昆虫と植物(理科 指導案)

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目次

1.1 科学的な言葉や概念を習得し,実際の自然を見直す事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。

添付ファイル

単元の目標

身近な昆虫や植物について興味・関心をもって追究する活動を通して,昆虫や植物の成長過程と体のつくりを比較する能力を育てるとともに,それらについての理解を図り,生物を愛護する態度を育て,昆虫や植物の成長のきまりや体のつくりについての見方や考え方をもつことができる。

単元

本単元では,昆虫や植物の飼育,栽培を通して,その体のつくりや成長についてとらえることがねらいである。本単元で扱う昆虫は,飼育が簡単で,身近に見られるモンシロチョウなどが一般的 であるが,アゲハ類が産卵する様子も容易に観察できるので,モンシロチョウの代わりにアゲハを教材にしてもよい。モンシロチョウは,キャベツが食草であるので,学級園などにキャベツを栽培しておけば,産卵する様子から観察することができる。また,約1ヶ月の間に卵から幼虫,蛹を経 て成虫になる様子が観察できるので,本単元のねらいを実現するために適した教材である。

主な学習活動

(1)(単元の指導計画)(全22時間)

(2)本時の学習

  1. 目標 モンシロチョウの体のつくりを調べ,昆虫の体は,頭,胸,腹という三つの部分からできていて,胸には3対6本の足があるということをとらえることができる。
  2. 本時の展開
  • 身近な生物の写真を見て,共通点について話し合う。
  • 継続してきたモンシロチョウの体のつくりを観察し,特徴をとらえる。
  • 昆虫の定義を知り,身近な生物が昆虫かどうかについて説明する。
  • 校内で昆虫探しをする。

指導事例と学習指導要領との関連

小学校学習指導要領の第2章第4節理科 第2(第3学年)の2において,B(1)「昆虫と 植物」が示され,第3の1(2)において「観察,実験の結果を整理し考察する学習活動や,科 学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮するこ と。」と示されている。

理科の学習は,児童が既にもっている自然の事物・現象についての見方や考え方を,観察や実 験などを中心とした問題解決を通して,科学的なものにしていく営みである。その営みの中で, 科学的な言葉や概念を使って考えたり説明したりする学習活動を取り入れることは,科学的な思 考力・表現力を育成する上で大変重要である。

本単元で扱う「昆虫」について,児童は,普段「むし」という言葉を使って表現している。「む し」については小動物の総称として使うことが多く,昆虫以外の小動物も「むし」として呼ぶことが多い。そこで,「昆虫」の定義を学習した後に,それまで「むし」と呼んでいた小動物を昆 虫と呼ぶべきかどうかを協議することにより,言語活動の充実を通して科学的な概念の習得を図ることが考えられる。

言語活動の充実の工夫

話し合いを通した科学的な言葉や概念の習得

モンシロチョウを卵から飼育し,「卵→幼虫→蛹→成虫」というように変態していくことを学 習した児童に,「モンシロチョウを描いてごらん」と問いかけた。これまで,児童は,野外にお いて何度となくモンシロチョウを見かけたり,羽化したモンシロチョウを観察したりしている。

しかし,実際にモンシロチョウを描こうとしてもなかなか描くことができなかった。「羽って どこからでているの?」「足って何本?」という声があちらこちらから聞こえてきた。「モンシロ チョウのからだのつくりはどうなっているのだろう」という問題をもった児童は,改めてモンシ ロチョウの観察を行い,その体が頭,胸及び腹に分かれていて,足の数が6本であること などをとらえていった。こうした観察を通し て,「昆虫」の特徴を把握させ,「昆虫」の定 義を行った。その後,身近に見られる「テン ト ウ ム シ 」,「 ダ ン ゴ ム シ 」,「 ハ サ ミ ム シ 」 な どを提示して,それが昆虫かどうかについて 話し合う活動を取り入れた。「テントウムシ は 足 が 6 本 あ る ね 。 だ か ら , 昆 虫 だ ね 。」,「 ハ サミムシも足が6本あるから昆虫なんだ。」 「ダンゴムシは,足がたくさんあるから,昆 虫ではないよ。」「名前にムシって付いていて も,全部が昆虫というわけではないんだね。」 「もっと,外で昆虫探しをしようよ。」とい う話し合いが行われた。

身近にいる小動物を「むし」として見てき た児童が,「むし」の中から「昆虫」の定義 に照らし,科学的な言葉や概念の習得を図ることができた。

科学的な言葉や概念を用いた実際の自然の見直し

この活動の後に,実際に校地内での昆虫探 しをすると,「アリは小さいけれど,足が6 本あるんだね。昆虫なんだ。」「バッタの足は 6本で,足は遠くにとぶために太くなってい る。」と記述し,「昆虫の足にはいろいろな特 徴があるんだね」などとつぶやきながら観察 する姿が見られた。

このように,「昆虫」という科学的な言葉 や概念を使用しながら,実際の自然を見直す 場面を設定し,解釈・説明といった言語活動 の充実を図ることによって,さらに思考力, 判断力を育成することができると考えられる。

引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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