子どもに教えられた「とっさのフォロー」と「お手伝いトリプル効果」、そして教師ができる日常の13項目

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【「おもらし」した友だちを、とっさにフォローした子の話】

『授業中だった。
元気者の女の子が急に立ち上がり、窓際へ行き、水の入った花瓶を持って、
「先生、水を替えてきます」
と言って歩き出した。
それから、自分の席の前に来た時、突然つまずいた。
そして、座席に座っていた大人しい女の子のスカートに、花瓶の水を全部こぼしてしまった。
水をこぼした元気者の彼女は、その子に必死に謝った。

花瓶の水をかけられた大人しい女の子は、黙って泣いていた。
だが、その子は水をかけられて泣いていたのではなかった。
その子はトイレをガマンしきれず、おしっこをもらしたので泣いていたのだ。
でも、みんなは知らなかった。
そのことに1人だけ気づいた後ろの席の彼女は、すぐ行動にうつした。
その子のスカートに、実は花瓶の水をわざとかけたのだった。
おしっこをもらしたことを周りのみんなに気づかれないようにするためだ。
元気者の彼女は自分を悪者にしてまで、その子をかばったのである。

周りのみんなからは
「授業中に何やってんだよ」
などと非難の声を浴びたが、ひと言もその事実を語らなかった。
先生も後になってから、おしっこをもらした子から、その話を聞いたそうだ。』

(とっさに、こんな行動は、私にはできないなぁと思いました。でも、ちょっとでも、できるようになりたいなぁとも思いました。)

【お手伝いについて、親も子も、誰もが考えさせられる話】

  家族の役割                 神奈川県Yさん(15歳)

私の両親は、二人とも働いています。それで家では家事を家族みんなで分担しています。
お父さんもお母さんも、私も妹も、みんなそれぞれ家族の中での自分の役割をもっています。
私の今の役割は、朝ごはん・夕ごはんの洗い物と、週に1回は洗濯物です。
小学生の頃からずっと続いています。私はいつもいやだなあと思っていました。
中学に入ってからは部活もあるし、塾もあるし、そのうえ家事までやらなくてはいけないので毎日毎日とっても大変でイヤでした。
やりたくないと言いながらも、やらなくてはいけないことだと頭ではわかっていたので、余計にイライラしてしまうのです。
しかも、やりたくないことを全て後まわしにしてしまうので泣きながらお皿を洗っていた覚えがあります。

ずっと前のことですが、強く印象に残った出来事があります。
私の当番だった洗い物を父がやってくれていたとき、私は
「ありがとう」
と言いました。
テストで良い点を取っても、賞状をもらっても、あまりほめてくれなかった父が、たったそれだけのことをすごくほめてくれたのです。
私はなぜだか不思議に思って、それが強く印象に残ったのです。

この前、母に
「どうして私や妹に家事をやらせるの?」
とたずねてみました。すると母は
「忙しいから手伝ってもらいたい、仕事を覚えてもらいたい、というのもあるけど、家事をやっている人じゃないとわからないことがたくさんあるからだよ」
と言いました。
ご飯を作ってもらって、洗濯も掃除も洗い物もやってもらって、それが普通だと思ってはいけないと。

洗い物をやってくれた人に、洗濯をしてくれる人に、
「ありがとう」
と言いました。
人がお弁当を
「まずい」
と言って残したのを見て、作るのは大変なのに、と思いました。
ご飯を食べて
「おいしい」
と言えるようになりました。
もしも私が何の手伝いもしていなかったならば、あたりまえのこととして、一つひとつの物事に感謝できなかったと思います。
その話を聞いた時、父がほめてくれた意味がやっとわかったような気がしました。

「家族」という社会集団の中で、私たちはいろいろな役割をもっています。
その役割をはたすことが、家族の力にも自分の成長にもつながっているんだなと思いました。
そして、あらためて家族というものが自分にとって大切なものなんだと感じました。

(やさしさ・ふれあい:啓発資料2013,2[JAグループ滋賀]思わず心があったまる話 第8集作品より)

これは、中3か高1の女子生徒の書いた作文です。JAから定期的にわが家へも配られる啓発冊子に載っていました。

この作文を教材として扱うとしたら、子どもたちに問うてみたいことがあります。それは、お父さんの「ほめ言葉」が書いていないからです。

「お父さんは私に何と言ってほめてくれたのかな?」

もう一つ聞いてみたいのは、

「家のお手伝いを続けると、どんないいことがあるのかな?」
今、思いつくのは、この2つですが、先生方なら、どんな発問をされますか?

ここまでのつもりでしたが、おまけを追加します(カテゴリーは違いますが)。

【どの子も安心して学校生活できるため、教師ができる13のこと】                                         

  • 先生がにこにこ笑顔で「おはよう」と言うことで、子どもも元気が出ます。
  • 先生が楽しそうに歌う声を聞かせることで、子どもも歌うのが楽しくなります。
  • 先生が遊ぶのを楽しむことで、子どもも体を動かして遊ぶのが楽しくなります。
  • 先生が、子どもの話に「うんうん」とうなずくことで、子どもは満足します。
  • 先生が子どもの気持ちをわかってあげることで、子どもは先生を信頼できます。
  • 先生が「こら」よりも「どうしたの」と声をかけると、子どももしゃべります。
  • 先生が子どもをほめることで、子どももだんだんやる気が出てきます。
  • 先生が「大丈夫だよ」と支えてあげることで、子どもは自信を取り戻せます。
  • 先生が子どもといっしょに喜ぶことで、子どもの喜びは2倍になります。
  • 先生が、ゆったり、のんびり、どっしりしていると、子どもも安心できます。
  • 先生が目と目を合わせてあげると、子どもは大事にされているのを感じます。
  • 先生が「うれしいよ」と言ってあげることが、子どもをほめるということです。
  • 先生が、子どもをしかるのは、最後に子どもをほめてあげるためです。

現実には、なかなか思いどおりにいかないことのほうが多いです。そういう時こそ、子どもたちの声・つぶやきに耳をすましたり、隣(班)の子ども同士で相談させたりして、こちらが落ち着くための間(ま)をとりましょう。自分が授業で失敗しても落ち込まず、あせらず、笑顔を忘れず、自分の失敗から学べる教師は、必ず伸びます。また、いつもメモをとることを心がけると、後で役に立ちます。そして、学年主任など周囲の先生に、その都度、報告・連絡・相談するのを大切にする教師は、あれこれフォローもしてもらえるし、困った時には助けてもらえます。

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