「とべないホタル」でいじめについて話し合う(坂本哲彦先生)

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目次

1、はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→ http://p.tl/a-TK-

2、概要

対象

小学校3・4年生。

ねらい

身代わりになったホタルの気持ちを話し合うことを通して、友達を助ける様々な行動を出し合い、積極的に友達を助け合おうとする態度を養う。

学習内容

(1)身代わりになったホタルの行動は、いじめを受けている人に優しく接しようとする温かい行動と(価値としては)同じである。
(2)数十匹のホタルが、「身代わりになろうと思っていた」という、身代わりになったホタルと同様の心情を持っていたことは、いじめを解決する方法を示唆している。

資料

『とべないホタル』 東京書籍 道徳副読本 4年生
子どもが病気の友達に見せるためホタル捕まえに来た。とべないホタルが捕まりそうになった瞬間、友達のホタルがその子の手にとまり、身代わりとなった。そのホタルを案じて泣き叫ぶとべないホタル。集まった数十匹のホタルも「自分が捕まろうと思っていた」と言う。しばらくすると身代わりになったホタルが逃がされて帰ってきた。とべないホタルは一人ぼっちではないと幸せな気持ちで迎えに行った。

3、学習過程(45分授業)

①資料「とべないホタル」を読み、感想を発表する(10分)

発問1:「感じたことを自由に発表してください。」

いろいろな感想が出るが、最終的には
a.身代わりになったホタルはすごい、なかなかできることではない。
b.数十匹のホタルが身代わりのホタルと同じようなことを考えていたなんてびっくりした。
c.とべないホタルは幸せ者だ。
という3点にまとまる。

そこで、「ホタルたちの気持ち・行動のよさを学ぼう」と課題提示する。

②身代わりになったホタルの行動について話し合う(10分)

発問2:「身代わりになったホタルはどんな気持ちからあのような行動をとったのだろうか?」

児童の回答は、
a.とべないホタルが捕まったら、(とべないので)戻ってくることができないが、自分なら戻ってくることができる。(状況把握)
b.とべないホタルのことが好きだ。(親和的心情・友情)
c.周りにいるホタルの中でその時、とべないホタルを助けられる状況にあったのは、自分だけだ。(状況把握)
d.子どもたちは、それほどひどいことをするような人には見えない。逃がしてもらえる可能性もありそうだ。(状況分析)
などが予想される。

いずれにしても、自分の命さえ引き替えにするような行動をとった「身代わりのホタル」のよさを感じ取らせる。

③いじめ解決に向けて話し合う(20分)

発問3:「状況は少し違うが(人間の子どもはホタルをいじめているわけではないが)、とべないホタルをいじめられている子どもに例えるなら、このお話から学べることはないか、話し合ってみよう。」
(決して、いじめられている子どもが、このとべないホタルのように、縮んだ羽根をもっているかのような身体的な状況があるわけではないことを丁寧に説明する。あくまでもこの話をひとつの例えとして学ぶのであることを納得させて、この発問を行う。)

予想される回答には
a.たった一人で身代わりになって自分がいじめられるなんてことは、そう簡単にできない。物語ならこんな展開もあるかも知れないが、現実はそう簡単ではない(つまり学ぶべき点はない)。
b.自分が身代わりとなっていじめられるなどということはできないが、いじめられている人のために、何かできることはないか考えることは大切だし、できそうだ。小さなこと、些細なことでもいじめられている人のために行動することはできるのではないか、その点は、この物語から学べる。
c.同じ状況を見ていたその他の数十匹のホタルも同じようなことを考えていたというのは、いじめの状況と似ている。多くの友達が協力して行動を起こすことが有効ではないかと考えられる。
などがあるだろう。

大切なのは、「自分から行動すること」「多くの者が協力して行動すること」のよさ・大切さを感じ取らせることである。
発問4:「いじめ解決のためにできることに必要なことは何だと思うか、話し合ってみよう。」

自己犠牲のような大きなことを強いるのは現実的ではないし、効果的でもない。そこで、「些細なこと」「簡単にできそうなこと」で、いじめ解決に繋がること・いじめられている人の側にたつことができることについてアイディアを出し合う。

小学校3・4年生なので、比較的素直な方法が出るだろうし、出た方法についてあれこれ異議をはさまないだろうから、たくさん考えることに価値があるとして学習を進める。

それぞれの意見をしっかり認めながら、模造紙など大きな紙に書く

④教師によるまとめ(5分)

ここが大切なのだけど、まとめとして、「必要なことは、いじめられている人を『大切な友達の一人だと感じること』であり、それが、この物語の最も重要な観点である」ことを端的に伝える。

模造紙の一番下に、これらのいじめをなくす方法を支える最も大切なものとして、『クラス一人一人が大切な友達』と赤マジックで書き加える。授業後、掲示板に添付。それを写真に撮って、学級通信で家庭に発信するとよい

引用元

坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり 「とべないホタル」でいじめについて考える( http://p.tl/OWaD-

編集後記

いじめ問題について考えるのには最適な教材です。ホタルが「とべない」ことに焦点を当てるのではなく、助け合う気持ちを強調するようにしましょう。

家庭にも発信することで、いじめ問題について家でも考える機会を提供できるとよいですね。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 高橋遼)

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