「勉強」についての3つの新常識~自主学習を進める中でわかってきた子どもたちの誤解~「答えを見たらズル」?

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ページ数を指定して、内容を子どもたちに任せる家庭での自主学習を続けてきて気付いたことがある。「勉強するということがよくわかっていない子どもたちがかなりいる」ということだ。

目次

1.1 子どもたちに「自分で勉強する」ということを教える

月曜日に一日がかりの出張があり、昨日の放課後に5時間分の自習を準備してきた。

自習は全て自分で答合わせできるようにし、できなかったところ・間違ったところは家庭での「自主学習」でもやり直すように指導している。教師が丸付けをすることにこだわる先生もおられるが、ぼくは「自分で自分の間違いを発見し、弱点を克服できる力をつけてほしい」と願っている。

1.2 漢字の学習の進め方

漢字は子どもが丸付けをしてもなかなか正しい形になりにくいもののひとつだ。子どもたちが自分で丸を付けていても間違ったままのことが度々ある。そういう時はまず×をつけてやる。間違っていることがわかれば子どもたちはどこが間違っていたのか詳しく観察して直してくる。

それでもダメなときに初めて正しい答えを書いてあげるようにしている。間違った字はそのワークの空いているところに練習する。自分で間違いを発見できたときは3回。先生に書いてもらったときは5回。2回目間違ったときは10回。というように決めて、子どもたちが注意深く、丁寧に進める習慣を付けさせる。

間違った部分を直接ワークに書くのは、先生方には不評だった。仕上がったあとの見栄えが悪いからだ。だが、ワークは見栄えのためにやっているわけではない。二度と同じ間違いをしないようにすることが最も大切だ。

意外なことに保護者には好評だった。「これならできるようになりそうですね」と。何ができて、何ができないかを明らかにする。そして、それを何ができて、何ができないかを明らかにする。そして、それをすぐに確実に修正するためには別のノートに練習するより、その場ですぐに直すことが有効的だ。

1.3 「勉強」の意味を勘違いしている子どもたち

分からない問題があるとき、それでずっと悩んでいるのが勉強だと思っている子がいる。そんな子には「答えを見れば?」って言ってやると、大抵「えっ!」って顔をする。なぜだか知らないけど、答えを見て書くのはズルいことだと思っているらしい。

分からないこと、覚えていないことをどれだけ考えていても時間の無駄というもの。それよりさっさと諦めて、覚える作業に入った方がいい。答えをちらっと見ただけで「ああ!そうか!」と思い出したら、その瞬間に正しい答えの記憶は強化されている。

「時間を有効に使うこと」を徹底し、「次回、同じ間違いをしないようにする」という勉強の意味を教える。

子どもたちの「答えを見たらズル」っていう感覚は、「勉強すること」とは真逆の考えだということを早く教えてあげないといけない。答えを見て、解き方や正しい答えを思い出したり、覚えたりすることが最も大事なことなのだ。一体こういう感覚はどの時点で刷り込まれるのだろうか?

1.4 「答えを見たらズル」という勘違い

それは子どもたちが、1つの問題は「1度しかやらないもの」だと思い込んでいることから来ているのではないだろうか。

子どもたちの誤解を解くための「勉強」の3つの常識を考えてみた。

  1. みんな最初はできない。できないから勉強する。
  2. 繰り返しやれば誰でもできるようになる。
  3. 間違って覚えることを避けるため、できるだけ早く修正する。

手取り足取り教えてくれ、直してくれ、反復練習させてくれるのもせいぜい小学校まで。きめ細かな指導が行える小学校時代こそ、この3つのことをきちんと教え、子どもたちが「自分で自分に必要な勉強をする力」をきちんと育ててあげることが必要なのではないだろうか。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • ひたすら答えを写して覚えようとしたら、紙代がかかって仕方ないし、用意するのも大変ですね。2回目以降は問題用紙を残しておいて、ノートに答えを書かせてはどうでしょう。学力調査でも問題用紙と回答用紙が別になっているものが多く、その練習にもなります。

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