お米博士になろう!(館山市立北条小学校)

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指導者 成瀬 京子先生 安田 春菜先生

目次

1 はじめに(本実践の目的)

今回紹介する実践のテーマは、日本人の主食である「米」について。

本授業は初等教育における学活の重要なテーマである「食生活」「健康」に関連している。

米の仲間(籾、玄米等)や歴史等について、実物や資料を自分たちで読み取りながら、多くのことを学ばせる。授業の終わりには、児童が米に精通した「お米博士」になることを目指す。

2 本時の目標

  • 米は、体内で主に力のもとになる働きをする食品であることがわかるようにする。
  • 教師の作成した6つのコーナーを回り、米について意欲的に調べられるようにする。

3 授業の方法

①クラス全体である発問について考えさせる。

②児童に、6つのコーナー(後述)を自由に回らせて、学んだことをワークシートに書かせる。

③調べたことや感想をクラス全体に向けて発表させる。

4 授業の展開

1.食事をするのはなぜか、特に、毎日のように米を食べるのはなぜかを考える。

~予想される児童の反応~

  • お米はおいしいから。
  • お米はお腹にたまるから。
  • いろいろなおかずに合うから。
  • 栄養があるから。       など。

~支援及び留意点~

  • なぜ食事をするのか考えさせ、食物には生きていくための栄養を与える働きがあることを理解させる。そして毎日食べる米に焦点を当てていく。(T1)
  • 米について知っていることを述べさせ、意欲を喚起しながら、本時に導いていく。(T1)
  • オープン学習の場を整え待機している。(T2)

2.学習の仕方を知る。(コーナー学習)

~児童の活動~

  • 6つのコーナーのどこからまわってもよい。
  • 各コーナーでわかったことや感想を書く。

~留意点及び支援~

  • T1、T2は各コーナーを分担し、児童の様子を把握しながら、各コーナーを自由に調べさせる。
  • ワークシートを用意し、学習の跡がわかるようにする。
  • 各コーナーでは児童同士で自由に話し合わせる。自分の考えと友達の考えとの相違点に気付かせ、自分の考えを広げたり深めたりできるようにする。(T1・T2)

3.米について6つのコーナーで詳しく調べる。

(1)米の栄養と働きコーナー

 
~児童の学習内容~

  • 米の栄養・働き
  • 炭水化物を多く含む食品

~留意点~

  • 理解を容易にするために、文字だけでなく図や絵を利用してわかりやすくする。

(2)米のいろいろコーナー

~児童の学習内容~

  • 籾・玄米・胚芽米
  • 白米・米の構造模型
  • もち米・うるち米

~留意点~

  • 米の実物や構造模型を用意して、それらに触って理解できるようにする。

(3)米の始まりコーナー

~児童の学習内容~

  • 白米と古代米(赤米・黒米・緑米)の違い
  • 白米と赤米の違い(赤米試食)
  • 「コメカミ」の語源
  • 古代人のあごの形

~留意点~

  • 日本の米のルーツと言われる赤米を試食することで、よく噛むことを体感させる。また、よく噛んで食べていた古代人の健康につながる資料を用意し、次時のテーマ『米をよく噛んで食べるのはどうしてだろう?』につなげていく。

(4)米ができるまでコーナー

~児童の学習内容~

  • 田植えから収穫までの流れ(図や写真を用いて)
  • もみすり、昔の精米体験

~留意点~

  • 米ができるまでに長い年月と手間がかかることがわかるようにする。

(5)米の変身コーナー

~児童の学習内容~

  • 米の加工食品(餅、せんべい、米粉パン等)
  • わら・籾・ぬかの利用(たたみ・しめ絹等)

~留意点~ 

  • いろいろな食品に変身したり、たたみなどの原料として利用されたりして、米が昔から自分たちの生活に密着していることに気付かせる。

(6)クイズコーナー

~問題~

  • 米と同じはたらきをする食べ物はどれ?
  • 米が収穫できるのはいつ?
  • 米はどれ?       など。

 
~留意点~

  • 各コーナーを回ればわかるような問題を出し、振り返りができるように工夫する。

4.調べたことや感想を発表しまとめる。

~引き出したい児童の反応~

  • 米はとてもすごい食べ物だ。だから、毎日食べるのだ。
  • よく味わって食べたい。
  • 米を食べて元気よく活動したい。       など。

5 本時の評価

  • 意欲的に調べることができたか。(ワークシート・発言)
  • 米の栄養とはたらきがわかったか。(ワークシート・発言)

6 教師の主張とその考察

日本人の主食として欠かせない食品である米について、自由性の高いオープン学習の中で理解を深めることを狙った。各コーナーは、3年生の発達段階にあったもので、5年生で学ぶ家庭科や社会科等の教科にもつながることを意識し作成した。
 
協議会では、「仕掛けのある資料を豊富に用意し、また実物を使うことは児童の活動をいきいきしたものにする。」「これからの自分の食生活、今後の学習につながる実践になった。」「素材をどのように扱うかが大切になる。お米に目を向けたことが良かった。」などの意見が出された。
 
米の素晴らしさや、よく噛んで味わって食べることのよさに気付くことができ、米に対する理解が深まった。今後の食生活に活かすことができる実践になった。

 
以下この授業の指導案および資料です。

7 編集後記

 
6つのコーナーを自由に回って学ぶという、普段とは違った、学習の楽しさや、実際に色々な米の仲間(籾、玄米等)を見たり、また試食をしてみたりするという「体験」ができる授業。この体験によって、児童の関心・意欲を大きく高めている。その結果、日本人が生活の中で無意識に食べている「米」について、改めて学んでもらうことができると思う。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮崎雅人)

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