1. はじめに~ティーム・ティーチングとは~
1つの教室に2人の先生。これがティーム・ティーチング(以下TT)です。もちろん、2人いればいいというわけではありません。下手をすると、従来通り、1人の先生が教え、それをもう1人の先生が後ろでボーと見ている。そのような事態にもなりかねません。では、どう児童生徒と関わっていく必要があるのでしょうか。私は、新潟県新井市立新井小学校が提案しているものを参考にしつつより細かく細分化したものを提示したいと思います。
2. 授業形態の構造化~新潟県新井市立新井小学校の提案より~
①1進1補型
メインティ−チャ−(MT)は、教室の前、サブティ−チャ−(ST)は、教室の横に立つ。
I. 普通型 STは机間指導をするだけ
II. 特殊型 STは、ある特定の子どもに、つきっきりで教える
III. 発展型 STは、考えのよさを見取り、MTへ伝える方法
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②2進型
メインティ−チャ−(MT)、サブティ−チャ−(ST)ともに、教室の前に立つ
I. アシスタント型 STは課題提示の時の役割演技・板書をする。
II. アシスタント介入型 アシスタント型+STはゆさぶりをかける。
III. 交代型 普通型 役割を交代し、見取りに生かす。
習熟度型 普通型+遅れた子どもに対応する。
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③2別進型
メインティ−チャ−(MT)は、教室の前、サブティ−チャ−(ST)は、教室の後ろに立つ。
I. 習熟度別学習型 完全型 習熟のため1単位時間かけて行う。
分化型 1番目の課題解決能力(スピ−ド・正確さで、20分程度してから、分かれる。
II. 課題別学習型 完全型 課題そのものが異なる。 分化型 自力解決の様子を見て、複数のタイプに再構成する。
3. TTは、運転手と車掌のようなもの
2では構造化した授業形態を紹介しました。しかし、これではTTがすごく堅苦しいもののようになってしまいます。そこで、ここからは私がTTを実践真っ最中のころに書いたものを紹介したいと思います。
今年度、幸か不幸か担任を離れ、TT【算数】をしている。1学期は暗中模索状態。2学期は少しずつ薄明かりがさしてきたような気がした。(まだまだ課題は山積みだが)ある時、ふっと考えた。一人でも当然できることを、二人が協力することによってどんなよさが引き出されるのかと。
電車やバスがひらめいた。つまり、これまでの学習を、電車で言えば運転手さんがワンマンで動かしている状態と考える。そして、TTを、電車に運転手さんと車掌さんがいる状態と考えるのである。
こう考えると、とてもわかりやすいし、発展的に考えられる。
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運転手さんの最大の仕事は何か?
言うまでもなく、電車を動かすことである。
車掌さんは何か?
ドアの開け閉め、車内放送、切符販売(?) 他にもあるのかもしれない。
二人はまさに協力しあっている。昨今見られるワンマン電車ならば、運転手さんが全部仕事を背負っている。経営面から考えれば、人件費が浮くので、会社にとってはそのほうがよい。しかし、乗客に対するサ−ビスは間違いなく低下するし、労働過多になることは必至だ。
私は、TTを行うとき、自分がメインとなるなら運転手さんに徹し、サブならば車掌さんに徹したいと考えている。当然、役割をはっきりとさせておかないといけないし、指導案などで行き先をはっきりとさせておかなければならない。その上で、お互いが気づかない部分を補うのである。
子供という『お客さん』を乗せて、常にサ−ビス第1で運転しつづけたいものである。
4. 編集後記
学校内における教員同士の連携は欠かせないものである。当たり前のことだが、1人で出来ないことも2人では出来るようになることも数多くある。TTは教員同士の連携の強化によって授業運営に新たな可能性を与えると実感した。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 伊藤駿)
5. 実践者プロフィール
間嶋 哲(Mazima Akira)
1965年、新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。
新潟県内の小学校で活躍後、文部科学省での1年間の研修を経て、現在、新潟市教育委員会学校支援指導主事。算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事。
趣味は、海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など、多岐に渡る。
大学の卒業旅行を機に、旅行・外国語にはまり、旅行記を一冊出版したほどのエピソードを持つ。
●HP
間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/homepage_majima
●記事の出典
http://bit.ly/LYTTYa(HPより【平成14年度指定研究】)
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