若手教師が現場を生き抜くための術~マネジメントという武器の獲得を目指して~

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目次

1 はじめに

 このセミナーは、『学級経営・授業にいかす!教師のための「マネジメント」子どもも教師も成長する65のヒント(明治図書)』 の執筆者による教師のための「マネジメント」セミナーの第2弾です!
(以上、セミナーの告知サイトhttp://kokucheese.com/event/index/71656/より引用)

 休職する教師は、年間5000人にも上ります。その原因を探っていくと、今現場の教師は非常に多忙だからだそうです。多忙が原因で仕事熱心な教師ほど精神的に追い込まれています。そんな教師を救いたいと思いこの記事を執筆しました。

2 目的

 そもそも、なぜマネジメントを行わなければならないのでしょうか?

教師の仕事には3種類の性質があるそうです。

  1. 無境界性…生徒のためにと努力しようと思えばいくらでも仕事はある。
  2. 多元性…教師の仕事はいくつもの仕事を並行して行わなければいけない。
  3. 複線性…仕事の順番がよく変わり、増える。

 つまり、現在の教師の置かれている環境においては、ただ頑張るだけの教師はすぐに疲弊してしまいます。そこで、マネジメントを行い、仕事の効率を向上させることにより、多忙によるストレスの減少が期待されます。

3 マネジメントの定義

 マネジメントには、計画、操作、調整、統制、監督、管理、組織、計画などの意味があります。ここでは、山田将由先生の言葉をお借りして、

  1. 使命を考え、
  2. 人を生き生きさせ、
  3. 成果をあげること。

と定義します。

 どうしても教師は、①と③を重視しがちです。マネジメントは人を軍隊のように動かすために行うのではなく、むしろ生き生きさせ成果をあげるために行います。ですので、環境作りや調整の意味合いが強いです。もちろん、それだけでは組織運営は成り立たないので、それにルール作りが加わります。その要素を取り入れたのがマネジメントです。

4 徹底的なリスクマネジメント

事前に危険性を予測し、児童に隙を与えない考え方

 次の問題を考えてみてください。

例1
「あなたの担任しているクラスで、生徒が黒板に落書きをしていました。あなたならどうしますか?」
    
 この問題を与えられた方の多くは、どのように指導するか既に考えていらっしゃるでしょう。しかし、この時点で対応は後手にまわってしまっています。要は、教室にチョークを置いておかなければいいだけのことです。

「生徒の行うことを予め予測し、先手で行動する。」

これだけで、教師の仕事は減ります。
   

もう1つ問題を考えて頂きたいと思います。

例2
「5年生の担任のあなたは、掃除の時間に職員室に忘れ物をしたことを思い出したので、取りに行きました。教室に戻ってみるとAさん(女子)が泣いています。様子を観察するとB君(男子)Aさんが喧嘩したようです。現場には児童が騒ぎを聞きつけ集まって来ました。あなたならどのように対応しますか?」
   
 もう、どのように生徒を指導しようかと考えている方はいませんね? 教室を離れた教師が悪いのです。でも、そんなことを言っても離れなければならない時もあるでしょう。そんな時は、隣のクラスの教師にお願いして、あなたのクラスの様子を見るようにお願いしてください。

 もう1つ考えて頂きたいのは、本当に今その忘れ物を取りに戻らないといけないか?ということです。事件は常に現場で起きています。現場を離れることで、児童に問題を起こす隙を与えてしまいます。自分自身の仕事を増やさないためにも、児童が問題を起こさないように、常に気を配ることが重要です。

分析について

 中條先生は、自分のクラスの児童のことを1人1人丁寧に分析されています。
支援を要する児童をはじめ、個々の特性や性格などをきちんと詳細に分析することにより、先手、先手で問題を起こさせないようにすることができます。

5 講師紹介

伊藤邦人先生(立命館小学校教諭)
杉本直樹先生(大阪市立中学校教諭)
長瀬拓也先生(中津川市立中学校教諭)
中條佳記先生(奈良県小学校教諭)

6 編集後記

 今回のセミナーを通じて、問題が起きた時に児童に原因があるとすぐに考えるのではなく、まずは教師が自分に落ち度はないか? また、どうしたら防げたのか?を考えることが重要であると感じました。
 しかし、その一方で中條先生は、「丸腰も危険だが構えすぎも危険」とおっしゃっていました。なぜなら現場で起こることは、いつも自分の想定の範囲内であるとは限らないからだそうです。先手、先手で行動しリスクをきちんとマネジメントしつつ、予想外のことが起きた時には臨機応変に対応することが、大事であると考えるようになりました。
 最後になりましたが、セミナーの取材にご協力して下さった講師の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。
(編集・文責 EDUPEDIA編集部 大東孝司)

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