「心に響く音楽を求めて」〜転任校での1年間を振り返って〜(志村恵子先生) part1

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

はじめに

小学校の教諭として30年余りが過ぎた一年前、私は川崎市立F小学校に転勤しました。学級担任をしていたことがほとんどでしたが今回は音楽専科ということでした。学校がやや落ち着かない雰囲気があるようなことを聞いていました。三月の校長面接の時、「子ども達が良い方向に向くのには、音楽の力も有効なのではないかと思うのだが。」とつぶやいた言葉が印象に残っています。

四月当初、大勢の子どもの中には、廊下ですれ違う時挨拶をしても無言ですれ違う子や授業中に立ち歩いてしまう子もいました。素直に自然に自分を表現することに対して苦手な子どもも多いように感じました。私は赴任先の学校で不安を感じながらも、きっと良かったと思ってくれる子どもがいるだろう、そして誰かがやらなければならないのだと思い、儚き願いと強い意志をもって毎時間音楽の授業に臨むことにしました。

これは、立派な研究をした報告というのではなく、あくまで地道に子供の目線に立った授業を心がけるようにした実践の中からまとめたものです。この報告書を書くことで一年間を振り返り、児童の成長や変容を再確認したいと思います。そして実践のまとめをすると同時に次のステップに向かいたいと考えました。

1.児童の実態把握

授業を始めるのに際し、各担任の先生に音楽の授業に必要なものを伝え、音楽袋を用意して入れて持ってくるようにしてもらいました。また、音楽室に来る時は、担任の先生に並んで連れてきていただくようにお願いしました。私の担当は、2年生から6年生まででした。

そして、児童の実態を把握しました。

◯2年生:クラスの人数が29名で少なく音楽室に来て座るとこじんまりとしているが、歌が大好きな児童が多かった。

◯3年生:小さなトラブルはあるようだが熱心に練習に取り組む姿が見られた。数名、音楽が苦手な児童がいるようだった。

◯4年生:喉に力を入れて歌いがちな児童の声が目立つが、落ち着いて音楽を楽しもうとする傾向がみられた。

◯5年生:男子に元気(威勢)がよい子ども達が多いようだったが、合唱や合奏をすることを求める児童も静かに存在していた。

◯6年生:自分本位な行動をしがちな児童もいたようだが、リコーダーや鑑賞が好きな児童も結構いた。意欲面で開きが見られた。

しかし、共通して言えることとして、次の4点があげられました。

1 クラスのなかに数名だが、少しでも難しいと感じると「ムリー」「デキナイ」「ヤンナイ」という声がきかれた。

2 友だちが演奏していてもおしゃべりをする子がいる。

3 一つの活動が終わるたびにおしゃべりをしてしまう。

4 リコーダーの苦手な児童が多かった。

5 丁寧に接したい児童が各クラスに数名はいる。

以上を考慮しながら目標を考えることにしました。

2.学校目標と音楽科の目標

学校には学校目標があります。本校の目標は、

◯進んで学び、よく考え表現する子
(みずから学ぶ子)

◯心豊かで、やさしく思いやりのある子
(思いやりのある子)

◯進んで仕事をし、力を合わせて取り組む子
(すすんでやる子)

◯心身ともに健康で、たくましい子
(たくましい子)

でした。

そこで、学校目標を踏まえながら音楽の目標を決めました。

音楽における経営目標

音楽に対して興味をもち楽しく表現活動する子

やさしい心で友だちの表現を聴き合ったり、鑑賞したりすることを通して音楽の美しさや楽しさを感じられる子

そして、さらに分かりやすいように簡潔に「音楽の表現や鑑賞を楽しみ自分から活動する子の育成」としました。
本来なら音楽的感受のようなことを入れたいところなのですが、転勤しての1年目は、まず楽しんで活動し、自分から動き出せる子を目指したいと思いました。また、学年ごとに力を入れて指導したいことを明確にしました。

◯2年生は歌が好きなので、それを活かし授業の始めにみんなで歌いたい曲を順番に3人で1曲ずつ選び3曲を歌うようにする。そして、身体表現や言葉やリズムを使った音楽遊びを多く取り入れるようにする。

◯3年生は、リコーダーの導入があるので、奏法の基礎基本を定着させるようにする。

◯4年生はグループ活動を多くし、楽しく歌ったりアンサンブルをしたりする。そしてラテン楽器や和楽器にも興味がもてるよう
にする。

◯5年生は、自信をもたせ、リコーダーの基本的な奏法の徹底とともに合唱にも親しむようにする。

◯6年生は、ワークシートの活用を通して学習の振り返りをしてその積み重ねを実感できるようにする。さらに毎時間ショートの鑑賞タイムを設けて、音楽を聴くようにする。卒業式で歌うことを意識させる。

part2に続く。
http://edupedia.jp/entries/show/586

引用元

第58回読売教育賞受賞論文 「心に響く音楽を求めて」〜転任校での1年間を振り返って〜 志村恵子先生より引用

「この記事・写真等は、読売新聞社の許諾を得て転載しています」
「読売新聞社の著作物について」
http://www.yomiuri.co.jp/policy/copyright/

読売教育賞

読売教育賞は昭和27年に読売新聞社が教育の発展の一助にと第1回の募集を始めて以来、わが国最高の教育賞の評価を得ております。
 
わが国の教育を支えているのは小・中・高校、幼稚園、保育所などの先生、その活動を援助する教育委員会、教育研究所、あるいはPTAや地域社会の教育関係者であることは、申すまでもありません。「読売教育賞」はこうした教育現場で、意欲的な研究や創意あふれる指導を行い、すぐれた業績をあげている教育者や教育団体を広く全国から選び、その功績を顕彰することにより、現場で指導する人々の励みとし、ひいては多様で創造性に富む教育環境づくりを推進することを目的としています。

選考は、実績の有無や年齢、性別などに一切とらわれず、純粋に研究と実践の成果、特に最近の活動を中心に行います。理論研究だけといったものは避け、子どもの成長や地域社会の発展に具体的にどう寄与したか、どのような成果をあげたか、といった点を重視します。

http://info.yomiuri.co.jp/culture/kyoiku/

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