「読書」こそ、国語力の礎 ~ 「読書」する楽しさを求めて ~ Part3

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作成者: 興津洋男さん

Part1 はこちら http://edupedia.jp/entries/show/849

Part2 はこちら http://edupedia.jp/entries/show/850

4. 子ども達による「読書の体験化・自己化」(ささやかな3学年の1年間の取り組み)

(先の長い話ですが…「生涯・読書人」を目指して)

1)校内「国語科プロジェクト」における「読書」の位置づけ (略)

2)校内「3学年・総合的な学習の時間の編成そして実施」における「読書」の位置づけ  (略)

3)学年の取り組み

i) 3学年全児童による町立図書館体験を行った。

館長より利用の仕方についてレクチャーを受けた。93名が自分の図書館利用者カードで本を借りる体験をし、カード未登録の子ども達には事前に町民である証を事前に持たせて、カード登録を行った。

○各担任3名は、土日や長期休業に町立図書館で自ら進んで本を借りることを奨励し続け、年間700冊を読破する子ども達が何人も出始めた。

ii) 学校図書室の活用

ア) 校内学級貸し出し文庫を利用し、個人貸し出しとは別に、週単位でクラス 40冊の図書を輪読、朝学習(毎朝15分)に読書を充てた。

イ) 読書カードをファイリングさせ、1年間の読書実態を追い瞬けた。(略)

 
○1年を通して、自分自身の読書への振り返りを行った。
 
○指導者から見た一人ひとりの読書條向を把握するための資料に利用するとともに、一人ひとりの読書が偏らずバランスよいものになるための支援材料とした。

iii)「読んだ本を、スケッチしよう」 別紙2-1

 
ワ一クシートを用意し、読んだ本のスケッチをさせることで、その内容をふり返らせ、自分のことばで綴らせることで、密かに読書体験化を図った。

(1)作者についてしったこと→ 作者の見方・考え方への気づき

(2)題名について感じたこと→ 題名を通して作品世界をのぞく

(3)話のおもしろかったところ→ 自身から見た作品の魅力

(4)カット絵について感じたこと→作品から受けた像とカットとの対比

(5)友達にしょうかいしたいところ→どれだけ深く自己かできたか

※ 国語科単元「(屋上から見た風景)スケッチしたいこと」(町の様子)の差し替え。→ 同単元は社会科学習に、転用。

iv)「わたし、ぼくのオススメの本」  別紙2-2〜3

 
読み味わいを深めるために、(3)(4)に目を向けさせることを願った。
 
(1)題名
 
(2)作者
 
(3)◎話の中身が、「目に見えるように書かれているところ」
人やものの様子、場面の様子など、作品の魅力を支える描写・叙述への気づき

(4)◎お話の「はこび方が、とても上手く楽しいところ」

→話の展開や構成の面白さに気づけるか

v)「お気に入りの本をしょうかいしよう」 別紙2-4

クラスの友達、低学年や保護者・地域の人達に発信するため、模造紙に貼り廊下掲示を時折行った。→作品のよさ・楽しさを、他人が分かるようにいかに伝えるのか

vi) 読書体験による図工作品化

◎ 自分たちの読書したもののうち、「絵画化」や「版画化」は子ども達には、手間の掛かる労作になった。

なぜなら、場面の様子や人物の様子とそれに絡む心情とが自分なりに深く「読み切れていなければ」、絵画化したり版画化したりすることができないからである。子ども達は作品化するために、1冊の本を何度も読む羽目になった。従って、ほぼ全員が画用紙や版木の横に選んだ書物を置いて、精読しつつ、作品に取り組まざるを得なかった。

これが、私の本当の「ねらい」であった。

(1)「おいで、もんしろ蝶」(工藤直子 作)を読み味わい、一人ひとりが4つ切り画用紙にイメージ画を書いた。(「モア美術館に出品」…「同化体験」(自分がどの位置から何を見ているのか、自分の姿を作品中に描く。)  略

(2)様々な読書の中で最も印象に残った場面を思い出し、版画に仕上げた。
作品例

ⅶ)「オヤジの会」(PTA組織)を招き、各クラスにて男子会員による「読み聞かせ朗読会」を秋季に実施した。

男親の子育て支援参加を望んだのと、女性ボラシティアによる読み聞かせになれた子ども達も、何よりも男性達による「読み聞かせ朗読」インパクトを与えたかった。結果は、強い印象を与えたようだ。このことが、3学期実施の自ら読み手になって幼稚園児に「読み聞かせ朗読」する男女93人のモチベーションになることを期待した。

ⅷ) 近隣幼稚園・島本町立第二幼稚園での「読み聞かせ朗読会」

◎「ねらい」は、「読み聞かせ」の主体になるための条件にある。その条件とは、『自ら読み聞かせる文章中の人物の様子とそれに付随する心情』が、完全に読み切れていなければ、『人前で、朗読なんて出来るわけがない』ということである。ここに、指導者の校滑な叱咤が実は潜んでいるなんて、子ども達はつゆぞ知らない…。

「ねえ、ねえ、お隣の幼稚園で園児に読み聞かせをしてあげない?」

『やりたい!』『なんだか、おもしろそう』『最後まできいてくれるかなあ』

『あきないかなあ』…等々、関心は自分達の「力量」よりは幼い園児に向いているのが、何ともほほ笑ましく可愛かった…。

i)〜ⅶ)の活動を経て、子ども達93名が、幼稚園を訪問。1対1対応にて自分オススメの本を持って園児に向かって一人ひとりが座った。そして、幼い「妹・弟」である年長園児に「読み聞かせ朗読会」を行い、「四月に待っているから、早く入学してね」と告げた。大変緊張して活動を展開していたが、少しずつ「読書」を自己化する姿が垣間見られ、担任3名は大いに喜んだ。

ⅸ) 平成23年2月9日《水》第3時限にて第3学年3クラスが同時全体研究公開授業を実施。

*この授業の際の指導案をまとめた記事はこちら
http://edupedia.jp/entries/show/835  

放課後、全体研究授業反省会を持った。教科書巻末にある単元名:「自分の力をたしかめよう」・教材名:民話「やまんばのにしき」を用いて1年間の「読書」の取り組みの効果を検証するものであった。

授業反省会では、音読のすばらしさを評価いただいた。1年間、音読カードを用いて毎日音読を課してきたゆえであろうか。或は、幼稚園での「読み聞かせ朗読会」がその自信となったのであろうか?

また、道徳指導でよく用いた心象円グラフカードにての色塗りも、人物の心情変化を視覚的に子ども達が明らかにできる点での評価を得た。更に、人物の心情や場面の情景を表す中心語句やキーセンテンスをワークシートに「書かせる」活動の意義性についても言及を頂戴した。更には「話す聞く」活動の闊達さや小グループによる主体活動にも評価を得た。

最も嬉しかったのは、子ども達の「深く射程の長い」読み取り活動にお褒めの言葉を受けたことであった。

5. 簡素な考察

大変エネルギーの要る1年間の活動であったが、子ども達に文字・文章嫌いが激減した。それは、文で出題され文で答えさせられる算数科学習、難解な説明文が付随する社会科学習、理科の観察実験と思考で求められる記述等の際にあった文アレルギーを確実に減少させたように思われる。何より増して嬉しいのは、国語好きが増え、読書好きが倍増したことである。
 
3学年の他の担任2名が口を揃えて曰く、
「先生、怖いですねえ。メキメキと学力を伸ばしてきつつある子ども達の殆どが、500〜700冊を読破した子ども達なんですから…。」
『シタリ!』

学年の3名の強固な協働性があって、初めてできた取り組みであった…。

引用元

第60回読売教育賞受賞論文 『「読書」こそ、国語力の礎 〜「読書」する楽しさを求めて〜』 興津洋男先生より引用
この記事・写真等は、読売新聞社の許諾を得て転載しています。

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読売教育賞

読売教育賞は昭和27年に読売新聞社が教育の発展の一助にと第1回の募集を始めて以来、わが国最高の教育賞の評価を得ております。

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選考は、実績の有無や年齢、性別などに一切とらわれず、純粋に研究と実践の成果、特に最近の活動を中心に行います。理論研究だけといったものは避け、子どもの成長や地域社会の発展に具体的にどう寄与したか、どのような成果をあげたか、といった点を重視します。
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