最高の教師が考えているたった一つのこと

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目次

1.1 最高の教師が考えているたった一つのこと

○本投稿のPDFファイルです

添付ファイル

はじめに

教師が学級経営を行う際、重要なものとは何か。「第一回学級づくりセミナー全国大会in横浜」にて講演された山田将由先生によれば、それはたったひとつのことに収斂できると言う。「最高のリーダー・マネージャーが考えているたったひとつのこと」(マーカスバッキンガム)この本のタイトルになぞらえて、山田先生はその教師としての心がけを3つのステップで語ってくれた。

①継続したものしか残らない

一つ目は「継続したものしか残らない」だ。山田先生が卒業生に「小学3年生の時の思い出は何?」という質問を投げかけた時、返ってきた答えは「工場見学など行事」「勉強が難しくなった。」「習字など新しい教科」などの答えだった。しかし、この答えの中で山田先生は意外に多かったのが「百マス計算」などの<span style=’font-weight:bold;’>継続して行った授業</style>だったそうだ。生徒だった当時は行事など一時的な出来事が上がることが多い一方で、何年か経った後に記憶に残っているのはずっと続けた事だと言う。山田先生は授業の中で帯授業(※)を行う事で、生徒に印象に残る伝達が出来ると自信を持って語る。授業の中で自分が自信を持って行えるやり方を続けることが質の高い学級経営にも繋がる。山田先生はワークショップ型授業や、読み書きの実践などを1年間の授業プランに導入し、より授業の質を高めてきた。 ※帯授業:年間を通し一定の授業方式を継続する授業のこと

Ex:授業例

②強みを活かす

2つ目にあげるのが授業において強みを持つということ。

山田先生が山田先生が強みについて気づいたのは、ある先生にふとされた質問がきっかけだと言う。ある日、「山田先生が誰にも負けない日本一だと誇れるものはありますか?」と聞かれたそうだ。しかし、山田先生はその時全く答えられず、考え込んでいると、「5年待ったら、何で一番になれますか。」と矢継ぎ早に次の質問が来た。この質問は流れてしまったが、山田先生にとってはこの質問が頭にずっと脳裏から離れなかったそうだ。それからというもの、それに答えるため、強みを探した。山田先生は模擬授業コンテストに参加し、自らが持つ性格や特徴などを分析し、何がつまらないかなどの質問を記載したアンケートを使用し、独自の授業スタイルを作りだした。それが反復学習・ワークショップ・ミニネタによる授業だ。

教師が工夫して作り上げた授業を長いスパンで継続する事で段々と強みが出来てくる。教師が授業に自信を持つことで、生徒も同様に授業を楽しむ事が出来る。それは例え、年度が終わった後や長期休暇明けの時であっても、朝の会や給食などに小さく挿むこともできる。一回、右肩上がりの成長が止まった時、継続したものを再開する事で、ブランクを挟んでいても、再びその成長曲線に乗せる事ができるのだ。

③問い続けること

3つ目は問い続けると言うこと。自らの強みを作るため、見つけるためには3つ目は問い続けると言うこと。自らの強みを作るため、見つけるためには常に何かを問わなければならない。山田先生はドラッカーの「プロフェッショナルの条件」での自己成長についての記述を引用してこう言う。

「何にとって憶えられたいか。私が13歳の時、宗教の素晴らしい先生がいた。教室の中で歩きながら『何によって憶えられたいかね?』と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこう言った。『今応えられるとは思えない。でも50歳になっても答えられなければ人生を無駄にした事になるよ。』長い年月が経って、私たちは60年ぶりの同窓会を開いた。殆どが健在だった。あまりに久しぶりの事だったため、会話もぎこちなかった。すると一人が『フリーグラ—牧師の質問を覚えているか』といった。そしてみんな『40代になるまで意味が分からなかったが、その後この質問のおかげで人生が変わった。』と言った。今日でも私はこの『何によって憶えられたいか』と自らに問い続けている。これは自らの成長を促す問いである。なぜならば、自らと異なる人物、そうなる人物になるように仕向けられるからだ。運の良い人はこのフリーグラ—牧師の様な導き手によってこの問いを人生の早い時期に問いかけてもらえる。一生を通じて自らに問い続けていく事が出来る。」

「継続したものしか残らない。その中で自らの強みを高めていく。そして、その強みを更に上まで高めていく。そうすることで必ず最高の教師の下地ができる。私の尊敬する最高の教師の方々にはまだまだ遠いが、日々の授業を積み重ねて、少しずつ近づいている実感がある。他の先生方にも強みによる学級経営をして頂ければと思う。」と山田先生は語る。ドラッカーは72歳になった今でも、この問いの答えを出せず、今も問い続けていると書いてある。山田先生は「いわんや、私が…」と言いながらも、1年・3年・5年と短いスパンで「何を」を問い続けている。生徒と共に教師も常に成長をしていく必要があるということを山田先生は言いたかったのではないだろうか。

○編集後記

授業方法の工夫と言う点に目がいった。山田先生はドラッカーなどの経営書での学びを応用しながら、教育理念・授業スタイルを作りだしている。授業と言うとその科目だけの知識に目が行きがちだが、こうした外の視点を入れる事で幅広い視点で授業を行えると言う事も気づいた。思えば、私自身も塾の授業を行う時に、自分のオリジナルスタイル・理念を軸にしていた。山田先生、そして生徒たちの活躍が楽しみである。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 御船亮史)

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