ICTが変える子どもの学び

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

【記事概要】

平成22年度から始まった総務省の「フューチャースクール推進事業」では、ICT機器を使ったネットワーク環境を活用した協働教育の実証研究が進められています。平成23年度 からは、文部科学省が「学びのイノベーション事業」として、学習者用デジタル教科書等を活用した、21世紀にふさわしい学びの創造を目指しています。両事業には、進歩目覚ましいICTを教育の分野でも活かしていこうという意図が込められています。
 広島市立藤の木小学校は、フューチャースクール推進事業の実証実施校のひとつです。 本記事は、藤の木小学校のICTを活用した実践を通して、子どもの学びがいかに変化したかを紹介しています。記事作成に当たり、藤の木小学校の堀達司校長先生にお話をうかがいました。

参考URL

総務省HP フューチャースクール推進事業
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/future_school.html

文部科学省HP 学びのイノベーション
http://jukugi.mext.go.jp/archive/491.pdf

【ICTが変えた子どもの学び】

ICTによって、以下の4点において子どもの学びに変化が生まれました。

<span style='font-weight:bold;'>①落ち着いた学習の実現 </style>
<span style='font-weight:bold;'>②説明的発言の増加</style>
<span style='font-weight:bold;'>③学力の向上</style>
<span style='font-weight:bold;'>④情報処理能力の向上</style>

①落ち着いた学習の実現

ICT機器を用いた授業によって、児童の集中力の向上が見られ、落ち着いた授業ができるように なりました。

その理由として、ICT機器による「見える、見せる効果」があります。先生が教科書のどのページを読んでいるかが電子黒板に表示されていることで、今何を学習しているのか児童が見失うことがなくなります。従来の教科書では先生がどこを読んでいるのかが分からず授業に取り残されてしまう児童がいましたが、ICT機器の「見える、見せる効果」に よってそのようなことがなくなり、集中力が向上します。この効果は、特に低学年に顕著でした。

②説明的発言の増加

ICT機器を用いると、児童の説明的発言が増加します。これは自分の答えや意見を述べる際に、電子黒板を用いてプレゼンテーションのような形式で発表することが増えるからです。今までの手を挙げる発表の仕方では、単語で答えることがほとんどです。しかし、プレゼンテーションのような形式で発表すると、単語だけを述べるわけにはいかず、自分の意見や答えを文章で説明することになります。それは言語能力や表現力を磨く訓練になり ます。

このような説明的発言の増加は、児童の他者理解と自己肯定を促します。発言を聞いている生徒は、他の生徒がどのように考えて答えを出したり、意見を持ったりしたかを聞くことで、他者を理解する力を養います。発言している側の児童も、自分で情報を発信するという主体的な行為によって自己肯定を深めることができます。

他者理解が促されることで、児童ひとりひとりが他者を受け容れられるようになりま す。説明的発言は、「合っている/間違っている」という判断を下す前に、まず「理解する」ことを必要とします。そうすることで「あなたの言っていることは理解できる。だけども私の意見はあなたとは少し違う」というコミュニケーションが生まれるのです。このようにすることで、短絡的に意見の衝突を生むことなく、はじめに他者を受け容れる習慣ができます。そのことはひいては、いじめや喧嘩の減少にもつながります。

③学力の向上

フューチャースクール推進事業がICTの活用によって目覚す「協働教育」とは、児童どうしが互いに教えあい、学びあうような教育のあり方を言います。ICT機器の双方向的な特性を活かし、児童どうしが意見を交換し発表することで、互いにを高め合う学びが可能になり、思考力や判断力、表現力が育まれるのです。

またICTは、児童それぞれに合わせた学習教材の提供にもすぐれています。例えばエクセルでは一つのファイル内に複数のシートをつくることができます。初めに原形となるドリル・ワークシートを一つ作れば、コピーアンドペーストによって生徒の習熟度に応じたドリル・ワークシートの作成が容易になります。これによって児童ひとりひとりにあった学びが可能になります。

④情報処理能力の向上

将来、生活のあらゆる場面にICT技術が浸透するのはほぼ間違いないと言えるでしょう。 正しく情報技術を扱う能力を身につけることは、これからの社会を担っていく児童にとって、大切なことです。教育現場でICT機器を用いることで、WEB検索の活用やキーボード のタイピングの上達など、児童の情報処理能力の向上が見込めます。

【編集後記】

私が特に興味をもったのが、「説明的発言の増加」の部分でした。児童の表現力と理解力を養うことは、言い換えれば、話す力と聞く力、コミュニケーション能力を育てることです。

東京大学大学院学際情報学府の中原淳准教授は、著書『ダイアローグ 対話する組織』に おいて、組織が学び成長するためには、「対話」というコミュニケーションが重要だとしています。「対話」とは、一方が自分の意見を言うだけではなく、相手もその意見をどう 理解し受け止めたかを伝えあうことで生まれるコミュニケーションのことです。客観性を 重視する「議論」とは違い、「対話」では主観的にどう思ったのかが尊重されます。

ICTによって児童が自分の意見を発表し、相手の意見を理解することは、学びにおける 「対話」に他なりません。このような対話が促進されることで、児童どうしの学びあいが活性化したクラス、学習空間が生まれるのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杉山昂平)

【学校紹介】

広島市立藤の木小学校

広島市の西部に位置する豊かな自然に囲まれた藤の木団地に、平成2年に開校した。現在児童数245名、学級数11。晴れた日には4階から世界遺産で有名な宮島を望むことができる。学問の木として有名な「楷の木」が学校のシンボルで、秋には美しく紅葉する。保護者・地域の方々に支えられており、PTA活動や毎日の見守り活動、学習支援ボランティア活動が充実している。

学校HP
http://www.fujinoki-e.edu.city.hiroshima.jp/

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