子どもの作文を劇的に変える『究極の作文指導』(岩下 修先生)

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はじめに

はじめから作文が上手な子どもはなかなかいません。しかし、適切な時に適切な指導を行うことで、その学年の子どもとは思えないようなレベルの高い文章が書けるようになることを岩下先生はご講演の中で教えてくださいました。

そのポイントとなる部分が、子どもに対する「細かな観察力」と的確な指導の「タイミング」、そして確かな「指導力」です。

細かな観察力と的確な指導のタイミング

先生は作文がうまく書けない子どもに対して、その子どものつまずきに合わせて、個別に特製原稿用紙を作っているそうです。しかし、「特製原稿用紙を作る」というのは決して簡単なことではありません。そのため、子どもらを逐次観察して、どこでつまずいているのか、どんなヒントを原稿用紙に混ぜ込めば子どもの成長の一助になるのかを計算して作り、「ここだ」というベストなタイミングでその原稿用紙を子どもに渡すのだそうです。

例えばこれ(以下の画像を参照)がその原稿用紙です。この原稿用紙を覗けば、どこで・誰に対して、そしてどんな文体で書くのかを整理させた上で書かせるための仕掛けや、説明的な文章または、物語的文章はどのように書くのかという型を盛り込んだ仕掛けがふんだんに散りばめられていることがわかります。

確かな指導力

このように、細かな観察力と的確な指導のタイミングを意識しながら教職経験を積み、それらを身体的に備えているからこそ、以下のように添削におけるコメントからもどれだけ子どもを観察しているかが伺えます。

また、このように型を意識しながら書くように指導することで、子どもが本当に表現したいことが作文に素直に表れています。

インタビュー

「なぜこのような指導方法やアイディアが浮かぶのですか」と先生に伺ったところ、先生はにこやかにこう答えてくださいました。

「私は子どもに「あっ」という気づきをたくさんあじあわせてあげたいんです。そのためには、こちらが「作戦」を考える必要がある。そして、この作戦を作るためには常にアンテナを張っていないと情報はキャッチできないし、作戦は構築されていかないですよね。だから、お風呂に入っているときでも、どんなときでも考えることは子どものことだったり、教材づくりのことなんです。アンテナを張って一流のものをどんどん求めようとする、学ぼうとする、そんな姿勢がカギなんじゃないでしょうか」

そのように私に教えてくださった学び続ける教師の眼は、とてもキラキラしていました。

編集後記

岩下先生が教育を語るとき、子どものことを語るときの眼差しはいつもキラキラしています。何かその眼差しの中からは「僕が持っている最大限の力でこの子どもたちに最高の教育を提供したい!」というような熱い想いを感じます。子どもを第一に考え、自分の教育が子どもらの将来の糧になってくれればと思い、常に学び続ける岩下先生の教師としての姿勢にはとても憧れを抱きました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杉本大昂)

実践者プロフィール

岩下 修(いわした おさむ)
立命館小学校教諭
1973年 愛知教育大学社会科卒業
1989年に出版された『AさせたいならBと言え』(明治図書) (http://goo.gl/ZB4j7
は、教師のバイブルとされ、ロングセラーとして今も新任教師からベテラン教師まで多くの教師に読み継がれている。

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