伴って変わる量の秘密を探ろう!―簡単な比,比例のグラフ―(間嶋哲先生)

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目次

1.1 はじめに 

今回の間嶋先生の記事は「比」についてです。比は小学生にとって理解が難しい単元であり、重要な単元であります。僕も小学生時代苦労しました。「比」を楽しく教える方法を知りたい、参考にしたい方は必見です!

今回の記事の引用元… http://bit.ly/LKPm6T

1.2 育てたい「実践的な態度」

 2つの数量の関係について,対応する値の間の規則性や変化の様子を表,式,グラフで見付け,単純化したり数理化したりしようとすること  

1.3 目指す姿  

  • 2つの数量の割合を比で表現する。
  • 等しい比の性質を使って,比の一方の数量を求めたり,全体の数量を分けたりする。
  • 伴って変わる2つの数量を見いだし,その関係を表やグラフを使って考察する。
  • 自分の考えを正しく伝えるために,図・言葉・式などを使い分けて表現する。  

1.4 付けたい力

A 内容知* 「a:b」「等しい比」「比を簡単にする」「比例」の意味* 比例の表やグラフの特徴

B 方法知* 自分の考えを正しく伝えるための,視覚的表現(図・言葉・式)の仕方

C 体験知* 「自分の考えを相手に正しく理解してもらえて,うれしい。」と感じること。  

1.5 本単元で主張する働き掛け  

自力解決の際,ただ単に「式と答えだけでなく,考えもかこう。」とか「図も使おう。」 とか教師が指示するだけでは,子どもは解決の過程を表現しようとしない。なぜならば,子どもは解決できれば満足するからである。しかし,そのままでは,考えを正しく相手に伝えられず,その考えのよさが外の子どもに認められることが難しくなる。そこで,次の働き掛けを行う。 働き掛けA「だれが見ても分かるくらい,詳しくかきなさい。」と指示する。

これにより「相手意識をもった視覚的表現」になる。具体的には,単に求答式と答えで終わるのではなく,全体の問題の構造を表す図や,求答式を補う言葉や求答式の前段階の式(つまり関係式)が付け加わることが期待される。 ただし,この時点では,まだ「相手意識をもった視覚的表現」が,本当に正しく相手に伝わるのか否かは,表現をした本人には分からない。そこで,その後,次の働き掛けを行う。

 働き掛けB 相手の表現を「図エリア」と「言葉・式エリア」に分けて評価させ,小集団で,分からない部分を交流させる。

「相手意識をもった視覚的表現」を互いに評価させる際,評価する者に,「図エリア」と 「言葉・式エリア」に分けさせる。そして,そのエリアごとに評価させる。なお,「図エリア」は一つであるが,「言葉・式エリア」は,複数である。なぜならば,「図」は問題の構造を端的に表すが,「言葉・式」は思考の順序にしたがって使われるからである。働き掛けBによって,子どもは,相手の考えの,どこが分かりどこが分からないかを評価する。つまり,子どもは,相手の考えを正しく理解するために細分化して検討する仕方を学ぶ。また同時に,様々な表現の仕方を検討するため,もともとの自分の表現の仕方を見直すことも促される。  相互評価を通して,子どもは,自分の考えが正しく相手に伝わらない部分があることに気付く。そこで,次に何が分からないのかを相手から聞いたり,相手に自分の考えが正しく伝わるように話したりさせる。それにより,互いの考えを正しく理解できるようになる。その後,次の働き掛けを行う。

 働き掛けC 細分化評価と交流とを基に,視覚的表現を修正させる。

これによって,子どもは,自分の考えを「相手意識をもった視覚的表現」から「相手に正しく分かってもらう表現」に高めることができる。修正する時の指針となるものは,働き掛けBによる相手からの細分化評価の結果と,交流である。修正する際,想定した方法知(自分の考えを正しく伝えるための,視覚的表現の仕方)が獲得される。その後,次の働き掛けを行う。 働き掛けD 修正した表現を,再評価させる。 

これによって,子どもは,自分の表現の変容を自覚し,成就感や満足感を味わう。ここで子どもは,体験知(「自分の考えを相手に正しく伝えたり,理解してもらったりすると,うれしい。」と感じること)を獲得する。  

1.6 指導計画   

全45Q〈15時間〉  省略

1.7 本時の構想【22~25/45Q】

(1)主眼  

全体の数量を,決まった比に分ける問題解決場面において,細分化された自分の考えを相互評価したり交流したりする活動などを通して,次のことができるようにする。   * 解決方法として,一つ分を出して求める方法と,等しい比の性質を使って求める方法があることに気付く。(内容知)* 考えを正しく伝えるために,視覚的表現(図・言葉・式)を工夫して使う。  * 「自分の考えを相手に正しく伝えることができたり,理解してもらったりするとうれしい。」と感じる。(体験知)

(2)本時の主張

(3)評価  

① 検証すること

働き掛けB,C,Dが,方法知と体験知(本時の主眼参照)を獲得に有効か。

② 検証の方法

本時の検証の対象は,全員である。

《働き掛けB,Cの有効性》→方法知を獲得したか否かC0とC1のプリント記述で比較し検証する。友達から△をもらったエリアの表現が『評価カード』と交流を基に,次の二つのいずれかに修正されていると判断できた場合,表れありとする。

① C0にはなかった図や数直線,必要な言葉が,C1で付け加わっている。

③ C0での表現が,C1で順序よく整理されている。

ただし,働き掛けBによってC0での解決方法がC1で変わった場合,検証の対象外とする。

《働き掛けDの有効性》→体験知を獲得したか否かCnのプリント記述で検証する。学習感想の中に,「自分の考えを相手に正しく伝えることができて,良かった。」とか「理解してもらって,うれしい。」などの,成就感や満足感を感じた記述が見られると判断できた場合,表れありとする。

1.8 編集後記

生徒をいかに楽しませるか、これは教える側として常に考えることですが、実際に行うのは難しい。けれど、間嶋先生の方法を学んでいるうちに「あっ、この視点からアプローチすればよいのか!」と気づくことが多々ありました。これを読んだ皆様も同じような気づきがあれば、記事を載せた者としてとても嬉しいです。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 荒井翔央)

<実践者プロフィール>

間嶋 哲(Mazima Akira)

1965年、新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。新潟県内の小学校で活躍後、文部科学省での1年間の研修を経て、現在、新潟市教育委員会学校支援指導主事。算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事。趣味は、海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など、多岐に渡る。

大学の卒業旅行を機に、旅行・外国語にはまり、旅行記を一冊出版したほどのエピソードを持つ。

●HP 間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/homepage_majima

●記事の出典

http://bit.ly/BunsuuNoSekai

http://bit.ly/M6LPQY

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