基礎・基本の徹底で圧倒的な活用力の育成を!(桑原健介先生)

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目次

1 はじめに

 福岡県で小学5年生を教えている桑原先生は、授業において基礎・基本を何度も「徹底反復」し、児童たちにスモールステップをふませてゆくことで、圧倒的な活用力を育成することを提案しています。

徹底反復の利点

  • 脳の力が向上
  • 基礎的・基本的な力が向上する
  • 高度なレベルの問題に対応していくための基礎力をしっかり養成できる

2 徹底反復は授業をどう変えるのか?

授業が高速化し要領よく進む

百ます計算など、短時間で集中する徹底反復学習を導入すると、まず教師が変わります。授業の1~2分のスキマ時間も、十分に学びに活用できる時間なのだと実感し、「スピード・リズム・タイミング」を意識するようになるのです。これにより、授業はどんどん要領よく高速化していきます。

時間的ゆとりができ、高度な学習にじっくり取り組める

授業が高速化することで授業時数が余るようになります。この時間を活用し、少しレベルの高い思考系の問題にじっくり取り組ませるのです。何度も反復した圧倒的な基礎力を土台として、じっくり腰を据えて学ぶことができます。

3 授業実践のポイント

発表動画             

徹底反復研究会合宿にて行なわれた、算数の最小公倍数や速さ計算などを導入する模擬授業の動画をご紹介します。

算数学習の例

イメージさせる

数字、単位、図・絵などを工夫して用いることによって、学習内容を具体的にイメージさせます。単位は、いきなり距離・速さ・時間などを扱うよりも、まずは◯◯個のアメを◯◯人の生徒に配るなどの身近でシンプルな例からはじめましょう。もし進むうちにややこしそうな問題がでてきたら、まずは「簡単な数字になおす」ことを指導しています。扱う数字がややこしくても、実際は、根底にある考え方のイメージは基本問題と同じであることに気づかせるためです。

生徒に問いかけコミュニケーションをはかる

黒板に「2」とだけ書き、「次に先生は何を書くと思う?」と問いかけ、また次に「4」と黒板に書き同じ問いを発し…というふうに、度々生徒に問いかけをし、興味と参加意識を引き出します。ほとんど教科書を使うことなく、常に教師と生徒の対話形式です。

「カンタン」と思わせスモールステップをふませる

最小公倍数を教える時は、まず2と3の倍数を延々と書いていって、共通している数字を◯で囲んで…といった、丁寧な基礎的導入をし、児童たちに「カンタンだ」と思わせることが重要です。いきなり「最小公倍数」などといった用語を出して定義を説明しても、ただ身構えさせ、とっつきにくくさせてしまうだけです。まずは教師が「カンタン、カンタン」を口癖にし、同じ考え方で数字だけ変えて何度も生徒に解かせてみると、定着してゆきます。

子どもの本当のつまずきを理解する

  • つまずいているのがたとえ6年生の範囲だとしても、まずは1・2・3年の学習に戻りましょう。基礎・基本の抜けを探すことが大切です。
  • 「問われたことに答えること」を普段の会話の中でも意識させましょう。的外れな回答を減らすことができます。
  • 問題を、そもそも「ちゃんと読んでいるのか」「ちゃんとイメージできているのか」をチェックしましょう。

4 編集後記

高度な内容を学んでいくには、土台となる基礎をしっかり築きあげなければならない、という当たり前かつとても大切なことに気付かされました。先生が、簡単なことから順序を追って少しずつ丁寧に教え、「カンタンだよ」と言ってあげることにより、子どもは勉強に対して身構えることなく、なおかつ知的探究心を刺激され積極的に学ぼうとします。桑原先生の受け持つクラスは、先生も児童も非常にいきいきとして明るいクラスなのだろうと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 磯辺菜々)

5 実践者プロフィール

桑原健介(くわばらけんすけ)先生 
徹底反復研究会九州支部
著書『最強のクラスをつくる!対話指導プロの技 5・6年編』(明治図書出版)
http://p.tl/4d-4

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