風やゴムの働き(理科 指導案)

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目次

1.1 データを解釈し,集団で協議する事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。

添付ファイル

単元の目標

風の強さやゴムが伸びる量を変えて車が進む距離を比較し,車が動く距離を調整する活動を通して,風やゴムの性質や規則性についての見方や考え方をもつことができるようにする。

単元

ゲーム要素を取り入れた活動を設定することで,児童が主体的に問題を追究し,風やゴムの性質 や規則性をとらえられるようにする。車の進み具合を調整するためには,風の強さやゴムの伸びと 車が進む距離の関係を実験を通してとらえていく必然性が生じるからである。また,ゲームを進めるにあたり,「風やゴムの力を3回働かせて到達させる」というルールを設定することにより,「残りの距離が○cmだから,グラフから考えるとゴムを○cm伸ばすとうまくいきそうだ。」というよう に実験結果を生かした話合いを展開するなど集団で協議する場となる。このように,データを解釈 ・説明したり,集団で協議したりすることにより,思考し,判断し,表現する力の育成につながると考えた。

主な学習活動

(1)単元の指導計画(全9時間)

(2)本時の学習

1. 目標 車をゴールラインにできる限り近づけて止めるゲーム「ゴムカーぴったり名人ゲーム」大会を上手に行うために,ゴムの伸び量と車が進む距離を分布図で比較し調整しながら,ゴムの性質や規則性をとらえることができるようにする。

2. 本時の展開

  • ゴムを大きく伸ばすと車が進む距離が長くなり,ゴムを小さく伸ばすと車が進む距離が小さくなったことを振り返り,本時の問題をつくる。
  • 「ゴムカーゲーム」大会に向けて,ゴムの伸び量と車が進む距離の関係を実験で確かめる。
  • 実験結果の図表へのまとめ方について全体で話し合い,よりよい表現方法を共有する。
  • ゴムが伸びる量と車が進む距離との関係を視覚的にとらえやすい分布図にして記録する。
  • 作戦タイムで,分布図をもとにゴムを伸ばす量を決定し,チームの3人が交代しながら,「ゴムカーゲーム」を行う。
  • 本時の活動を振り返り,話し合う。

指導事例と学習指導要領との関連

小学校学習指導要領の第2章第4節理科第2(第3学年)の2において,A(2)「風やゴムの 働き」が示され,また,第3の1の(2)において,「観察,実験の結果を整理し考察する学習活動や,科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮 すること。」と示されている。

本指導事例は,風やゴムの働きについて興味・関心をもって追究する活動を通して,風やゴムの力を働かせたときの現象の違いを比較する能力を育てるとともに,それらについての理解を図り, 風やゴムの働きについての見方や考え方をもつことができるようにすることをねらいとしている。

そのために,ゴムが伸びる量と車が進む距離との関係を観察や実験の結果を整理し,定量的にとらえさせることが必要である。また,それらの関係性に気付かせるために,実験結果を分布図に記録し,視覚的にとらえさせることが有効であると考えられる。さらに,実験を通してデータをとることや実験結果から考察したことをグループで話し合うことの必然性をもたせるために,ゲームでのルール設定や作戦タイムの設定を取り入れることにより,本単元のねらいに迫ろうと考えた。

【言語活動の充実の工夫】

ゴムが伸びる量と車が進む距離との関係を可視化する分布図の活用

ゴムカーゲーム大会を進めるにあたり,あらかじめ,1メートルごとに目印となる線を体育館の フロアに付けておく。そして,ゴムが伸びる量と車が進む距離を確かめる際に,ゴムカーの停止位 置にシールを貼っていく。記録をする際には,体育館でのゴムカーの進み具合が視覚的にとらえら れるように,縦軸を車が進んだ距離とし,横軸をゴムの伸び量とする。実験を重ね,分布図に記録 をしていくうちに,児童の中から,「分布図の点をつないでいくとほぼ直線になるよ。だから,そ の直線に合わせて考えると,○cmゴムを伸ばしたら○cm車が進みそうだ。」という考えが表出 されるようになった。さらに,ゴムカーゲーム大会では,実験で得られた結果を記録した分布図を活用した。

チームで話し合うことの必然性をもたせる場の設定

ゴムカーゲーム大会では,「3人で1チームになる」,「ゴールラインに一番近づけてゴムカーを止めたチームの勝ち」,「ゴムカーを3回進ませる」,「3人が交代してゴムカーを1回ずつ進ませ る」というルールを設定した。ゴールラインに近づけて止めるというルールにより,データを活用 しながらチームで話し合うことが必要になった。また,3人が交代して車を進ませることで,チーム全体でゴムが伸びる量を共通理解する必要が生まれてきた。さらに,3回でゴールラインに近づ けるために,その都度,残りの距離を考えて,車の進ませ方を調整していくための話し合いが必要になった。このようにして,チームで話し合うことの必然性をもたせる場を設定した。 ゲーム中に3回の作戦タイムを取ることができるようにした。作戦タイムでは,実験結果をまとめた分布図を活用しながら話し合うことができた。作戦タイムごとにゴムの伸びを修正していく必 要があり,チームで話し合った成果が試されたのである。作戦図を作成する際に,「ゴールまであと,○m○cm残っているよ。分布図から考えると,ゴ ムを○cmぐらい伸ばしたら,ちょうどゴール前で停まりそうだよ。」,「この残りの距離なら,○ cmと○cmの中間ぐらいでゴムを伸ばした方がいいよ。」など,分布図のデータを基にしながら作戦を考え,協議することができた。 このように,実験のデータを解釈させたり,そのデータを基に作戦を協議させたりして,児童のチームでの話し合いに意味や必然性をもたせるように工夫することにより,解釈・説明,討論・協議といった言語活動の充実を図ることができたと考えられる。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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