ユニット学習のすゝめ (山根大文先生)

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作成者: 山根大文さん

1.1 発表概要

最近のトレンドとして、「活用」が叫ばれています。活用の定義は思考力、表現力、判断力です。例えば、国語科でいう活用とは、対話、記録、要約、説明、感想です。しかし、基礎学力がないとこれらの「活用」を行うことは困難です。したがって、「活用」と知識などの「習得」をバランスよく学習することが大切です。山根先生の学級では、基礎学力を向上させるために、ユニット学習に取り組み、成果をあげています。この記事では山根先生が学級で行なっているユニット学習を中心に取り上げます。

1.2 発表動画

1.3 ユニット学習とは

ユニット学習とは

ユニット学習は授業内の時間を分割し基礎的な反復学習を行う、モジュール学習を短縮したものです。山根先生の学級ではこれを5分間で行います。最初の2分間で音読、次の2分間で百マス計算、最後の1分間で漢字といったようにスピード、テンポ、タイミングよく取り組みます。組み合わせが自由で、誰でも簡単にできます。山根先生の学級では、朝の会や授業の導入として、毎日ユニット学習を行なっています。

モジュール学習との違い

モジュール学習は45分の授業の枠を3分割し、音読、計算、漢字、外国語などを自由に組み合わせて行います。しかし、このモジュール学習は学校単位でカリキュラムを変えて取り組まなければならないため、導入が難しくなりますが、ユニット学習は担任の裁量で始めることができます。

1.4 4月時の山根学級の状況

基礎学力がない

学力の高いABランクの児童は活用する能力があります。しかし、学力の低いCDランクの児童は活用が難しいので、まずは習得させることが必要です。習得が必要だと考える理由は以下の4点です。

  1. 漢字が読めない
  2. 言葉の意味がわからない
  3. 読むことに慣れていない
  4. とにかく書けない

国語のテストのチャレンジ問題でやった文章を学力の低い児童に音読させると、
森林・・・「しんりん」を「もりはやし」と読む
作用・・・「さよう」を「さくよう」と読む

クラス全員の子を音読させてみると、音読とテストの点数に相関関係があることがわかりました。

学習規律がない

また、学力が低い児童は、学習規律が見に付いていません。

例えば、学級が以下のような状況では、授業をすすめることは難しくなります。

  1. 忘れ物が多い
  2. 姿勢が悪い
  3. 暴言、暴力
  4. 私語が多い

したがって、まずは学級づくりを優先して行います。(学級づくり:授業力=8:2)その学級づくりに、徹底反復学習が非常に効果的です。徹底反復学習で学習意欲を向上させ、基礎学力も身につけ、学級の規律を身につける、という正のスパイラルを起こします。

1.5 徹底反復学習の例

徹底反復学習ができること

  1. 漢字が読めない→漢字の徹底反復
  2. 言葉の意味がわからない→辞書引き
  3. 読むことに慣れていない→音読
  4. とにかく書けない→百マス作文

1.6 漢字の徹底反復

1年生から5年生までの漢字を書けない6年生の児童がたくさんいます。特に学習漢字が増える3年生、4年生からつまずく児童が多いです。したがって、担当学年の漢字前倒し学習だけでは学力は向上しません。既習の漢字もさかのぼって学習させる必要があります。具体的には、1年生から6年生までの漢字を1週間ごとに早書きをさせます。次の週に同じものをテストし、8割以上書ければ合格、書けなければ再テストを行います。再テストになると、児童は恥ずかしいので、一生懸命取り組みます。努力しだいで誰にでも習得できるため、学習意欲の向上にもつながります。

(児童の声)

  • 漢字の前倒しはよい。
  • 書けるマスがどんどん増える。
  • 漢字の前倒しにより、夏休みにすでに6年生の漢字を覚えていた。
  • 夏休みに全て覚え、後は少しつ復習すればよい。

音読 平家物語

姿勢を意識して読ませています。難しい漢字があるのに、児童はすらすら読めるようになります。声がそろうと気持ちがよいので、学習意欲の向上にもつながります。

(児童の声)

  • 漢字が覚えられる。
  • 暗記ができて楽しい。
  • 仲間と声がそろうと気持ち良い

辞書引き 

辞書は机の上に置いておかせます。いつでも引いてもいいことにし、引いた箇所には付箋を貼るように指導します。付箋を貼った分だけ自分の語彙が増えるということで、児童たちは喜んで取り組みます。しかし、低学年から取り組まないと、付箋を貼ることに喜びを感じません。したがって学校体制で辞書引きに取り組む必要があります。

また、辞書を引く習慣が身につくということは、語彙が増えるだけではなく、自分で調べるという自学の精神が生まれます。授業の途中でわからないことばがでてきたら、すぐに辞書引きをさせます。全員が1分以内に引けるように指導し、引いたら立って音読をさせます。早い児童は10秒程度で引けるようになります。

(児童の声)

  • 知らない言葉がわかる。
  • 熟語がわかる。
  • 文章を書くとき、習っていない漢字が書ける。

百マス作文

普通の作文帳を使用します。普段の日記と一緒です。作文帳の表は日記、裏を百マス作文として使用します。

帰りの会の1分間で一日の反省を書かせます。残りの30秒で五七五にまとめさせます。とにかく書く馬力をつけさせるために、1分間に100字を目指し、「漢字を使わなくてもよい」、「丁寧に書かなくてもよい」としています。五七五にまとめることで、要約力を鍛えることもできます。

しかし、一日の反省をすぐに書くことは難しいので、朝の会で一日の目標を立てさせます。居酒屋『てっぺん』の挨拶を参考に、まず班員全員が「おはようございます」と言って、一人ずつ自分の今日の目標を宣言させます。この朝の会宣言をもとに百マス作文を書かせます。

次に教師が一番良いと思った班を指名して、同じ事をやらせます。また、挨拶が終わった後にハイタッチをするなどして、コミュニケーション能力を高めていきます。

(児童の声)

  • 俳句にまとめるので、要約力がつく。
  • 感想文、意見文が、早くかける。

百マス計算百割C型

百割C型とは余りがあり、繰り下がりのある割り算です。例えば、31÷4は商が7、余りが3となります。この場合、余りの3を31−28と、繰り下がりのある引き算で出さなければいけません。このような割り算を2分間で何マスできるかチャレンジさせます。昨日より書けたマスが多ければ、自分の伸びを実感でき、学習意欲の向上につながります。

(児童の声)

  • 伸びがわかり、達成感がある。
  • 計算が早くなる。
  • 国語の授業でアイディアが浮かぶ。

1.7 記録をつけて学習意欲を向上させる

ユニット学習が終わったあとは、児童に必ず記録を付けさせます。書けた文字数、書けたマス数、漢字の正解数などを記録することで、児童は成長を感じることができます。大切なことは、「やればできるという自身」を持たせ、学習意欲を向上させることです。その際、他の児童の記録を意識させず、あくまでも昨日の自分の記録に意識を向けさせる必要があります。

1.8 学習規律を身につけさせる工夫

学習規律を身につけさせるために、朝の会で行うユニット学習のプリントを毎朝クラスに置いておきます。先生が配布するのではなく、児童に自主的にプリントを取りに行き、学習の準備をさせます。毎日これを行うことで、次第に学習規律が身につきます。

1.9 ユニット学習の効果

よく手が挙がります。

とにかく書きます。

以前は5分〜10分時間をとっても、道徳のワークシートが書けませんでした。人の心情など答えがないものを書くことは難しいようです。したがって、まずはとにかく書く習慣づけをしました。今では、書き残すことはなく、2分で書くことができるようになりました。

発表がとぎれません。

学級づくりや日頃から声を出す訓練をすることで、発表しても恥ずかしくない雰囲気を作ります。女子や今までは発表をあまりしなかった児童も、発表するようになりました。

最初の時期は、学級づくり:授業力=8:2で、学級づくりを優先して行いますが、これでは学力が伸びていきません。ユニット学習をすることで、学級づくりが安定してきたら、学級づくり:授業力=8:8で、「活用」力を高めていきましょう!

1.10 編集後記

ユニット学習の基本姿勢は児童一人ひとりを認めてあげることだと思いました。他人と比べることなく、昨日の自分と現在の自分の成長を実感させることが大切です。「やればできるという自信」を持つことようになれば、児童の学習意欲は向上します。一人ひとりがやる気に満ちている学級は、自然と授業に取り組みやすい雰囲気になっていくのでしょう。集団授業で一人ひとりを認めてあげられないこともあるなか、山根先生のユニット学習は、児童一人ひとりに目を向けた素敵な取り組みです。(レポーター 下村太郎)

1.11 講師プロフィール

山根大文 (やまね ともふみ) 徹底反復研究会中国支部福山支部長

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