今田のサギソウ復活大作戦(指導案)

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目次

1.1 比較し分類する思考力を育てる事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。

添付ファイル

単元の目標

地域の絶滅危惧種である「サギソウ」を栽培したり,守ろうとしたりする活動やそれを多くの人に伝えようとする活動を通して,地域の自然や文化にかかわる人々の努力や工夫,自らの可能性や 有用感に気付き,自らのふるさとを大切にしようとする態度を育てる。

評価規準

【課題追究の力】体験活動等を通して生じた疑問を課題として設定し,その解決を目指している。

【情報活用の力】多様な情報を収集し,それらを整理・分析することで必要な情報を取り出している。

【論理的思考の力】対象を複数の視点で分析したり,比較したりし,そこから新たな考えを生み出している。

【表現する力】目的や相手を意識して資料送付の依頼文を書いたり,自らの考えを効果的に発表したりしている。

教材

本単元で扱う「サギソウ」は,環境省の日本版レッドデータブックに絶滅危惧種と指定されている,ラン科の多年草である。当該地域においても開発や乱獲により自生地が激減している。

貴重な「サギソウ」の復活に向けて保護活動を行うことを本単元の中心的な活動とし,栽培や自 生地観察,サギソウの啓発活動などを地域や行政,専門家と連携して行う学習である。

これらの活動から,サギソウを含む地域の自然環境まで意識を広げ,自らが地域に貢献する場面を設定することで,地域の一員としての自覚をもった児童の育成を期待して単元を構成した。

主な学習活動

(1)単元の展開(全70時間)

(2)本時の学習

植物園・自然系博物館に対してサギソウの状況を知るために,ワークショップを行ったりアイ ディアを整理したりする活動を通して適切なアンケートを作成することができるようにする。

【指導事例と学習指導要領との関連】

小学校学習指導要領 第5章 総合的な学習の時間 第3の2の(6)において,「学校図書館の活用, 他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等との社会教育施設や社会教育関係団体等との各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。」と示している。

児童が問題の解決や探究活動を進めていく過程で,課題の内容によっては,自らの力では必要な情報を収集することができないことも考えられる。そのときは,学習の必然性に配慮しつつ,図書館や博物館等の社会教育施設の利用を促進し,必要な知識や情報と適切に出会わせる工夫が求めら れる。これにより,児童は課題の解決に必要な情報を収集することが可能となるばかりでなく,これらの施設においてどのような情報を収集するのか,どのような方法で収集するのか,どのようにして蓄積するのか,などの準備も児童が自覚的に行うことが期待されるのである。

本事例は,サギソウの保護活動を行う中から地域の人に対してサギソウの危機状況について発表する必要性が生まれ,それを行うために必要な情報を収集する方法としてアンケートの在り方やそ の内容を考える場面である。そこでは,全員の意識を可視化する作業を行い,それらを整理するとともに,既存のアンケートと形式等を比較することで,どんな内容のアンケート調査にすることが より適切であるかを考えることが求められる。

そうした比較し分類する思考力を育成するために,KJ法的手法によるワークショップを行い, 最初に小集団での活動,次に学級全体での活動と段階によって人数を分けて話し合うこととした。

【言語活動の充実の工夫】

サギソウの保護活動を行うとともに,校区内のサギ ソウの自生地の調査活動も行ってきた。その結果,自 生地が4か所に減ってきていることや絶滅の危惧が高 まっていることを知り,この状況について地域の人に も理解してもらう必要性がでた。今後の保護活動を示 すような説得力ある発表とするためにも,全国の情報 を収集し分析することを求めることとなった。

本時では,情報収集の方法としてのアンケート調査 について考察し,どのような形式をとるべきか話し合った後,どんなアンケート項目にするべきか,その内容を検討して判断する活動を行った。 まず,小集団グループに分かれた活動である。1人1人の児童が自らの問題意識から調査したいと考 える項目を付箋紙に書き,それらをKJ法的手法に より整理する活動を行った。これにより個々人の意 識が可視化されるとともに,グループ内に共通の意識も顕在化することとなった(上段写真参照)

続いて,各グループの代表者がグループの活動内 容をまとめたカードを数枚持ち寄り,全員の前でK J法的手法により整理する活動を行った。これを見 ながら全員が参加して話し合い,アンケート項目を作成していった。ここで整理する視点として,「何 を知りたいのか(目的意識)」「集めた情報は整理 しやすいか(方法意識)」「専門家の負担にならな いようにするにはどうしたらよいか(相手意識)」 を意識しながら行った。整理された項目をまとめて アンケート用紙を作成した(下段写真参照)。

全員の児童の問題意識を可視化し,それを構造的 に整理しながらまとめる作業によりアンケートを作成する活動は,まさに比較し分類する思考法をモデル化することと言える。特に,探究活動の目的を明 確にし,思考する必然性が高まることで,より実践 的な思考力を育成することにつながると言える。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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