自宅での避難行動(日本女子大学 石川孝重研究室)

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目次

1 はじめに

本記事は、建物の総合安全性と快適な居住空間をテーマに研究をしている日本女子大学石川孝重研究室によって執筆されました。「総合的な学習の時間」で行う防災教育として、特に小学校高学年生を対象とした実践を紹介しています。

下記のURLから基の実践をDLし、教材として使用することができます。

http://mcm-www.jwu.ac.jp/~jyu-ishi/isikawa/bosai_sogo/index.htm

2 学習のねらい

地震時に室内で危険になるものを考えながら、避難の仕方を自ら考え学ぶこと。

3 児童の思考

室内に危険はたくさんあって危ない。逃げ方を考えておかなければ、自分や家族が押しつぶされてしまうかもしれない。

4 学習のながれ(4/16時間)

5 学習内容の詳細

導入

本日の学習について知る(5分)

前回は学校だったが、自宅で被災する可能性も高い。もし保護者と一緒に地震にあったら、どのようにして逃げればいいかを児童自らが考えることを伝える。

展開

自宅での避難行動(25分)

説明

イラストを見ながら優太とママの紹介をして、この二人を地震の中で避難させる内容であることを伝える。地震時の二人のいた位置を説明し、地震が発生したときにどのような避難行動をとればよいか、前回の授業を振り返りながら考えることを伝える。

間取り図を見ながら、個人で危険なものを考え記入させる。

◆押さえておきたいポイント

班ごとで共有させる。

班での話し合い。

どの場所でどのように優太とママが避難すれば助かるかを考える。話し合いをしている間に班を巡回しながら、助言をしていくとよい。

班で考えた答えを発表させる。

※解答例

ママ→やかんに注意しながら、机の下に隠れて脚をしっかりと握る。

優太→ピアノに注意しながら、ソファの上に座り、ソファのクッションを頭から少し離して頭を守る。(ソファはやわらかいので、少し頭から離さないと、障害物が落ちてきた際に頭にぶつかってしまう。)

避難経路の確保と火災の防止(10分)

補足事項

避難行動を考える際に、ドアを開ける。火を消すといった考えにも触れてほしい。子どもから意見が出なかった際はこの 2 点について補足する。しかし、この間取りの場合は家具が転倒したり、やかんが落ちてきたりするなど危険が多いため、避難を優先した方がよい。そのため児童から意見が出た場合は、まず避難を第一に行うべきであることを伝える。避難行動でも触れるが、机の下に隠れるといった避難と、これらの避難経路の確保と火災の防止は、状況に応じてどちらを優先すべきか考えなければいけない。ただし、児童は避難を第一にすべきである。

避難経路(ドアを開けること)の確保の必要性

耐震工事や家具止めなどをしていなければ、自宅では家具が散乱したり倒壊の危険があって住める状態では無くなってしまう。また、大規模な火災が発生した場合は自宅では危険なので、避難場所へ逃げなければならなくなる可能性がある。その際にドアの枠組みが変形してドアが開かなくなったり、家具で阻まれてしまったりして、外に出られなくなってしまうことがある。そこでドアを開ける、またはバールなどドアを開ける道具を用意することが必要になる。しかし、近年では地震時に変形しないようなドアも作られているので、家族に確認することを伝える。

まとめ

本日の学習のまとめ(5分)

避難行動の仕方の考え方を学ぶことができたので、自宅で実際にこの部屋ではどこに逃げよう、などと考えてみることを伝える。

6 学習指導案

7 ワークブック

児童に配布し、授業の展開を補足するためにお使いください。
この実践はP7〜10に対応しています。
▽ダウンロードはこちらから

8 編集後記

具体的な例を出して考えさせることで、どうすれば身を守れるかを、より真剣に自分の頭で考えることが出来ると思います。また、これを学校で行い、子どもが家庭に持ち帰ることで、家族と一緒に防災への意識を高めることができるのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 薗田誠也)

9 協力団体紹介

日本女子大学家政学部住居学科 石川孝重研究室
建築物の構造安全や防災、住教育を専門とする石川孝重教授の下、建物の総合安全性と快適な居住空間の確立をテーマに、建築物の設計や性能、安全性、防災のほか、建築法規、建築物の維持管理まで、多岐にわたる研究を行っている。
また、研究成果の情報発信や防災教育の普及にも取り組んでいる。
●今回ご紹介した内容はこちらをご参照ください
●石川孝重研究室に関する情報はこちらをご覧ください

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