はじめに
本記事は、東日本大震災発生時に、岩手県内の中学校に勤務していた佐藤謙二教諭により執筆されました。
また、本記事の内容は、朝日新聞社「朝日Teachers’ メール 資料室」
( http://nie.asahi.com/ )にも掲載されています。
( http://nie.asahi.com/bousai/satou-bousai3.pdf)
対応時期
平成23年4月下旬から5月上旬
対応方針
学校が落ち着き、生徒が満足した学校生活を送るには「ルール」と「ふれあい」が不可欠である(『崩壊しない学級経営をめざして』学事出版 國分康孝監修 河村茂雄著)。
被災した生徒が安心して生活できるように「ルール」を、そして、2つの学校が縁あって生活するので、互いの良さを学び合う「ふれあい」を次のように考えた。
①ルールとふれあいのある学校を作ることを両校の生徒全員で確認する。
②両校で快適で安心して生活していくためにはルールが必要なことを確認する。
③両校で守るべき共通のルールを作り、守ることを約束する。
④両校でふれあう機会を意図的に設定し、相互交流を促進する。
対応内容
共通のきまり(一部)
- 校舎利用上のきまりを守る(両校生徒が交流できる場・時間)。
- 互いに相手に配慮した言動(思いやりのある言動)をとる。
- 部活動では同じ場所を使用するため、スペースを分け合い協力して行う。
- 校庭や図書室は交代で使うが、後始末をきちんと行う。
- 通学路はH中学校が本校にあわせる。
ルールについてはその後上記以外にもさまざまに確認すべきことがでてきたが、両校の合同運営委員会(校長・副校長・教務主任・生徒指導主事)を週1回開催して対応した(2学期以降も継続)。
【成果】
- 合同の生徒集会や合唱交流会を開催し、互いの良さを認め合い学び合うことができた。
- 部活動では合同の練習や練習試合を設けて、互いに良きライバルとして技を磨き合った。
- 生活面では生徒の交流で大きなトラブルは起こらず、落ち着いた1学期になった。
【課題】
- 両校の日程上の都合がつかなかったが、学期末に合同の生徒集会を持ち、成果等を確認できればよかった。2学期以降検討したい。
編集後記
被災後の対応として学校間で交流を行うことがあります。そのような状況において両校の生徒が満足した学校生活を送るためには、しっかりと共通のルールを決め、生徒全員で確認した上で活動することが大切であると感じました。このように共通のきまりを定めることでお互いが気持ちよく生活することができ、さらにお互いの良さを学び合うふれあいへと繋がるのだと思いました。そうしたきめ細かい配慮をし、指導することが重要であり、これからも求められていくのだと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 山口珠歩)
協力団体紹介
朝日新聞東京本社 CSR推進部
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( http://nie.asahi.com/ )には、新聞を活用した授業をサポートするためのいろいろなサービスが掲載されています。
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