーを使い、曲に合わせて和音の中から音を選んで演奏しました。

また、5年生は担任の先生の「歌う子どもたちにしたい」との願いがあり、後期は合唱から始めました。あまり声を出すほうではないのでどのように授業を進めようかと考えました。主体的にグループで進めていくことが一番理想的だと思っていましたので、その学習形態でやることにしました。

毎時間、「今日のめあて」をグループで練習して気付いたことを言い合いながら、高めていくのです。例えば、ゆかいに歩けば」の曲を<高音部を正しく歌おう>、<低音部を覚えよう>、<低音部と高音部を決めて合わせてみよう>など、その時間のめあてで指揮者中心にグループ練習をするのです。そして毎時間、全員で歌います。意外に男の子が中心になることも多く、積極的な姿が見られるようになりました。

5年生は八ヶ岳に自然教室に行きますが、キャンプファイヤーで「キセキ」という曲を元気よく大きな声で歌っていました。子どもたちはこの曲が大好きだったようですので、音楽の授業に生かせないかと思い、楽譜を購入してリコーダー奏ができるように易しく楽譜を書きました。
好きな曲だったこともあり、易しく書いたとはいえ、指を速く動かす部分があったりして多少難しいところもありましたが、がんばって一生懸命練習をしていました。

そして、学習発表会では、音楽を希望した子どもたちが「キセキ」を器楽合奏しました。卒業式ではこの曲を退場の音楽として、5年生全員で演奏をしました。長い時間何回も繰り返したのですが、途中で投げ出す子もいないで立派に演奏できました。

【6年生】
音楽に対して見えない壁を作ってしまいがちな雰囲気もあるようでしたので、まずは自分たちで選曲をして、歌ったり、リコーダー奏をしたりするようにしました。選曲に当たって初めはジャンルをあまり問わないことにしました。何の曲にしようか相談したり声や音を合わせたりしていくうちに、見えない壁が少しずつ薄れていく子どもたちが増えていくようでした。

毎時間の最後に短い曲を鑑賞する時間もとりました。また、学習振り返りカードも準備して、私も一言記入するようにしました。これは前期だけやりました。時々音楽室に入ってくる6年生が「私、〜の曲、また聴きたい」「聴いたことがある」など伝えに来てくれる子もいました。「ふるさと」は懐かしい感じがするから好き、という子もいました。

高学年になると、感想発表などを避けたがるようになる傾向の子どももでてくるようです。振り返りカードへの一言感想の記入や休み時間などに話に来る中からふっと「自分の本音」が聞けることがあるようです。そんな時間を大切にしなければと思いました。

鑑賞では、いろいろな国々の音楽を知るときには映像とともに鑑賞するようにしました。

part4に続く。
http://edupedia.jp/entries/show/584

引用元

第58回読売教育賞受賞論文 「心に響く音楽を求めて」〜転任校での1年間を振り返って〜 志村恵子先生より引用
「この記事・写真等は、読売新聞社の許諾を得て転載しています」
「読売新聞社の著作物について」
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読売教育賞

読売教育賞は昭和27年に読売新聞社が教育の発展の一助にと第1回の募集を始めて以来、わが国最高の教育賞の評価を得ております。
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選考は、実績の有無や年齢、性別などに一切とらわれず、純粋に研究と実践の成果、特に最近の活動を中心に行います。理論研究だけといったものは避け、子どもの成長や地域社会の発展に具体的にどう寄与したか、どのような成果をあげたか、といった点を重視します。

http://info.yomiuri.co.jp/culture/kyoiku/

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