クラスルームイングリッシュ~ALTとの協力・アニメの活用~

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目次

1 はじめに

本稿では、2008年9月1日付けの朝日新聞「花まる先生公開授業」にて掲載された、渋谷区立千駄谷小学校荒井浩子教諭による英語コミュニケーションの実践を紹介します。( http://www.asahi.com/edu/student/teacher/TKY200808310066.html)

この実践では、児童がコミュニケーションの楽しさを感じながら英語に親しみ、中学校からの学習が楽しみになることを目指します。ご紹介する方法はALT(Assistant Language Teacher)との協力やアニメの登場人物を題材としたゲーム、児童を引き付けるコツなどです。なお、提供していただいた資料はページ最下部よりダウンロードできます。

2 この実践のねらい

  • 聞き取りの練習を通して基本的な単語(be動詞, have, can, likeなど)を復習し、それらを使って話したり聞いたりする。
  • ゲームやスキット(寸劇)などを通して簡単な英語でのコミュニケーションを楽しむ。
  • 身近な題材を用いることで親しみを覚え、中学校からの英語学習が楽しみになるようにする。

3 児童の様子

千駄谷小学校では、低学年は年間20時間、高学年は30時間、それぞれ英語の授業を行っている。荒井教諭はALTとともに英語活動に取り組んできた。本実践を行った学級を1年生の時から担任していたため、英語での簡単な挨拶や身近ないくつかの単語などはほとんどの児童の身についている。また授業中だけでなく、給食の時間などALTが教室に来たときは、親しみを持って接し、日本語と片言の英語や身振り手振りで、なんとかコミュニケーションを図ろうとする姿も見受けられる。さらに6年生では、夏休みに福島での英語体験(宿泊行事)があるため、英語に対する興味や関心は比較的高い児童が多いと思われる。

しかし、高学年になり、発達段階からか恥ずかしさが先に立ちなかなか大きな声が出せなくなったり、逆に覚えようという気持ちが芽生えて英語に対して苦手意識を持ち始めてしまったりする児童も見受けられる。

4 本実践について

本テーマ「ANIMATION」は3つのレッスンで構成されており、be動詞, have, can, like等の簡単な使い方を練習し、インタビューしあったりスキット(寸劇)を演じたりすることを通して、英語でのコミュニケーションを楽しむというものである。本時は3時間の活動の中の、最初の1時間目の授業である。
 そこで、児童の身近な話題(アニメのキャラクター)をテーマに、ゲーム性の高い活動を多く取り入れ、児童が楽しみながら意欲的に取り組めるような場を多く設定した。

さらに、できるだけできるだけクラスルームイングリッシュを活用して、英語活動の雰囲気作りを行うことも大切であると考え、実践している。中でも特に、賞賛や励ましの言葉(Good job, Great, Nice try, Well done, Perfectなど)をできるだけ多く使って褒め励まし、児童が自信を持って発声したり活動したりできる様に心がけている。

5 ALTとの協力と授業への願い

授業の前にALTと打ち合わせを行い、ALTとHRT(Homeroom Teacher)の役割を明確にすることも必要である。ALTのネイティブな英語に出来るだけ多く触れさせるのは大事だが、活動の流れをコントロールするのはHRTである。児童の様子を捉えながら、ALTに的確に働きかけられるようにする。また、児童と一緒に活動を楽しんだり、時には失敗して見せたりしながら、必要に応じて児童への支援を行うことが望ましいと考えている。

外国語活動を通してコミュニケーション能力を伸ばしていくと言うことは、決して英会話が出来るようにすることでは無く、相手の話をしっかり聞いて、その思いを受け止めようとする姿勢や態度を育てていくことなのではないかと思いながら、日々の授業に取り組んでいる。

6 ユニット(単元)のねらい

  • アニメの作り方を知る。
  • 聞き取り練習をし、”have, can, like, be動詞”を使った基本的な言い方を復習する。
  • 児童は簡単なアニメをつくり、よく知られている場面のスキット(寸劇)を演じる。

7 ユニットの流れ

※活動計画として資料をページ最下部に掲載しています。

8 3ヒントゲームの進め方

※授業自体の進め方は指導案をダウンロードしてご覧下さい。

基本の表現

I am…. / I have (don’t have)…. / I like (don’t like)…. / I can (can’t)…. etc

ゲームの練習

1.児童をグループに分け、円を作って座らせる。

2.アニメのキャラクターのフラッシュカードを配る。

3. 1人ずつカードをひいて、そのカードのキャラクターについて、基本の表現を使い英語でヒントになる文を作り、クイズを出し合って練習 させる。

4.グループを回って児童の活動の様子を観察する。

5.上手く文を作れない場合は、言い方を確認して支援する。また、単語や動作も工夫して練習できるようにする。

6.フラッシュカードを集める。

ゲーム本番

1.フラッシュカードを、ペアに3枚ずつ配る。

2.児童はカードを他のチームに見せず、部屋を歩き回りジャンケンする。

3.ジャンケンをして 勝ったペアは、自分たちが持っているアニメのキャラクターのフラッシュカードの中から 1枚選んで、3つヒントを出して相手ペアに当ててもらう。

4.上手く説明して答えが当たったら、カードを当てたペアにあげる。当たらなかったら、カードはそのままで、次のペアを探してジャンケンする。

5.色々なペアとヒントを出し合って、ゲームを楽しむ。

6.カードがなくなったら、HRTやALTに新しいカードをもらう。

7.フラッシュカードを集める。

9 編集後記

小学校高学年から外国語活動(英語)が必修化されるようになった。様々な意見があるが、使える言語が増えれば今までより多くの人とコミュニケーションできる可能性が増える点、および中学校以降の課程で英語学習に入り込みやすくなるという点で効果があると考える。海外での仕事や研究はもちろんのこと、海外旅行や外国人旅行客の国内案内など使えると役に立つ場面が増えている現在において、外国語でのコミュニケーション能力は必須であり、ALTとの協力による実践的な会話練習を早期から行うことに損はない。ゲームという子どもに親しみやすい形式をとることで中学校での英語嫌い、苦手意識を持つ生徒を少しでも減らすことにも貢献できる。このようなゲーム性を取り入れた学習、ALTと協力した授業が増えていくことは小学校段階での外国語教育において大変良いであろう。これを通して「英語は楽しい」、「学べばより多くの人とコミュニケーションをとれる!」、そして「仲良くなれるしそれ自体が楽しい」や、「自分の可能性も広がる」と思える児童が増えれば幸いである。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 水島淳)

※指導案とゲームの説明資料です。
ダウンロードしてご参考にして頂ければと思います。

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