板書で見る授業「おゆうぎかい」できまりを守る心 (坂本哲彦先生)

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1.はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→ http://sakamoto.cside.com/

2.この記事で紹介する実践

資料

「おゆうぎかい」(須輪知子)(出典)「道徳教育推進指導資料(指導の手引き)6

小学校 社会のルールを大切にする心を育てる」平成8年 P.26-29

対象

小学校1・2年生

ねらい

出し物の途中にお菓子を食べたり、話をしてはいけない理由について話し合うことを通して、演じ手に対して失礼であるという理由を新たに知り、約束やきまりを守る上での道徳的判断力を高める。4-(1)

3.学習内容

出し物の途中にお菓子を食べたり、人と話をしたりしていけないのは、見ている他の人に迷惑をかけるからだけではなく、そもそも出し物を演じている人に対して失礼であるからだということが判断できるようになること。

4.学習過程

①全校朝会の時の自分の態度について思い出し話し合う(10分)

  • 昨日の月曜日にあった全校朝会の様子を提示し、自分の態度を思い出して、1~5で自己評価させます。低学年なので、その日か前日を思い出すのが精一杯です。
  • 「無駄話をしなかったか?」「ごそごそしなかったか?」など具体的に尋ねることが大切です。

  • 子どもたちは、無駄話をしてはならないこと、ごそごそしてはならないことを知っています。再三指導されているからです。
  • 本時は、その理由を話し合って、なぜ「私語」をしてはならないかについて、道徳的判断力を十分に高めることをねらいとしています。
  • 1に手を挙げる子どもに対して、あれこれ言ってはなりません。なぜなら、1に手を挙げられるクラスの雰囲気があることも大切だからです。

②資料を読み話し合う(25分)

● 発問1:「うまさんは、おかしを食べてはいけないことを知っていたのでしょうか?」


* 板書右にあるように、「知っている」理由と「知らない」理由を出し合い、話し合います。解答を求めるわけではなく、次の発問にある「りすの気持ち」を話し合うための前提発問です。
* 「知っている」と考える子どもの方がとても多くなります。自分と重ねているからです。低学年の子どもは人の気持ちを考えるとき、自然と自分の気持ちが出るものです。

● 発問2:「りすさんはどんなことを考えているでしょうか?」

  • 板書の吹き出しにあるような意見が出ます。赤の波線が引かれている「りすさん(演技者)の気持ちが分かっていない」を最後に出します。(これが最後に出るようにするために、事前にプリントに書かせて意図的に指名するのもいいかもしれません。この授業では、偶然最後に出ました。)

● 発問3:「なぜ、お菓子を食べてはいけないのでしょうか? なぜ、おしゃべりをしていけないのでしょうか?」

  • 「周りの人にとって迷惑である」などの意見が出ますが、本時の学習内容は、「演技をしている人にとって失礼である」なので、発問2で「りすさんの気持ちが分かっていない」を出しておくことが必要なのです。
  • 余談ですが、高学年で授業すると「映画では食べてもいいのに、劇では食べてはいけない」の違いについて話し合うことができておもしろいと思います。その場に、演技者がいる場合は、「その人にとって失礼だから食べてはいけない」し、いない場合は「周りの人に迷惑にならないように、静かに食べるのであれば、飲食はOKなのだ」という合意が成り立つかもしれません。(この低学年への授業でも多少そのようなニュアンスの発言がありました。)
  • 板書の左下赤線囲みの「りすさんにとって悪い、迷惑」を最後に押さえます。

③自分が馬かうさぎかについて考える(5分)

  • 低学年ですので、プリントに書いたり発表させたりせず、教師が静かに話しかけながら、自分が馬ではなく、うさぎに近づけるといいなあという気持ちを高められるようにするといいと思います。

5.編集後記

まだ低学年の子どもたちは行動する際に理由を考えてはいません。自分が何をしているかの理由を考えながら行動することは、自分の将来を選ぶ力にも関わってくると思います。この実践は、自分で考えながら生きることを教えてくれます。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)

6.実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。

自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/

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