いろいろな音の色~金管楽器の音色~(音楽 指導案)

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目次

1 感じ取ったことを絵やデザインなどで表し,感受の根拠を言葉で伝え合う事例

この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
添付ファイル

題材の目標

音色や音高の変化によって楽曲の気分が変わることを感じ取り,金管楽器の音色のよさや音色の 働きが生み出す演奏の楽しさに気付き,味わって聴くようにする。

題材

本題材では,金管楽器の中から音色が特徴的でかつ対照的な「トランペット」と「チューバ」を 取り上げて,音楽を形づくっている要素のうち,音色と音高に着目した音楽活動を行う。小型の金管楽器であるトランペットは,高音の華やかな音色が特徴的であり,ファンファーレや主旋律を奏 でることが多く,児童にとって馴染みのある楽器である。一方,大型の金管楽器であるチューバは, 低音域の力強い音色が特徴的であり,伴奏として演奏を支える役割を担うことが多い。
この二つの管楽器の音色を聴き比べ,音色の違いを色や形などで表し,友達に説明する活動を通して,聴き取り感じ取ったことの言語化を促す。そのことで,同じ金管楽器でも楽器の大きさによって音域と音色が異なり,音色や音高の変化によって楽曲の気分が変わることに気付く。さらに, このような学習を金管楽器を中心とした楽曲の鑑賞につなげ,様々な楽器の音色が生み出す演奏の 楽しさに気付き,味わって聴くことができるようにすることを企図している。
鑑賞活動では「きらきら星」(フランス民謡)のチューバとトランペットのそれぞれの生演奏と, 「トランペットヴォランタリー」(クラーク作曲)を教材として用いる。

主な学習活動

(1) 題材の展開(全3時間)

(2) 本時の学習(3/3時間)

  1. 目標 音色や音高などから感じ取ったことを絵や言葉で表して友達と伝え合うことにより,「トランペットヴォランタリー」の演奏の楽しさに気付くようにする。
  1. 本時の展開
  • チューバによる「きらきら星」の生演奏を聴取する。
  • トランペットによる「きらきら星」の生演奏を聴いてイメージに合う星の絵を描き,それがどのような星なのか,楽器の音色に基づいて感じ取った理由を考え,学習カードに言葉で表す。
  • グループで紹介し合い,おすすめの友達の描画とその理由をクラス全体に発表する。
  • 「トランペットヴォランタリー」を鑑賞し,楽器の音色からイメージした旗のデザインを学習カードに絵や言葉で表す。
  • お互いの旗を見合い,なぜそのようなデザインにしたのかについてグループなどで話し合い,友達の考えを聴いて「おすすめの旗」を決める。
  • 「おすすめの旗」を見ながら,再度「トランペットボランタリー」を聴いて,音色の働きが生み出す演奏の楽しさを味わう。

【指導事例と学習指導要領との関連】

小学校学習指導要領 第2章 第6節 音楽 〔第1学年 及び第2学年〕の「B鑑賞」(1)のウでは,「楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどし て,楽曲や演奏の楽しさに気付くこと。」と示している。
想像したことや感じ取ったことを言葉を使って他者に伝えることは,楽曲の特徴や抱いたイメージについて, 児童自らが気付いたり意識を深めたりすることにつなが る。
そのためには,感じ取ったことなどを絵やデザインな どで具体的に表すことが効果的な場合がある。また,生 演奏によって実際に音を出している楽器がどのようなも のであるのか,どんな音なのかを直接視聴することも,児童の感性を豊かに働かせるために大切なことである。
本事例は,それぞれ楽器の音色から想像したり感じ取ったりしたイメージを絵に描くことによって,楽器の音色の特徴を意識して説明する場面である。

【言語活動の充実の工夫】-感じ取ったことを絵などで表し,その理由を音楽に基づいて伝える-

チューバやトランペットの独奏による「きらきら星」の鑑賞活動を行ったところ,星の色,形, 大きさ,重さ,感触など,それぞれの音色 から想像したり感じ取ったりしたイメージを絵や言葉で表すことができた。
例えば,児童が表したイメージの「星」 は ,「 明 る い 星 」,「 ま ぶ し い 星 」,「 地 震 が 来そうな星」,「重い星」などと,それぞれ の楽器の音色を豊かに感じ取り,様々な言葉で表していた。
さらに,本時では「トランペットヴォランタリー」を鑑賞する活動を行った。本時で用いた音源は,トランペットを中心に,チューバ,弦 楽によって構成されており,多くの音色が複雑に組み合わされている。その中から,どのような楽 器の音色を聴き取っているかを明確にし,また,同じ楽曲を聴いて抱くイメージが多様であること に気付かせるために,次の手立てを工夫した。

感じ取ったイメージを,理由を明らかにしながら「旗」としてデザインする活動の設定

ペアやグループによる意見交換の場の設定

また,グループの話合いでは,友達の考えを聴いて「おすすめの旗」を決めるというテーマを設定し,話し合いの活性化を促した。
児童は,明るい楽曲の気分,様々な楽器の音色などについ て,色や模様でなんとか表そうと,様々な工夫やアイデアを 出しながら,音色を絵で表現していた。また,楽器の音色を言葉で表す段階では,楽器の名前,例え,オノマトペ(擬声 語・擬態語)を駆使しながら,自分が聴き取り感じ取った音 がどんな音であるのかを進んで友達に伝えようとする姿が見られた。
お互いの描いた旗を見せ合い,なぜそのようなデザインにしたのか,その理由を音楽に基づいて友達に伝えていく話し合い活動は,友達の感じ方に気付いたり,自分の感じ方を広げたり,友達と感 じ方を共有したりすることにつながる。
音楽を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表す学習活動では,感じ取ったことの理由を明らかにするよう必要に応じて問いかけるとともに,児童が音楽を言葉で表すための語彙をみん なで共有しながら,感じ取りやイメージ膨らませていくことが大切である。


引用元

文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm

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