いかに道徳教育を指導するか (「手品師」を通して)

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作成者: 興津洋男さん

1 「道徳の時間」の指導について

●指導にあたって

昨今の児童生徒の現状として、いじめ、暴力的衝動、ひきこもりなど、多くの問題がみられます。そしてこれらの要因として、以下のことが考えられます。

これらは、現在、「豊かな人間性の育成」に関わる課題となっています。
そのため道徳の授業が必要といえるのです。

本来{道徳の時間とは、嘘なく自分の抱く「価値」を主体的に磨き上げる時間です。
しかし以下のような要因により、資料の読解指導に時間がかかり、自分たちのこととして置き換えられないことが問題となっています。

⇒結果として{資料ばなれができない!
資料というのは子供たちに自分の体験の価値を見出すための単なる「きっかけ」であり、それを自分たちのこととして考えることが必要といえます。

道徳教育と道徳の時間とは

道徳教育とは、説諭(説教)ではありません。
学校での「くらし」や「学び」の中にある素材となりうる体験をいかに道徳の資料として生かすことが出来るかが重要です。

そこで指導者の児童実態把握力と結んだ教材構成力、主体的自覚を促す展開力、指導力が必要となります!!

2 「手品師」という資料を使ってどうテーマを考えさせるか

●主題⇒「正直」「誠実」「信頼」

時として自己の損得に目を奪われがちな子供たちが、自分らしく正直に誠実なかかわりを築き心豊かな生活をおくることが出来ることを切望して、テーマを設定しました。

●資料について

   「手品師」 (江橋 照雄 作 5、6年用 出版各社)

作者の人の生き方、人の見方、価値観について今はなきかつての日本人としての美が表現されています。人生で最大の這い上がるチャンスを捨て、結局男の子の信頼を裏切らない誠実さを選んだ手品師。食べ物や着るものよりも自分の在り方を第一に考え、貧しい中でも心豊かに生きてきたのではないでしょうか。戦後の日本人にもその美があったのではと考えられます。

●学習の進め方

1, 資料を前半、後半の二つの部分に分けて、まずは冒頭から「まよいにまよいました」までを読ませ、心のゆれについて追及させていきます。ここで児童に、手品師のまよいを追体験させます。大劇場の出演依頼を「きっぱり」断る場面以降は終わりに配布します。
2. 授業前半と後半それぞれ一回ずつ「心のカード」を赤、青の2色で塗らせ、その都度児童の心の様子を表現する尺度とします。円12分割された「心のカード」は事例についての肯定を赤、否定を青で表し、それぞれの価値葛藤を表明させます。前半と後半のカードの対比も、変化を語るうえで重要といえます。
3. 手品師が最も心をゆり動かすと思われる中心語句を「心のつぶやきシート」に書き込ませ、「心のゆれ」を追究する助けとします。

3 編集後記

私にとって小学校の頃の道徳の授業は、「生きていくうえで忘れてはいけない大切なこと」を学ぶ機会でした。それが誠実さや努力であったり、友情であったりするのでしょうが、指導者による一方的な説話にせずに、自発的に考えるように導くのは難しいことだと思います。実際に私の担任の先生も、子供たちが自分の経験として感じることが出来るように工夫を凝らしてくれていたのだと、この記事を編集して改めて感じました。
 自己肯定できない子供が増えているといわれる現代だからこそ、道徳の授業を通して、多くの子供たちが自分自身の価値の形成ができることを願っています。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杉田 彩)

4 プロフィール

興津洋男(おきつ ひろお)

  • 大阪府島本町立第二小学校 常勤講師
  • 「読書こそ、国語力の礎」で第60回読売教育賞国語部門優秀賞 受賞

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