児童目線の分かりやすい教え方(早稲田アカデミー 牛嶋孝輔先生)

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目次

1 はじめに

「教壇に立ちはじめた先生を見ていて感じることは、“自分に向けて一所懸命になりすぎていて、児童にまで目が向いていない(目を向ける余裕がない)”ということです。しっかりと授業準備をして、時間いっぱいに準備したことを全て児童に教え込みたい、という気持ちには共感いたしますが、児童の反応を見てみると、なかなか思うようには伝わっていないようです。」(牛嶋先生談)

 
では、児童に分かりやすく教えるために、注意すべきポイントとは何なのか。それを、牛嶋先生に伺いました。

2 具体的なポイント

①児童に目を向ける

 
クラスの中でも科目によって得意・不得意はあるものです。予め、児童の成績状況を把握しておくことはもちろん、他教科とのバランスについても同じクラスの自分の科目以外の先生からも情報を集めておくとよいでしょう。
 
実際に授業を行う際には、成績の良い児童が多いクラスは上位生にあわせて、大きな流れの中で、他の生徒を引き上げていくイメージで。成績の平均的なクラスは中堅の児童に照準を絞り、時として授業の流れを細分化して、生徒間の理解の度合いの差が大きくならぬよう進めていきます。
 
キーワードは、「児童に目を向ける」です。

<ポイント>

*児童の反応から児童の視点を探る。
 
授業内で説明していることがしっかりと伝わっているかどうか、発問や指示に対する反応を確かめながら探ります。

*「打診」しながら児童との視点のズレを知る。
 
発問や指示は具体的に。今先生が問いかけていることが何か、どのような答えを要求しているのかがわかるように打診してみます。

*多数派の児童の反応を注視しながら授業を行う。(視野を広く持つ)

基礎クラスでは、よく手を挙げる子、講師の話を集中して聞きよくうなずいている子に、ついつい目が向いていきます。そうならぬよう、視野を広く持って全体に目を向けることを意識しておくことが大切です。

②目標を明示する。(ゴールを先に見せる)

授業の冒頭に、日付とタイトルを必ず黒板・ホワイトボードに板書し、ノートに書き写させることは、必須です。

その際に「今日の授業のポイントは・・・、目的は・・・」というような話をする習慣を付けると、長い目で見て大きな効果となって現れてきます。

<ポイント>

*理解のゴールを先に示す。

*常に見通しを示す。

何を学習するのか、そのことがはっきりしていることは児童の立場からすると、非常にわかりやすいことにつながります。
 

③目標を分解する。(少年よ小志を抱け)

「少年よ大志を抱け」という有名な言葉があります。「目標は大きくより高く!」も塾の中でよく使われる言葉です。これらの言葉は成績の良い生徒に響く言葉でしょう。視点を成績の平均的な児童に向けた場合、「大きすぎる目標」はかえって「やっても出来ない」「ついていけない」という思いを児童に刷り込んでしまう危険性があります。

「分からなければ、分けろ。分けて、分かれ!」

私が基礎クラスを担当する際によく唱える言葉です。
たとえば、クロールの泳法をスウィミングスクールで指導するときには、バタ足(キック)、水かき(プル)、息つぎ(ブレス)を分けて行うそうです。それぞれがしっかり出来た上で、クロールという泳ぎをととのえていくのだそうです。

<ポイント>

*大きな目標にいたる急斜面には階段を刻む。

*分解で不可能を可能に変える。

*部分目標ごとにアドバイスを与える。

*完成部分を全て組み立てて全体テストをする。
 
目標を明示するのはとても大切なことですが、そこにたどりつくまでの道のりについては、小さく分解して示し、達成できるたびに評価を与えていくことが、児童のやる気を引き出すことにつながります。

3 編集後記

授業を準備する際には、知識を詰め込むのではなく、児童が分かりやすいように児童の視点から伝え方を工夫することが重要だと感じました。とくに、児童に目を向けるというポイントはできそうでできない難しいポイントだと思います。授業の際には必ず意識しておきたいですね。
(編集・文責 EDUPEDIA編集部 徳川龍一)

4 講師プロフィール

牛嶋孝輔 (うしじま こうすけ)

早稲田アカデミーで25年間勤務。教育事業推進部事業推進課上席専門職「教師力養成塾」チーフインストラクター。授業開始時3分間の重要性を「学習する空間づくり」という形で、小・中・ 高・大や私塾での指導に力を注いでいる。社内外の研修、講演活動等を担当。NPO法人Teach For Japan 研修開発部顧問。


教師力養成塾e-講座(http://youseijuku.jp/) 

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〜2014年度年主な協働の履歴〜

東京都足立区初任者教員研修年間サポート(http://bit.ly/19gImkH
東京都その他の区でも初任者教員夏期宿泊研修や校内研修を担当

大阪市スキルアップ講座(http://bit.ly/1EpnH7d

大阪府立佐野高等学校校内研修(http://bit.ly/19gH9tr

沖縄女子短期大学教育方法論(特別講義)(http://bit.ly/1DKvkEX

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