モジュール授業で集中力を鍛える(鈴木夏來先生)

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作成者: 鈴木夏來さん

1 はじめに

 
この実践は、2012年7月29日に横浜で行われた【徹底反復 学力向上セミナーin神奈川~基礎・基本の徹底反復で活用力向上!~】にて紹介された実践です。

2 モジュール授業について

動画(⑤モジュール音読 3学期)

<モジュール授業の定義>

広義には

 
1単位の授業を複数に分けて、弾力的に運用する授業形態のことです。たとえば45分授業を15分×3本セットと捉え、①国語の音読 ②算数の計算 ③音楽のリコーダーのように、異なる内容を1単位時間に行います。それぞれ1/3ずつ授業をカウントしていきます。

狭義には

 
陰山英男先生が提唱するようなモジュール授業のことで、特徴は以下のようなものです。

①基礎・基本的内容である。
 
国語の音読や漢字練習、算数の計算問題、社会科の都道府県 など

②帯時間で行う。
 
「今日は2時間目、明日はなし、明後日は5時間目がモジュール…来週はええと… 」などど、毎回時間帯や内容がころころと変わるものではありません。毎朝、中休み後など決まった曜日や決まった時間に行うのが特徴です。決まった曜日・時刻で行うからこそ、教師も子どもも安心して取り組むことができるのです。

③スピード重視。

リズム・テンポ良く行うことが肝要です。余計なことばを省いて行います。

④繰り返し
 
荒く、雑に、繰り返します。1回で完璧にできなくても構いません。何回も繰り返すことで、少しずつ良いかたちに仕上げていきます。「丁寧に、ゆっくり、1回だけ」 の反対です。

<対象学年>

 
全学年です。
低学年の子ども、配慮を要する子どもは、コロコロ変わる時間割が苦手ですので、特に有効だと思います。

<モジュール授業を行う目的>

〇子どもの変化

 
毎日のように続けてやっていると、あるとき突然、爆発的な成果が見られます。急に暗唱が得意になったり、計算のタイムが急激に上がったりします。2週間(5日×2週)で結果が出ることが多いようです。

○教師側の変化

 
やる側の教師ですが、最初は大変です。音読、漢字、計算など、短時間で実践内容が変わるので、体がどっと疲れます。しかしながら、4月を乗り切ったころには、子どもと同様、モジュール授業に体が慣れてきます。頭がスッキリするのです。2時間目以降も、集中力を持って授業に臨むことができます。毎日やらないと、なんとなく気持ち悪いくらいです。
 
自分自身、名文をたくさん覚えました。そして、音読の口の開きが良くなり、姿勢も良くなりました。プレゼンテーションのスキルも上達したんじゃないかと思います。

<モジュール授業に使用する教材>

■計算

〇百ます計算

■社会の都道府県

〇北海道から沖縄まで、各都道府県に1~47までの番号のついたプリント。
 覚えるときには番号を混ぜたり、変えたりせず、同じものを繰り返します。

■音読

〇数の単位

  • ピコグラム、ナノグラム、マイクロシーベルト、ギガベクレル、テラベクレル…今まで聞き慣れなかった単位がよく聞かれるようになりました。そちらも入れることで、数の単位に興味・関心を持ってもらえればという思いがあります。

〇陰暦12ヶ月

  • 1年生が「霜月の○日」ように、日常会話で使っていたり、連絡帳や日記に書いていたりすると、とてもかっこいいと思います。
  • 陰暦12ヶ月以外にも、二十四節気も覚えています。「『霜降』だから霜柱ができるかもしれない」というように、季節の変化を敏感に感じとれる子どもが育っているような気がしました。

モジュールの教材として、音読に上記のような素材を用いる理由は、ひとつは、リズムに乗れば簡単に覚えられるからであり、もうひとつは、覚えておくと何かと便利だからです。

「意味の分からないものを子どもに読ませるべきではない」という考えがあります。しかし、それはここ数十年の考えに過ぎません。昔の日本人は、素読(そどく)と言って、意味が分からくても良いから、声に出して読むことを重んじてきました。『平家物語』、『論語』、『枕草子』、名文を声に出して読んでみましょう。その音の響きやリズムそのものに、楽しさや感動があるはずです。意味が分からないからこそ、何遍も繰り返し読む。より深い意味に触れられるまで、繰り返し読みたいものです。

音読教材のダウンロードはこちら▽
添付ファイル

参考:日本標準 『教師のチカラ』誌 二〇一二 冬号
=== <音読のモジュール授業のポイント>
音読のモジュール授業について、鈴木先生に疑問に答えていただきました。

Q. 動画の中で、子どもは机の上になにも置かずに、暗唱できるようになっています。机の上に何も置かないのはなぜですか?

A. それは、子どもの脳内メモリを、音読教材に一点集中させるためです。
 たとえば、パソコンでワープロソフトを使用している際に、動画作成ソフトやホームページが立ち上がっていたりすると、文字入力のスピードが遅くなることがあります。それと理屈は一緒です。音読という一つのソフトだけ立ち上げれば、その分子どもの処理も速くなります。小さなことですが、効果は抜群です。音読のスピードが上がり、暗唱もたやすくなるはずです。
 もし教材をすでに覚えているのならば、後ろ手に組ませるのはいかがでしょうか。両手が空くと、必ずと言って良いほど手遊びを始めます。指先は「第二の脳」ですから、自由にさせるのは危険。後ろで組めば、手遊びを封じることができます。腰骨も伸びますから、一石二鳥です。

Q. 子どもが机の上に何も置かずに暗唱できるようになるためには、どのようなステップを踏んだらよいのでしょうか?

A. 最初に未習の音読教材に取り組む際には、既習教材は猛スピードで一回ずつ、未習教材は、ややゆっくりていねいに二、三度。そうやって、どんどん読む数を増やしていくのがコツです。
 
例えば、未知の音読教材Kを読ませたいとします。その場合、ABCDEFGHIJKKKと、A~Jは一回ずつ読み、Kは三回ほど読ませると良いでしょう。Kは、初めてですから、ややゆっくり丁寧に。さらに翌日にはABCDEFGHIJKLLLと未知の教材Lを二、三度ほど読ませます。

Q. 動画の中で、音読の際、口の動きと一緒に体の動きがついている場面があります。体の動きがついているのはなぜですか?

A. 教師の動きは指揮者と一緒です。抑揚、強弱、アクセント等について、子どもが分かりやすいよう、合図を出しています。
 
分の頭や、拍子の頭、アクセントをつけたい箇所、高い声を出したいところ、弱くしたいところ、子音を飛ばしたいところ、これらをジェスチャーで合図しています。子どもも一緒に楽しいみたいなので、やりたいときにやらせています。体の動きに、これといった決まりはありません。

Q. 体の動きをつけている部分と付けていない部分の区別は何ですか?

A. あまりに動きをつけ過ぎると、そちらに気を取られて口が動かなくなったり、声量が小さくなったりすることがあります。声を出すことを忘れ、動いてばかりでは元も子もないので。したがって、難しい音読をやらせるときは、あまり動きを入れません。余裕が出てきたら、ちょっとずつ入れています。

Q. 体の動きをつけることで、つけない場合に比べて子どもたちにどのような変化が見られますか?

A. メリハリがつくことがいちばんですね。
 
ずっとただ、座って読むだけじゃ単調で飽きてしまうこともあるので。ただ、これは1年生の場合のこと。高学年だったら、動きを入れすぎるとひいてしまいます。ただ読むだけでも大丈夫かもしれません。

Q. 動画ではタイマーを使用しておられたように伺えたのですが、モジュール授業を行う際に必要な道具はありますか?

A. カスタネットが必須アイテムです。これでリズムを取ります。片手でたたきます。用意がないときは、指パッチンや手拍子で。タイマーも大切です。5分だったら、5分と決めて、高速で読みまくります。終わりが分かると子どもも教師も安心できます。目標がはっきりします。

3 編集後記

 
今回、鈴木先生にお話を伺い、モジュール授業という授業の形態を始めて知りました。これまで、自分が生徒として繰り返し学習を行っていたときには、ただその内容を暗記したり、計算のスピードを上げたりして、テストの点数につなげることが目的だと思っていました。しかし、モジュール授業の元では、教科を広く横断し、もっと根本にある物事に向かう姿勢にあたる部分の力を伸ばすことにつながるとわかりました。なにより、先生も子どもたちも一緒になって楽しそうにしている姿が強く印象に残っています。鈴木先生、ありがとうございました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤 睦)

4 講師プロフィール

鈴木夏來先生
神奈川県内教育委員会教育研究所指導主事。徹底反復研究会に所属し、NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)教員事務局スタッフとしても活動されている。
NHK「おはよう日本」や朝日新聞など、マスコミにも多く取り上げられ、『小学教育技術』『総合教育技術』『ドラゼミ』などにおいて原稿執筆なども行なっている。長沼武志氏と共に、「楽曲カルタ」「俳句カルタ」「暗記カード」など多数の手作り教材を発明された。

鈴木夏來先生のその他の実践はこちら▽
http://edupedia.jp/keywords/show/397

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