物の溶け方(理科 指導案)

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目次

1.1 モデル図の活用を通して,討論・協同を促進する事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。

添付ファイル

単元の目標

物が水に溶ける現象に興味・関心をもち,問題を見いだし,条件に目を向けながら水の温度や量による溶け方の違いを調べ,物の溶け方の規則性についての見方や考え方をもつことができる。

単元

日常の複数の物を教材化し,水に溶ける現象と溶けない現象をしっかり体験させ,そこから生じた疑問を追究するようにする。本時の溶ける限度を調べる学習では,すり切り1杯ずつ入れていく途中の様子を時系列で記入する表や,結果をもとに溶けて見えなくなった食塩の状態を推理 し話し合うための粒のモデル図を用いる。さらに,飽和食塩水を加熱蒸発して水を減らすと食塩が析出する状況を教材化し,学んだ科学的な言葉や概念を活用して説明できるように構成する。

主な学習活動

(1)単元の展開(全15時間)

(2)本時の学習

1. 目標 50ml や 100ml の水に食塩が何杯溶けるかを実験したときの様子や結果から,溶けて見えなくなった食塩を粒のモデル図に表し,溶ける量には限度があることを説明できるようにする。

2. 本時の展開

  • 粒のモデル図に表し,だんだんと限界に近づいている様子,限界が過ぎてからの様子,水の量が 2 倍になると溶ける量も2倍になる理由を考え,説明し合う。
  • 飽和食塩水を加熱し,水が蒸発するにつれて食塩が析出する様子を観察する。自分が描いた限界状態の粒の図から「水が減ると」と仮定を考え,食塩が析出することを表現する。

指導事例と学習指導要領との関連

小学校学習指導要領の第2章第4節理科第2(第5学年)の2において,A(1)「物の溶け 方」が示され,また,第3の 1 の(2)において,「観察,実験の結果を整理し考察する学習活動 や科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮す ること。」と示されている。

そこで,本事例では,実験中の観察から得た,「溶かすにつれてだんだん体積が増えている。」 「溶けきるまでの時間が長くなる。」や「見えなくなっても味がある。」などの諸感覚を使った情報と条件を制御して定量的に調べた実験結果を合わせて考察していくようにした。その際,溶けて見えなくなった物を結果に合うように のモデル図で表現する。あわせて,説明し吟味していく言語活動を充実させることでねらいに迫ろうと考えた。

【言語活動の充実の工夫】

連続した図の使用による話合いの充実

50mlの水に食塩をすり切り1杯ずつ溶かしていきながら,気付いたことをメモできるように表 を利用し,「だんだんと水の体積が増えた」「だんだんと溶けるまでの時間が長くなった」などの 気付きを共有化した。また,このような気付きと7杯が限度であったという実験結果から,連続したビーカーの図に,見えなくなった食塩を粒のモデルで表すようにした。児童は下図のような図 を描き,話し合いの土台として用いた。そして,体積が増えていった現象と粒の数が増えていくモデル図をつなげて,「お風呂に入ったとき水の体積が増えるよ。食塩も見えなくなってもあるんだね。」とだんだんと溶けにくくなった理由を粒のこみ具合から考え,話し合った。

例えを使った説明場面の設定

粒のモデル図を使って発表し合う中で,「粒が増えるとぎゅうぎゅうしていくよ。」「スペース がなくなっていくよ。」などの発言から,やがて「食塩の溶ける限界の時点では電車の座席みた いで,満席になり座るところがなくなっているんだと思います。」とか「駐車場のわくの数でも説明できます。」などの「例え」を使って溶ける限度を説明する子どもが現れた。現象を日常的な場面に例えることで,溶ける仕組みが分かりやすくなることに皆で共感し合えるようにした。

モデル図の活用と説明場面の設定

50mlの水に溶ける食塩の限度から100mlの水に溶ける食塩の限度を予想し,話し合うようにした。 「水の量が2倍になるからきっと溶ける限度も2倍になるだろう」という意見に全員が合意した。 予想通りの実験結果になり,考察では,50mlの実験で使った粒のモデル図を活用し,50mlから100mlに増えた部分に7個の粒を描き込み,溶ける限度を説明することができた。 飽和食塩水を加熱して水を蒸発させ,食塩が析出する場面を演示し,現象の説明を求めた。こ れまでは一定の水の量に食塩を増やしていく実験であったが,今度は一定の食塩の量で水を減ら していく状況での思考である。児童は習得した「水の量に応じた限度がある」という科学的な概 念を使って考え,上のような粒のモデルで図に表現し説明した。このように,解釈・説明や討論・協同といった言語活動の充実を図った。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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