『千年の釘にいどむ』を題材とした、ICTを活用し、理解を深める授業(港区立青山小学校)

GOOD!
39358
回閲覧
86
GOOD

作成者: 港区立青山小学校さん

港区立青山小学校 渡辺満子先生

本授業は、光村図書・小学校5年用教科書の単元「本は友達」中『千年の釘にいどむ』(内藤誠吾)の後半部分を題材に行われました。本時の目標は、「本に親しもう」です。
(参考URL: http://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasyo/syogaku/kokugo/5nen.html

1 授業内容


授業のはじめに、各自に一人で文章を黙読する時間を与えました。

この際、先生は子どもたちに対し、文章全体を理解するような「説明文的な読み」と、主人公である白鷹さんの人物像を理解するような「伝記的な読み」をさせる2つの問いを与えていました。

なぜこのような2つの「読み」が必要であるかというと、この『千年の釘にいどむ』という文章が、釘の作り方を説明すると同時に、主人公である白鷹さんの生き様を描いた伝記的な側面を持つものであるからです。

「説明文的な読み」について

1. 説明文的な読みをさせるために、「どうして釘の形が違うと、強さも違うのだろう」という問いを与え、本文中のその答えとなる部分に赤線を引かせ、その部分についての感想を書かせました。

文章を読み、新たな知識を得て、知的好奇心を持つ事も重要です。しかし、先生はそこに留まらず、その「わかったこと」に対して感想を持たせようとしていました。そうすることで、表面的な理解だけでなく、文章の行間に見える作者の意図を読み取ることが出来ると考えているそうです。

2. 赤線を引いた部分とその感想を児童に発表させ、電子教科書を使って、各々がどこに線を引いたのか、即座に全体で共有しました。

一人に発表させるごとに、「同じところに線を引いた人はどのくらいいますか?」と全体にたずね、多くの児童が手を挙げていました。

このことによって、児童一人ひとりの着目点・感想の共有にかかる時間を大幅に短縮することが出来、その分の時間を他の部分に回すことが出来るため、授業時間を効率的に使うことが可能になります。

3. 積極的な発言と、それぞれの意見に対する他の児童からの反論などを交えながら、最後に全体の意見を統合し、「木と釘の関係を上手く利用して、形が造られている」という結論に至りました。

以上のようなプロセスを通じ、結論を導きだす事で、文章全体に対する理解を深めることが出来ました。

「伝記的な読み」について

1.「伝記的な読み」をするために、「白鷹さんについてわかるような文」に青い線を引かせました。また、それを踏まえて、「白鷹さんがどのような人であるか」を書かせました。

その際、渡辺先生は、「人物の『会話』や『行動』、『気持ち』に着目して読みましょう」と呼びかけていました。

2. 電子ペンパソコンプロジェクターを利用しながら、「白鷹さんがどのような人であるか」という問いに対する各々の答えを、即座に黒板で全員の回答を共有しました。

電子ペンを使用し、専用の紙に記入する事で…

このように黒板に貼付けたスクリーンに解答が即座に投影されました。

3. スクリーンで共有した後に、さらにその答えに至った理由を、児童が互いに指名していく形式で、より詳しく回答させました。

全員が発表し、互いの意見を聞く事で、白鷹さんの人物像についての理解がより深まりました。

子どもたちは、白鷹さんの「生き様」を学び、それを自分自身と照らし合わせて、自分の中に取り込んでいきました。そうすることで、「説明文的な読み」だけでは得られない、働くことや人生などについて考えるきっかけを得る事が出来たのではないでしょうか。

2 先生の声

この授業を実際に行われた、港区立青山小学校の渡辺先生に授業後、お話を伺いました。

電子ペンの利点について、以下の通り挙げていました。

  • 意見を即座に共有出来ること
  • 普段手を挙げられない児童にも、自分の意見を発表する機会を与えられること
  • そういった児童が授業中に「ぼー」とするだけになってしまうのを避けられること
  • 同じ意見に同じ色を付けてまとめることで、グループ学習がしやすくなること

 
また、電子教科書の利点についても、以下の通り挙げていました。

  • 授業の準備や復習等を効率化出来ること
  • 授業中も黒板に書く時間を省略することが出来ること

 
一方で、導入の際には、機械の操作が苦手であるため、苦労する点が多かったと仰っていました。

しかし、先生が操作に困った際にも、児童に操作させてみるなどして、児童たちの力も借りながら使用していくことで、円滑に授業を進めていくことが可能になるそうです。

3 編集後記

少人数の学級において、児童一人ひとりが、自分の意見を物怖じせず積極的に発言している姿が印象的でした。

ICTの導入により、授業前の準備や、板書など諸々の動作の手間が省け、授業の効率化を進むことはもちろんですが、この授業のように様々な意見が出され、それらを共有・集約することで、児童のより深い学びを生み出している理由は、それだけではなく、意見を言いやすいような雰囲気を生み出し、それを引き出す先生の技量も大きいのではないかと思いました。
(レポーター:EDUPEDIA編集部 薗田誠也)

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。